南アランド週報:『対ドル相場は急伸も対円相場は急落。ドル円に振らされる展開』(11/12朝)

南アフリカランドの対円相場は、8.30円前後のレジスタンスをバックに戻り売り圧力が強まると、週末にかけて8.04円前後まで急落しました。

南アランド週報:『対ドル相場は急伸も対円相場は急落。ドル円に振らされる展開』(11/12朝)

『対ドル相場は急伸も対円相場は急落。ドル円に振らされる展開』

〇今週の南ア円、週初8.28まで上昇後、週末にかけ一時8.03まで下落
〇中国のコロナ感染再拡大、南ア経済先行き不透明感、米CPIショックからのドル円大暴落が背景
〇南アランド、対ドルでは米金利低下と金プラチナ価格の急上昇に週末にかけ17.25割れまで急伸
〇主要テクニカルポイント下抜け地合い悪化、目先は11/3安値7.99の攻防注視
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.90ー8.20

今週のレビュー(11/7−11/11)

今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.21円で寄り付いた後、早々に週間高値8.28円まで上昇しました。しかし、強力なレジスタンスとして意識されている8.30円前後の抵抗帯に続伸を阻まれると、(1)中国各地で広がる新型コロナウイルスの感染再拡大(中国当局によるコロナ規制の
緩和期待が後退→中国と経済的な結びつきの強い南アフリカのネガティブ要因)や、(2)相次ぐ計画停電を背景とした南アフリカ経済の先行き不透明感、(3)逆CPIショックに伴うドル円大暴落(ドル円は米CPI鈍化を受けて146円台半ばから138台後半へと大暴落→南アランド円連れ安)が重石となり、週末にかけて、週間安値8.04円まで急落しました。

引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/12午前2時15分現在)では、8.05円前後で推移しております。(編集部注:終盤にかけ下値を8.03まで拡大)一方、南アフリカランドの対ドル相場(USDZAR)は、(4)米金利低下に伴うリスクオン再開(南アフリカの主要株価指数が4/21以来の高値圏へ急上昇)や、(5)金・プラチナ価格の堅調推移(金価格は約3カ月ぶり高値圏へ急上昇。プラチナ価格も約8ヵ月ぶり高値圏へ急上昇→南アフリカの交易条件改善期待)、(6)南ア政府による良好な中期予算方針発表(公的債務安定化や財政赤字改善を期待させる内容)が支援材料となり、週末にかけて、約2ヵ月ぶり高値圏(9/13以来)へと急伸しました(※今週は南アフリカランド、日本円共に上昇しましたが、南アフリカランド以上に日本円が上昇した為、南アフリカランドの対円相場は急落。南アフリカランドの対ドル相場は急伸)。

来週の見通し(11/14−11/18)

南アフリカランドの対円相場は、8.30円前後のレジスタンスをバックに戻り売り圧力が強まると、週末にかけて8.04円前後まで急落しました(直近1ヵ月間で計3回の上値トライ失敗→上値の重さを再確認)。この間、ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表基準線や転換線、21日移動平均線や90日移動平均線、200日移動平均線や一目均衡表雲上下限など)を軒並み下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となっています。目先は11/3に記録した安値7.99円を下抜けられるか否かに注目が集まりそうです。

ファンダメンタルズ的に見ても、(1)国営電力会社エスコムによる計画停電の長期化懸念や、(2)主要産業で相次ぐ労働争議問題(ストライキ問題)、(3)南アフリカ経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中での南ア中銀による金融引き締め強化は南ア経済にとっての強い逆風。南ア中銀ハニャホ総裁は11/1に「金利を更に引き上げる余地がある」と発言)、(4)経済的な結び付きの強い中国の景気減速懸念(中国各地で広がる新型コロナウイルス感染再拡大)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。(5)米金利低下に伴うリスクオン再開(南ア株上昇+金・プラチナ価格上昇)など、南アランドのサポート要因もいくつか見受けられるものの、円ショートの巻き戻しが生じやすい環境下(米財務省は半期に一度の為替報告書の中で日本の為替操作国認定を見送り→介入に対するお咎めなし)であること等を考慮すれば、来週も南アランド円相場には強い下押し圧力が加わるものと推察されます。

以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(一方、対ドル相場は堅調に推移する可能性大)。尚、来週は11/16に発表される南ア9月小売売上高以外に目立った南ア経済イベントが予定されていないため、今週同様、中国経済を巡るヘッドライン(新型コロナウイルスに関する続報や11/15に予定されている中国の主要経済指標)や米国債券市場の動向(米CPI後の米金利低下の流れが続くか否か)、ドル円相場の動向(円高圧力が続くか否か)を睨みながらの神経質な相場展開が続きそうです。

来週の予想レンジ(ZARJPY):7.90ー8.20

注:ポイント要約は編集部

『対ドル相場は急伸も対円相場は急落。ドル円に振らされる展開』

南アランド円日足

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