トルコリラ円見通し 急激な円高による大幅下落は一服だが日足は7.50円挟んだ持ち合い
〇トルコリラ円、11/17は夕刻に7.46へ反落したところを買われ、11/18未明には7.56まで反発
〇現状は大幅下落一服で戻りを試しているところだが、日足チャートでは7.50を挟んだ持ち合いの範囲
〇対ドル、11/17は18.62から18.56の取引レンジ、深夜にかけてリラ安基調で推移
〇11/18早朝にかけてリラ高反応を見せるも、長続きせず11/18午前序盤には18.60台へ反落
〇週次の外貨準備高は大幅増加、但し、中銀の潜在的外貨売りポジションとの合計ではマイナスとの見方も
〇7.50以上での推移中は一段高余地ありとし、7.57超えからは7.60前後への上昇を想定する
〇7.50割れからは、11/17夕安値7.46試しを想定する
【概況】
トルコリラ円の11月17日は7.56円から7.46円の取引レンジ、18日早朝の終値は7.53円で前日終値の7.49円からは0.04円の円安リラ高となった。
トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた動きを続けているが、ドル円は11月10日夜の米CPI発表をきっかけとした米長期債利回りの大幅低下とドル全面安により146台序盤から11月12日未明安値138.45円へ大幅下落となり、15日夜の米PPI発表直後に137.67円まで安値を切り下げたもののその後は当面のドル売り一巡として持ち直しを図っており、11月17日は米長期債利回りの反発を見て夕刻に138.86円へ下げたところから18日未明高値140.74円へ切り返し、18日午前序盤も140円台を維持している。
トルコリラ円もドル円の動向を見ながら米CPI発表前の7.87円近辺から12日早朝安値7.47円へ大幅下落し、15日夜には7.40円まで安値を切り下げたが、その後はドル円とともに持ち直しを図っており、17日は夕刻に7.46円へ反落したところを買われて18日未明には7.56円まで反発して15日夜安値以降の戻り高値を切り上げている。
米長期債利回りが再上昇に入るのか大幅下落一服の下げ渋り程度にとどまるのかにより今後のドル円及びトルコリラ円の動向も決まってくるのだろうと思われる。現状は大幅下落一服で戻りを試しているところだが、日足チャートで見れば7.50円を挟んだ持ち合いの範囲にとどまっている。
【対ドルでは18.60リラ台の安値を試す動き続く】
ドル/トルコリラの11月17日は18.62リラから18.56リラの取引レンジ、18日早朝の終値は18.56リラで前日終値の18.59リラからは0.03リラのドル安リラ高だった。
11月17日は夜にかけて米長期債利回りの反発を見てユーロやポンド等が下落してドル高反応が見られたものの深夜以降はユーロ等が戻して再びドル安へと風向きを変えており、トルコリラは深夜にかけてリラ安基調で推移していたところから18日早朝にかけてリラ高反応を見せたが、長続きせずに18日午前序盤には18.60リラ台へ反落している。
10月以降は概ね18.50リラ前後を売られて18.60リラ台の安値を試すやや膠着状態での持ち合い相場であり、
11月4日に18.67リラへ史上最安値を更新した後の11月8日早朝に18.41リラへ一時上昇し、11月10日夜からのドル全面安局面で18.44リラへ上昇したところも売られて元の持ち合い水準へ押し返されている。
【週次の外貨準備高は増加】
11月17日夜に発表された週次のトルコ外貨準備高は11月11日時点のグロスで766.2億ドルとなり11月4日時点の751.8億ドルから増加した。ネットでは182.3億ドルとなり11月4日時点の145.3億ドルから大幅な増加となった。
グロス及びネットでの外貨準備高の持ち直しが顕著となっているのは、友好国との通貨スワップ協定による積み上げ、ロシアのトルコへの投資による増加、国内企業に対する融資規制を動機付けとした外貨保有規制により輸出企業等による保有外貨売りとリラ預金への転換が効果を発揮しているようだ。リラ安により割安感が強まっているトルコ不動産への海外勢の購入意欲の高まりも寄与していると思われる。
しかしトルコ中銀がリラ安防衛のために金融機関とのスワップ取引で外貨売りリラ買いポジションを持っていることを踏まえれば、実質的な外貨準備高はマイナス勘定という見方もある。
【60分足での逆三尊型形成】
トルコリラ円は11月15日夜安値で7.40円をつけたところからの持ち直しを図っているところだが、17日は夕刻に7.46円へ反落したところから切り返して18日未明に7.56円の高値をつけて16日午後高値を超えており、15日夜安値からは二段戻しに入っている。
11月15日夜安値を中心として12日早朝安値7.47円と17日夕安値7.46円を両肩とすれば60分足チャートでは逆三尊型を形成している印象であり、逆三尊の完成目安となる14日夜の反発時高値と16日午後高値を結ぶやや右肩下がりの上値抵抗線=ネックラインを超えてきている。
長期的な下落後に逆三尊を形成すれば底打ちの合図となることが期待されるが、中勢の下落基調の中での逆三尊は中間調整的な二段戻しに終わってその後に一段安へと進むケースも多々ある。このため目先は戻り高値を試す可能性ありとみるものの、11月17日夕安値を割り込むところからは二段戻し終了による下げ再開とみて11月15日夜安値割れへと向かう可能性がかえって高まると注意したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは11月15日夜安値を中心とした逆三尊型の右肩となる17日夕安値で直近のサイクルボトムをつけて強気サイクル入りした印象だ。高値形成期は17日夜から21日夜にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にあるため、7.50円を上回るうちは一段高余地ありとし、7.50円割れからは下げ再開を疑い、17日夕安値割れからは弱気サイクル入りとして22日夜から24日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11月17日夕安値からの反騰で遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は18日未明への上昇で70ポイントに迫ってからやや下げているが、50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとし、50ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後への低下を伴った下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.50円を下値支持線、7.57円を上値抵抗線とする。
(2)7.50円以上での推移中は一段高余地ありとし、7.57円超えからは7.60円前後への上昇を想定する。7.60円前後は反落注意とするが、7.52円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.50円割れからは11月17日夕安値7.46円試しを想定する。7.46円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、7.46円割れからは来週前半への下落期入りとみて7.40円台序盤へ向かう流れとみる。
【当面の主な予定】
11月21日
17:00 10月 観光客数 前年同月比 (9月 55.84%)
11月22日
16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 76.2)
11月24日
16:00 11月 製造業景況感 (10月 100.3)
16:00 11月 設備稼働率 (10月 76.9%)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 10.5%)
注:ポイント要約は編集部
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