130円台後半で若干ドルが底堅い動きか
〇先週のドル円、前週雇用統計後の不自然な下げに対する買い戻しから急速に値を戻す動き
〇136円割れのドル買いと137円台前半のドル売りとに挟まれ狭い値幅で横方向の動きに終始
〇米金利は遅れて7日に底打ちとなり金利上昇の動きが続く
〇今週は13日の米国CPI、14日のFOMCがドルの方向を考える上で大きなヤマ場に
〇今週は135.00レベルをサポートに、139.00レベルをレジスタンスとする週とみる
今週の週間見通し
先週のドル円は週初東京市場では低く始まったものの、欧州市場以降は前週雇用統計後の不自然な下げに対する買い戻しから急速に値を戻す動きを見せました。その後は週末まで基本的に136円割れのドル買いと137円台前半のドル売りとに挟まれ、比較的狭い値幅で方向感がはっきりしない横方向の動きに終始しました。
前週の雇用統計、先週のPPIと米国の経済指標は強い結果が目立っていますが、米金利は遅れて7日に底打ちとなり、金利上昇の動きが続いています。今週は13日の米国CPI、14日のFOMCがドルの方向を考える上で大きなヤマ場となりますが、PPIに続いてCPIも予想よりも強い結果ということになると、ピーク金利には変化は無くとも緩和時期の後退という見方につながると見られます。
12月FOMCでの0.5%利上げは既にコンセンサスとなっていて、それに対してWSJにプロパガンダ記事も出て来ないところを見ると、ここは確定と見てよいでしょうが、CPIの結果次第では四半期ごとのFOMCで同時に発表される金利見通しに変化が出てくる可能性もあります。前回9月の金利見通しにおいて2023年末の中央値は4.625%でしたが、パウエルFRB議長は利上げ幅の縮小とともに金利見通しの上方修正にも触れてきました。
現在のFF先物の推移から、2023年3月FOMCまでに政策金利の誘導目標は5.0〜5.25%まで上昇し、9月FOMCで緩和に転じ、2023年末の金利を4.5〜4.75%と見込んでいます。つまり、ピーク金利は5.0%超えとなるものの年末にはピーク金利から0.5%下がっているということになりますが、金利見通しで2023年末の見通しがこれよりも高い金利が示されれば、よりピーク金利期間が長引くであろうことを考えることになり、その場合には米金利(10年債利回り)の上昇とドル高という動きになる可能性が高そうです。
いっぽうで、市場のコンセンサスとほぼ一致するような流れであれば株式市場は好材料として反応するかもしれませんが、為替市場は方向感が無いまま翌日の一連の欧州金融政策決定会合へと移ることとなりますが、ことドル円に関しての影響は限定的となりそうです。また仮にFRBがタカ派的な見通しを示しドル高に動いたとしても、大きくドル高に向かうような動きも考えにくく、140円に乗せることも困難と見ています。
テクニカルにはどうでしょうか。いつもの日足チャートをご覧ください。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
現状は年初来高値から引いたレジスタンスラインとそれに平行に引いたラインとで構成される平行下降チャンネル(ピンク)の中での下げを依然として続けていると考えられます。直近の戻しは11月安値圏と重なる高値と安値の23.6%戻しで止められましたが、現時点ではあまりにも近いことから大台手前の139円水準を戻りの限界点と見てよいのでないかと考えています。
いっぽうで下値に関しては11月安値で目先の安値を見たと考え、135円水準ではドル買いのオーダーが入ってくると見ています。これら上下の水準をベースに、今週は135.00レベルをサポートに、139.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきますが、まだまだドル円は値幅が大きくなることも多いため、FOMC後の動きには注意が必要です。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
12月12日(月)
16:00 英国10月鉱工業生産、貿易収支
16:00 トルコ10月経常収支、失業率
12月13日(火)
08:30 豪州12月消費者信頼感
09:30 豪州11月企業景況感
16:00 ドイツ11月CPI
16:00 英国10月失業率
16:00 トルコ10月鉱工業生産
19:00 ドイツ12月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏12月ZEW景況感
19:30 英中銀金融安定報告書公表 ☆
22:30 米国11月CPI ☆
30:45 NZ7〜9月期経常収支
**:** FOMC(〜14日)
12月14日(水)
08:50 日銀短観 ☆
16:00 英国11月CPI ☆
17:00 南ア11月CPI
19:00 ユーロ圏10月鉱工業生産
20:00 南ア10月鉱工業生産
22:30 米国11月輸入物価
24:30 週間原油在庫統計
28:00 FOMC結果発表 ☆
28:30 パウエルFRB議長会見 ☆
30:45 NZ7〜9月期GDP
12月15日(木)
08:50 本邦11月貿易収支(通関)
09:30 豪州11月失業率
11:00 中国11月鉱工業生産、小売売上高
16:45 フランス11月CPI
16:45 フランス12月企業景況感
17:30 スイス中銀政策金利発表 ☆
18:30 南ア11月PPI
21:00 英中銀MPC結果発表 ☆
22:15 ECB理事会結果発表 ☆22:30 米国12月NY連銀製造業景況指数
22:30 米国12月フィラデルフィア連銀製造業景況指数
22:30 米国11月小売売上高
22:30 米国新規失業保険申請数
22:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
23:15 米国11月鉱工業生産、設備稼働率
24:00 米国10月企業在庫
**:** EUサミット(〜16日)
12月16日(金)
**:** 南ア市場休場
09:01 英国12月消費者信頼感
16:00 英国11月小売売上高
17:15 フランス12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
19:00 ユーロ圏11月CPI
19:00 ユーロ圏10月貿易収支
23:45 米国12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
12月5日(月)
週明けのドル円は終日ドル高の動きが続きました。金曜雇用統計後に数字は良かったものの行って来いで下げた動きに対する調整の買い戻しでしたが、前週は週を通してドル売りが続いたことで、短期筋の利食いによる買い戻しも出ていたようでした。引け間際には136.86レベルの高値をつけ高値圏での引けとなりました。
12月6日(火)
ドル円は週明けからのドル買いの動きが続き欧州市場序盤には137.43レベルの高値をつけました。137円台半ばでは戻り売りが多く、テクニカルにも137円台半ばが意識されていたこともあって反落、NY市場が始まる前には135.96レベルの安値をつけましたが、押し目での買いも根強く引けにかけては137円台を回復して引けました。
12月7日(水)
ドル円は前日NY市場の流れを受けドルじり高の流れをNY市場まで続け、137.85レベルの高値をつけました。しかし、NY市場に入り米金利が低下する動きとともにドル円も水準を下げ、136.22レベルまで売られたた後にやや戻して引けました。
12月8日(木)
ドル円は最近にしては静かな値動きの一日でした。東京前場は米金利上昇とともにドル買いが先行しましたが、137円台前半では戻り売りを考える向きも多くその後は137円挟みでの値動き。NY市場ではユーロドルの買いに引っ張られてのドル売りも見られましたが方向感が無いままに終わりました。
12月9日(金)
週末のドル円は東京仲値過ぎに前日安値を下回って以降はドルの上値が重くなり、NY市場朝方には135.60レベルまで水準を下げていました。しかし、米国PPIが予想よりも強かったことを受けて米金利が上昇、ドル円もドル買いの動きへと転じ136.91レベルの日中高値をつけました。その後は売りも出たものの136円台半ばでの底堅さを感じさせる引けとなりました。
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