ドル円は一段安へ(週報12月第1週)

ドル円は、上昇時もそうでしたが下げも突然かつ値幅を伴っての動きが続きました。

ドル円は一段安へ(週報12月第1週)

ドル円は一段安へ

〇先週のドル円、パウエル講演きっかけに金曜欧州市場に133円台半ば、2日で6円以上もの円高
〇パウエル議長が12月FOMCでの利上げ幅縮小に直接言及したことによる米金利低下が原因
〇最近は全体にオーダーが少なめで材料ひとつで5〜6円は動くほど市場が薄くなってきている
〇今週は月初も過ぎそれほど大きな材料は無いが、引き続き思わぬ荒っぽい値動きに注意
〇今週は132.70レベルをサポートに、135.20レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通し

ドル円は、上昇時もそうでしたが下げも突然かつ値幅を伴っての動きが続きました。先週も水曜は139円台後半でしたが、パウエルFRB議長講演をきっかけに金曜欧州市場には133円台半ばと2日で6円以上もの円高を見ています。パウエル議長が12月FOMCでの利上げ幅縮小に直接言及したことによる米金利低下が原因ですが、12月FOMCにおける利上げ幅縮小は既に10月21日のWSJにFEDウォッチャーのティミラオス氏が記事を書いて以降は市場参加者のコンセンサスに近かったはずです。

それにもかかわらず、ここまでの動きを見せたということはポジションが円売りに傾いていたからということが大きいとは思いますが、一部にはまだ0.75%の利上げ継続と考える向きが多かったということであったのかもしれません。結果としては上述した通りで6円もの円高となったのですが、最近は米国CPIのような経済指標でも6円動くということもありましたので、材料ひとつで5〜6円は動くほど市場が薄くなってきているということなのだと思います。

金曜の米国雇用統計も予想よりも強い結果に最初は大きくドル買いに動き、発表前の水準から2円近い円安を見ましたが、2円も動くほど強い数字なのかと言うとそこまででも無い数字としか思えず、全体にオーダーが少なめで、何か出てくると動きが大きくなりやすいというのが、現在の円相場の特徴であると思います。今週は月初も過ぎてそれほど大きな材料は無い週なのですが、引き続き思わぬ荒っぽい値動きには注意しておいた方がよいでしょう。

テクニカルには、あまりにも動きが速いため金曜朝に今後のドル円のターゲットを考えるコラムを書きましたが、本日も週足チャートから見て行きましょう。今回はやや拡大して表示してあります。

ドル円は一段安へ

2020年安値と2022年高値の38.2%押しが132.54、2022年安値と高値の半値押しが132.73とほぼ一致していることから、今回の円高の流れの中期的なターゲットは132円台半ばであることを示したのですが、材料次第では今週中につけてもおかしくない勢いです。そして、この132円台半ばを下抜けると130円の大台が次のターゲットということになりますが、152円近い水準まで円安が進行したのは10月ですから、期間的にも値幅的にも激しいものがあります。

今週の動きについてはいつもの日足チャートで見てみます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

長期チャートと若干のズレはありますが、年初来安値と高値の半値押しを赤の水平線で示し、年初来高値からの逆N波動からフィボナッチエクスパンションで求めたターゲットをピンクの水平線で示してあります。近いところから見て行くと、133.44(逆N波動の78.6%エクスパンション)、132.70(2022年安値と高値の半値押し)、131.05(逆N波動の100%エクスパンション)となっていて、最も近いターゲットは先週安値でほぼ達成しました。

すると、次のターゲットはやはり132円台半ばから後半となり、今週中にも試してもおかしくはない水準となります。いっぽうで上値は135円台では戻り売りを考える向きがオーダーを入れてくると考えられますので、今週は132.70レベルをサポートに、135.20レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月5日(月)
10:45 ラガルドECB総裁講演 ☆
10:45 中国11月MarkItサービス業PMI ☆
16:00 トルコ11月CPI
17:00 フランス中銀総裁講演
17:50 フランス11月サービス業PMI
17:55 ドイツ11月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏11月サービス業PMI
18:00 アイルランド中銀総裁講演
18:30 英国11月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏10月小売売上高
23:45 米国11月サービス業PMI
24:00 米国11月ISM非製造業景況指数 ☆
24:00 米国10月製造業新規受注

12月6日(火)
09:01 英国11月小売売上高
09:30 豪州7〜9月期経常収支
12:30 豪中銀政策金利発表 ☆
16:00 ドイツ10月製造業新規受注
18:30 英国11月建設業PMI
18:30 南ア7〜9月期GDP
22:30 米国10月貿易収支
**:** ジョージア州上院選決選投票

12月7日(水)
09:30 豪州7〜9月期GDP ☆
**:** 中国11月貿易収支
16:00 ドイツ10月鉱工業生産
16:45 フランス10月貿易収支
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP確報値 ☆
22:30 米国7〜9月期非農業部門労働生産性改定値
24:00 カナダ中銀政策金利発表 ☆
24:30 週間原油在庫統計

12月8日(木)
08:50 本邦10月貿易収支(国際収支)
09:01 英国11月住宅価格
09:30 豪州10月貿易収支
17:00 南ア10〜12月期消費者信頼感
18:00 南ア7〜9月期経常収支
21:00 ラガルドECB総裁講演 ☆
22:30 米国新規失業保険申請数
30:45 NZ7〜9月期製造業売上高

12月9日(金)
10:30 中国11月CPI・PPI ☆
22:30 米国11月PPI ☆
24:00 米国12月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆
24:00 米国10月卸売売上高

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月28日(月)
週明けのドル円は東京市場では米金利低下とともにドル売りの動きとなり、139円台前半でスタートしたものの欧州市場序盤には137.49レベルの安値をつけました。その後買い戻しの動きも出る中で米金利が上昇に転じ、NY市場ではFRB関係者によるタカ派発言が続いたことから米金利は先週末NYの水準まで戻し、ドル円も東京前場の水準に戻して引けました。

11月29日(火)
ドル円は仲値過ぎに一時的に買いが入った動きを除いて東京市場ではドルがじり安の展開を続けました。基本的に米金利の動きに沿った動きとなり欧州市場前場に137.87レベルの安値をつけたものの、米金利が反転した動きからドル円も買い戻され、引けにかけては東京前場の水準に買い戻されて引けました。

11月30日(水)
ドル円はNY市場までは動意薄の展開となっていましたが、NY朝方に発表されたGDP改定値が予想よりも強かったことから米金利上昇とドル買いが先行しました。しかし140円の大台を目前に失速し利食い売りも出る中で迎えたパウエル議長の講演で、12月の利上げ幅縮小に言及したことから米金利急低下とドル売りが強まり137.65レベルまで下げた後に138円台に戻して引けました。

12月1日(木)
月初のドル円は前日NY後場のパウエルFRB議長の発言が尾を引いて朝イチからドル安の動きとなりましたが、特にドル円、ユーロ円など円買いの強さが目立ちました。仲値前には137円を割り込み、その後も一貫した円買いの動きで引け間際には135.21レベルの安値をつけ安値圏での引けとなりました。

12月2日(金)
週末のドル円も欧州市場序盤までは月末のパウエル議長講演後から続くドル売りの流れに押されました。133.62レベルの安値をつけましたが、週末を控え133円台では買い戻しも出て、134円前後でもみあっての雇用統計待ち。米国雇用統計は予想よりも強く米金利上昇とともに135.98レベルまで跳ね上がりましたが、136円台には乗せられず反落。引けにかけては134円台前半に押しての引けとなりました。

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