円高による大幅下落一服、逆三尊形成を試す
〇トルコリラ円、15日夜に7.40まで一段安したところから16日午後高値7.54までいったん戻す
〇その後はドル円と共に反騰への勢いにかけ、16日夜以降は7.50を挟んだ揉み合い
〇対ドルでは18.50前後で売られ18.60台の安値は買い戻されるやや膠着した持ち合いで推移
〇16日午後高値7.54を上抜く場合には戻り高値の切り上げとなり流れが変わる可能性あり
〇7.54以下での推移中は7.47割れからの下落再開を警戒、7.45割れからは7.40台序盤への下落を想定
〇7.54超えからは15日夜安値を起点とした反騰が二段上げ型に発展、7.60を目指す上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の11月16日は7.54円から7.47円の取引レンジ、17日早朝の終値は7.49円で前日終値の7.48円からは0.01円の円安リラ高だった。
ドル円は11月10日夜の米CPI発表をきっかけとした米長期債利回りの大幅低下とドル全面安により146台序盤から暴落商状に陥り12日未明に138.45円へ下落、15日夜の米PPI発表直後には137.67円まで一段安したが、その後は当面のドル売り材料消化として買い戻され、16日午後には140.29円の戻り高値を付けた。しかし14日夜の反発時高値140.79円には届かず140円台も維持できない程度にとどまり、16日夜以降は139円台での揉み合い推移となっている。
トルコリラ円はドル円の騰落に合わせて米CPI発表前の7.87円近辺から12日早朝安値7.47円へと大幅下落し、15日夜には7.40円まで一段安したところから16日午後高値7.54円までいったん戻したが、ドル円と共に反騰への勢いにかけて16日夜以降は7.50円を挟んだ揉み合いにとどまっている。
ドル/トルコリラが史上最安値近辺での推移を続けているもののドル円の騰落率が勝る状況のため、トルコリラ円は引き続きドル円を見ながらの展開を余儀なくされている。
【対ドルでは18.60リラを挟んだ揉み合い続く】
ドル/トルコリラの11月16日は18.64リラから18.56リラの取引レンジ、17日早朝の終値は18.59リラで前日終値の18.60リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
為替市場全般は11月10日夜の米CPI発表からのドル全面安に一服感がみられるもののユーロやポンドは高止まりの様相でドル円の下落も一服している。11月16日はトルコの主要経済指標の発表や要人発言も見られずにドル/トルコリラにとっては手掛かり難だった。
ロシア製ミサイルがポーランド領内に着弾したことで有事リスクが一時高まったことはウクライナとロシア双方との関係もあり停戦協定や黒海の穀物輸出船の航行へ尽力してきたトルコにとって打撃となることも懸念されたが、ウクライナ側の防空ミサイルが落下したものとの見方が強まったことで有事拡大リスクは後退している。
ドル/トルコリラの10月以降は18.50リラ前後で売られて18.60リラ台の安値は買い戻されるやや膠着した持ち合いで推移しており、11月4日に18.67リラへ史上最安値を更新してから11月8日早朝安値18.41リラへ上昇したものの戻り売りされ、11月10日夜からのドル全面安局面で18.44リラへ上昇したところも売られて元の持ち合い水準へ押し返されており、持ち合い放れに失敗している。
【ドル円と共に逆三尊型を形成できるか試す】
トルコリラ円はドル円の騰落に合わせての推移だが、11月10日夜からの急落では12日早朝安値7.47円へ大幅下落してからいったん戻し、15日夜に7.40円まで一段安したところからも持ち直している。戻り高値は11月14日夜の7.57円から16日午後に7.54円へと切り下がっているが、16日夜に7.47円まで下げたところから下げ渋っている。
戻り高値が切り下がり基調にあるうちはもう一段安への懸念が続くが、16日午後高値を上抜く場合には戻り高値の切り上げとなり流れが変わる可能性がある。その場合は11月15日夜安値を頭、12日早朝安値を左肩とし、16日夜以降の安値を右肩として逆三尊(三点底)型を形成しての反騰入りとなるため、11月10日夜からの大幅下落に対する大きなリバウンド期に入る可能性が出てくると思われる。
トルコリラ円が16日午後高値を超えてゆくためにはドル円の反騰が必要であり、その原動力としては大幅低下してきた米10年債利回りの反騰が欲しいところだが、米10年債利回りは2年債利回りとの逆イールドを拡大しており、FRBによる利上げピーク時期を見越して低下しているため、現状よりも利上げピークが切り上がり、利上げ状態の継続も現状の認識よりも長くなるとの見方等が優勢になりドル高の再開感が強まることが必要だ。逆に米10年債利回りが一段と低下するようだとドル円もそれに合わせて一段安となり、トルコリラ円の逆三尊形成への期待もそがれてかえって先安感が強まることになると思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは11月15日夜安値から戻した後も新たな安値更新へと進まずにいるので、11月15日夜安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて11月15日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと仮定する。サイクルトップ形成期は16日午後高値を含めて21日夜にかけての間とするが、既に16日午後高値でサイクルトップを付けている可能性もあるとみて7.45円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して15日夜安値試しとし、底割れからは18日夜から22日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11月16日夜からの横ばい推移により遅行スパンは実線と交錯しているが先行スパンを上抜けてきている。先行スパンを上抜いた状況を維持するうちは戻りを試す可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は50ポイントを挟んだ揉み合いで推移しており方向感に欠ける。55ポイント超えからは上向きとして60ポイント台前半への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを試す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.45円を下値支持線、11月16日午後高値7.54円を上値抵抗線とする。
(2)7.54円以下での推移中は7.47円割れからの下落再開を警戒し、7.45円割れからは7.40円台序盤(7.43円から7.40円)への下落を想定する。7.41円以下は反発注意とするが、7.45円を割り込んだ後も7.47円以下での推移なら18日の日中も安値試しを続けやすいとみる。
(3)7.54円超えからは15日夜安値を起点とした反騰が二段上げ型に発展するために7.60円を目指す上昇を想定する。7.58円以上は反落注意とするが、7.54円を超えた後も7.52円以上での推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月17日
20:30 週次 外貨準備高 11/11時点 グロス (11/4時点 751.8億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11/11時点 ネット (11/4時点 145.3億ドル)
11月21日
17:00 10月 観光客数 前年同月比 (9月 55.84%)
11月22日
16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 76.2)
11月24日
16:00 11月 製造業景況感 (10月 100.3)
16:00 11月 設備稼働率 (10月 76.9%)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 10.5%)
注:ポイント要約は編集部
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