『ラマポーザ氏を巡る報道で乱高下。来週は重要イベント目白押し』
〇南ア円、週初の7.68から南ア指標の好調、中国のコロナ規制緩和の動きに一時8.01まで上昇
〇その後も底堅く推移、週末は7.85付近で推移
〇南ア円、一旦下抜けた8.00円ー8.30円レンジを一時回復するも、上値重く地合いは弱い
〇12/16ー12/20の与党ANCの党首選挙に注目
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.65ー8.05
今週のレビュー(12/5−12/9)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.68円で寄り付いた後、早々に週間安値7.67円まで下落しました。しかし、12/1に記録した約9ヵ月ぶり安値7.57円(3/9以来の安値圏)をバックに下げ渋ると、(1)南ア11月PMI(結果50.6、予想50.0)の良好な結果や、(2)中国政府によるコロナ規制の緩和措置(中国と経済的な結び付きの強い南アフリカのポジティブ要因)、(3)南ア7ー9月期GDP(結果+4.1%、予想+2.8%、※前年比)の力強い結果、(4)与党ANCによるラマポーザ大統領続投への支持表明(ラマポーザ氏弾劾を巡る懸念の後退)が支援材料となり、週央にかけて、週間高値8.01円まで上昇しました。その後も、(5)南ア7ー9月期BER消費者信頼感指数(結果▲8、予想▲25)の市場予想を上回る結果や、(6)南ア7ー9月期経常収支(結果180億ZAR赤字、予想840億ZAR赤字)の赤字幅縮小が下支えとなり、本稿執筆時点(日本時間12/10午前1時35分現在)においても、7.85円前後で推移しております。
来週の見通し(12/12−12/16)
南アフリカランドの対円相場(ZARJPY)は、約2ヵ月間に亘って続いた8.00円ー8.30円レンジを下方ブレイクすると、12/1に一時7.57円(3/9以来、約9ヵ月ぶり安値圏)まで急落しましたが、今週は再び8.00円前後まで持ち直す荒々しい値動きとなりました。但し、先月までのレンジ下限の8.00円がロールリバーサル(従来のサポートラインがレジスタンスラインに転換)として意識されつつある他、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続しているため、テクニカル的に見れば、地合いは弱いと判断できます(上値余地は限定的。一巡後の反落リスクに要警戒)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)南アフリカ経済の先行き不透明感(慢性的な電力不足や主要産業で相次ぐストライキ問題)や、(2)経済的な結び付きの強い中国の景気減速懸念(コロナ規制緩和でひとまず楽観ムードが到来するも実体経済への反映には不透明感が燻る)、(3)南ア中銀の利上げペース鈍化観測(11/24に開催された南ア中銀会合で5名のうち2名が75bpの利上げではなく50bpの利上げを支持)、(4)ラマポーザ大統領の金銭を巡る不正疑惑とそれに伴う政局不透明感(弾劾や辞任の恐れ)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。こうした中、来週は上記(4)の材料を見極める上で、12/16ー12/20の日程で開催される与党ANCの党首選挙に注目が集まります。相次ぐスキャンダルを背景にラマポーザ大統領が辞任に追い込まれる場合には、政局不透明を嫌気する形で南アランドには強い下押し圧力が加わりそうです。
一方、ラマポーザ大統領の再選が決まる場合には、政局不透明感後退を通じて直後は南アランド買いで反応する可能性が高いと考えられます。但し、スキャンダルを抱えた状態での再選は南ア国民の支持率低下を通じて昨年7月に発生したような大規模暴動(ズマ派の反乱)に繋がる恐れもあるため、一巡後は再び南アランド円相場に下押し圧力が加わりそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は与党ANCの党首選挙に加えて、南ア11月消費者物価指数や、南ア10月小売売上高、南ア11月生産者物価指数などにも注目が集まります(南アランド独自の材料が目白押しとなるため、南アランドのイベント主導で相場が乱高下する恐れあり)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.65ー8.05
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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