トルコリラ円見通し 12月2日からの持ち直しを試す、FOMC通過後のドル円次第(22/12/12)

トルコリラ円の12月9日は7.34円から7.27円の取引レンジ、10日早朝の終値は7.32円で前日終値の7.33円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 12月2日からの持ち直しを試す、FOMC通過後のドル円次第(22/12/12)

12月2日からの持ち直しを試す、FOMC通過後のドル円次第

〇先週のトルコリラ円、9日にドル円の騰落を見ながら7.27まで下げたところから7.34まで反発
〇その後7.30強の水準を維持、週間では12/2終値7.21から0.11円の円安リラ高に
〇対ドルでは終値ベースで11/29及び12/7の18.64を超え、9日終値で最安値を更新
〇今週は12日失業率と経常収支、13日鉱工業生産と小売売上高、15日財政収支の発表に注目
〇7.36超えからは7.38、7.40を順次試す上昇を想定、7.39以上は反落警戒
〇7.27割れからは7.20台前半への下落を想定、7.22以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円の12月9日は7.34円から7.27円の取引レンジ、10日早朝の終値は7.32円で前日終値の7.33円からは0.01円の円高リラ安だった。
12月9日夜の米PPI上昇率が市場予想を上回ったことで米長期債利回りが上昇して為替市場はドル高となり、ドル円は直前安値135.59円から深夜高値136.89円まで戻し、その後は高値が伸びなかったものの136円台中盤で確りした。トルコリラ円もドル円の騰落を見ながら7.27円まで下げたところから7.34円まで反発し、その後は新たな高値更新へ進めなかったものの7.30円強の水準を維持して週を終えた。
週間では12月2日終値7.21円から0.11円の円安リラ高だった。

【ドル/トルコリラは終値ベースで史上最安値】

ドル/トルコリラの12月9日は18.67リラから18.62リラの取引レンジ、10日早朝の終値は18.65リラで前日終値の18.63リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。週間では12月2日終値の18.63リラから0.02リラのドル高リラ安だった。
1ドル18.60リラ台の史上最安値を試し続けながらも18.50リラ台へ戻したところは売られる膠着状態での持ち合い相場が続いているが、手元のデータにおける取引時間中の史上最安値を12月5日の18.69リラ(ベンダーによっては18.70リラ台の安値提示も再三みられる)で付けた後は新たな最安値更新へ進んでいないものの、終値ベースでは11月29日及び12月7日の18.64リラを超えて9日終値で最安値を更新しており、日々わずかずつながら持ち合い相場の平均値が切り下がってきている。
12月9日夜は米PPI上昇率が市場予想を上回ったことでドル高反応が見られたことがトルコリラにも圧迫感となったもの全般の動向にはさほど流されなかった。しかし今週は米CPI、FOMCと年末年始にかけてドルの方向性を左右する重要指標の発表が相次ぐため、トルコリラも全般の動きに左右されやすい局面と思われる。

【今週のトルコ経済指標】

今週は12月12日に失業率と経常収支の発表、13日に鉱工業生産と小売売上高、15日には財政収支の発表がある。
トルコは慢性的な経常赤字国だが、今年1月に69.37億ドルの過去最大赤字を記録した後はやや赤字幅の縮小傾向がみられるものの昨年11月からの赤字は続いている。リラ安を武器とした輸出の増大よりもリラ安とインフレによる輸入額の拡大で貿易収支の悪化が続き、パンデミックが落ち着いたことによる海外からの観光収入の改善ではまだ追いつかない状況にあり、エルドアン政権が目論む貿易収支改善と観光収入拡大による経常収支黒字化計画は実現できずにいる。10月の経常赤字については9月の29.7億ドルから16.16億ドルへと減少がみこまれているものの予想よりも赤字が拡大するようだとリラ売り材料となりかねない。

鉱工業生産の伸びが鈍化していることもリラには圧迫要因となっており、輸出企業の外貨保有及び融資規制が企業の足かせとなり、高インフレ率と比較すればさらにリラ安となるべきところを規制強化でリラ安水準が抑えられていることも製造業への足かせとなっている。10月の鉱工業生産は前年比0.08%増とわずかな拡大が見込まれているものの9月のように前月比がマイナス続きとなる場合はリラ売り要因となりかねないと注意したい。

【12月15日未明のFOMC通過から反騰できるか一段安へ沈むか試される】

トルコリラ円は今年に入ってからの下落期においては直前のピークから概ね1円前後の下落幅を実現したところで下げ止まっている。昨年末の史上最安値更新とその後の急騰と反落という乱高下が落ち着いた後、1月31日高値8.67円から3月11日安値7.23円まで0.94円の下落で4月28日へ反騰し、4月28日高値8.88円から6月16日安値7.59円まで1.28円の下落から戻し、6月27日高値8.37円から8月2日安値7.27円まで1.10円の下落だったところから10月21日高値へと戻した。10月21日高値8.17円から12月2日安値7.17円までが丁度1.00円の下落であり、ひとまず落ち着いてもよい水準までは下げたといえるが、今年の騰落リズムを超える下落規模へと進む可能性も懸念される。

当面の下落を一巡させて上昇再開に入るには26日移動平均(現在7.51円)、一目均衡表の26日基準線(現在7.56円)などの下降トレンドの主要な上値抵抗線を超える規模へ反騰してゆく必要があり、まずは12月7日高値7.40円を超えて7.50円に迫れるかどうか試される。またそのためには12月13日の米CPI、15日未明の米FOMC声明と議長会見をドル円が強気で通過する必要がある。それができないうちは12月2日安値7.17円を再び試し、さらに底割れからは7.00円の大台を維持できるかどうかを試し、7円割れからは昨年12月20日の史上最安値6.17円を目指して行く流れとなりかねない。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、12月2日夕刻安値からの反騰が一巡し、12月7日夕高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたとして12月7日夕から9日夕にかけての間への下落を想定してきた。
12月9日夜へ安値を切り下げてから0.05円を超える反騰となったため、12月9日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして12月12日午後から14日夕にかけての間への上昇を想定する。ただし戻りは短命の可能性もあるので7.30円割れからは弱気転換注意とし、9日夜安値7.27円割れからは新たな弱気サイクル入りとして14日夜から16日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では12月9日夜安値からの反騰で遅行スパンは好転しやすい位置に来ているものの先行スパン下限が上値抵抗となって戻りを抑えている。このため先行スパンを上抜き返すところからは上昇も勢い付くとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返せないうちは反落注意とし、12月9日夜安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は12月9日昼から夜への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られてから50ポイント台後半へ戻した。このため45ポイント以上での推移中は上昇余地ありとして60ポイント超えからは70ポイントに迫る上昇を想定するが、45ポイント割れからは下げ再開の可能性ありとみて30ポイント割れを再び試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.27円を下値支持線、7.36円を上値抵抗線とする。
(2)7.30円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、7.36円超えからは7.38円、7.40円を順次試す上昇を想定する。7.39円以上は反落警戒とするが、7.32円以上での推移なら13日の日中も高値試しへ進みやすいとみる。
(3)7.27円割れからは7.20円台前半(7.25円から7.21円)への下落を想定する。7.22円以下は反騰注意とするが、7.27円を割り込んだ後も7.30円以下での推移なら13日も安値試しへ進みやすいとみる。反騰入りには直前安値から0.05円を超える反発が必要と考える。

【当面の主な予定】

12月12日
 16:00 10月 失業率 (9月 10.1%)
 16:00 10月 経常収支 (9月 -29.7億ドル、予想 -16.16億ドル)
12月13日
 16:00 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 -1.6%)
 16:00 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 0.4%、予想 0.08%)
 16:00 10月 小売売上高 前月比 (9月 1.8%)
 16:00 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 9.7%)

12月15日
 17:00 11月 財政収支 (10月 -832.5億リラ)
 20:30 週次 外貨準備高 12/9時点 グロス (12.2時点 813.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 12/9時点 ネット (12/2時点 231.2億ドル)
12月20日
 16:00 12月 消費者信頼感指数 (11月 76.6)
 23:30 11月 中央政府債務 (10月 -380.8億リラ)
12月22日
 20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 9.0%、予想 9.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 12/16時点


注:ポイント要約は編集部

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る