『直近レンジの下方ブレイクに成功。下落トレンドの再開に警戒』
〇今週のトルコ円、IMFの金利早期引き上げ勧告、トルコ失業率悪化、ドル円急落で7.46まで下落
〇約2週間に亘る7.80-8.00レンジを下方ブレイク、主要サポートも軒並み下抜け地合い弱い
〇ファンダメンタルズもトルコリラ円相場の更なる下落を連想させる材料揃う
〇トルコリラ円相場の更なる下落に警戒が必要
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.25ー7.65
今週のレビュー(11/7−11/11)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.89円で寄り付いた後、翌11/8にかけて、週間高値7.98円まで上昇しました。しかし、心理的節目8.00円や200日移動平均線(8.02円)をバックに戻り売り圧力が強まると、(1)国際通貨基金(IMF)の事務方代表団による「トルコが直面する試練に対処するため中央銀行の独立性を強化するとともに政策金利を早期に引き上げることを勧告する」との発表(トルコ政府・中銀はIMFの勧告を無視する公算が大きく、今後IMFとの関係性が悪化する恐れあり)や、(2)トルコ9月失業率(結果10.1%、前回9.6%)の大幅悪化、(3)米CPI後のドル円急落(ドル円は米CPI鈍化を経て146円台半ばから138円台後半まで大暴落→トルコリラ円相場連れ安)、(4)直近レンジ(7.80ー8.00円)下方ブレイクに伴う仕掛け的なトルコリラ売りが重石となり、週末にかけて、週間安値7.48円(8/26以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/12午前2時25分現在)では、7.49円前後で推移しております。(編集部注:終盤にかけ下値を7.46まで拡大)
来週の見通し(11/14−11/18)
トルコリラの対円相場は、10/21に記録した約4ヵ月ぶり高値8.17円をトップに反落に転じると、今週末にかけて、8/26以来、約2カ月半ぶり安値となる7.48円まで急落しました。直近2週間に亘って続いた7.80ー8.00円レンジを下方ブレイクしたことや、主要サポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線、一目均衡表雲上下限など)を軒並み下抜けしたこと、強い下落トレンド入りを示唆する弱気のバンドウォーク(ローソク足がボリンジャーバンド下限に沿って下落し続ける状態)や一目均衡表三役逆転(転換線と基準線のデッドクロス、遅行線の26日前のローソク足下抜け、ローソク足の雲下限下抜けが全て揃う状態)が成立したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ中銀による追加利下げ観測(トルコ中銀はCPIが約24年ぶり高水準を記録しているにも係わらず、エルドアン大統領の方針に従う形でここまで3会合連続で利下げを実施。エルドアン大統領は9/28に「政策金利が年末までに1桁台に低下することを望む」と発言していることから、次回会合でも追加利下げが決定される公算大)や、(2)上記を背景としたトルコリラの実質金利急低下、(3)トルコ・欧米間の関係悪化懸念(エルドアン大統領とプーチン大統領の急接近に対する警戒感)、(4)円キャリートレード逆流への警戒感(米FRBによる利上げペース鈍化期待と本邦政府・日銀による介入観測の組み合わせでドル円が大暴落→トルコリラ円連れ安)など、トルコリラ円相場の更なる下落を連想させる材料が揃っています。
(5)トルコ中銀が主導するリラ化戦略(外貨預金からリラ建て預金への転換を促す資本規制など)の効果も徐々に剥落しつつあるため、来週はトルコリラ円相場の更なる下落に警戒が必要でしょう(8/2に記録した年初来安値7.24円に向けて下げ足を速めるシナリオを想定)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):7.25ー7.65
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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