7.80円割れ回避で7.90円まで戻すも失速気味、三角持ち合いの様相
〇トルコリラ円、ドル円の下落と同調し戻り高値を切り下げつつ9日夕刻には7.81へ下落
〇その後ドル円の反発に合わせ7.90まで戻すも10日午前序盤にかけては7.86まで失速
〇対ドルでは9日早朝に18.49まで戻したところもまた売られ元のレンジ相場へ押し返される
〇7.80の下値支持線を維持し三角持ち合い上放れへ向かうか7.80割れから下放れで下落か重要な局面
〇7.85を上回るうちは上昇余地あり、7.90超えからは7.93前後への上昇を想定
〇7.85割れから7.80試し、7.80前後は買い戻しも入りやすい、急落商状なら7.78前後へ下値目途引き下げ
【概況】
トルコリラ円の11月9日は7.90円から7.81円の取引レンジ、10日早朝の終値は7.87円で前日終値の7.85円からは0.02円の円安リラ高だった。
ドル円は11月3日未明安値145.66円から3日夜高値148.44円まで戻したところで上昇一巡となり、その後は戻り高値を切り下げつつ徐々に安値も切り下げて11月9日は昼と夕刻に145.20円を割り込んで10月27日安値145.10円に迫ったが、9日夕刻からは11月3日夜以降のドル安に一巡感が出てユーロやポンドが反落する中でドル円も持ち直しを図り、夜には146円台を回復して10日早朝には146.79円まで戻り高値を切り上げた。しかし147円には届かずに10日午前は146円台序盤へ失速している。
トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた展開で、11月3日未明安値で7.83円まで下げたところから4日早朝に7.97円まで戻し、その後はドル円の下落と同調して戻り高値を切り下げつつ9日夕刻には7.81円へ下落、夕刻からはドル円の反発に合わせて10日早朝高値7.90円まで戻したものの、10日午前序盤にかけては7.86円まで失速しているところだ。
ドル円は10月27日午後安値145.10円割れをひとまず回避しているが、トルコリラ円も10月27日安値7.80円割れをひとまず回避している。
米中間選挙による下院での共和党優勢による「ねじれ議会」発生と先行きの政局不安、10日夜の米CPI発表を控えたドルの買い戻し、NYダウの大幅下落や仮想通貨の大幅続落等によるリスク回避感がドル買いを助長している印象であり、10日夜の米CPIからドル円も大きく動く可能性があるため、トルコリラ円にとっても波乱注意の状況と思われる。
【対ドルでは元のレンジ相場圏に押し戻される】
ドル/トルコリラの11月9日は18.62リラから18.51リラの取引レンジ、10日早朝の終値は18.59リラで前日終値の18.53リラからは0.06リラのドル高リラ安だった。
1ドル18.62リラを中心値に、18.50リラ前後で売られて18.60リラ台の安値を試すレンジ相場が続いていたが、
11月4日は18.67リラへ取引時間中の史上最安値(ベンダーによってはすでに18.70リラ台の安値提示もみられる)を更新したところから18.44リラへ反騰し、8日には18.41リラまで高値を伸ばしてこれまでの膠着状態から脱却しつつあったもののリラ売りの再燃となって18.61リラまで売られ、9日早朝に18.49リラまで戻したところもまた売られて元のレンジ相場へ押し返されている。
11月3日夜からのドル全面安によりユーロやポンドが反騰を続けてきたが、9日未明からはドル高のぶり返しとなりユーロやポンド等が反落、資源通貨では豪ドルやメキシコペソが下落して南アランドが上げ渋りとなり、トルコリラにも全般的なドル高による圧力がかかった印象だ。
【ドル円と共に三角持ち合いの様相、持ち合い放れのきっかけをつかみたいところ】
トルコリラ円は10月21日に8.17円を付けて8月2日安値7.27円以降の高値を更新したが、その後は10月27日に7.80円へ下落し、11月1日に8.01円まで戻してから戻り高値を切り下げつつ11月9日には7.81円まで下げて10月27日安値割れへの余裕が乏しくなっている。
この動きは10月21日にドル円が日銀の大規模市場介入により急落した後を145円割れを回避して日足ベースで三角持ち合いを形成している動きと同調しているが、ドル円が145円割れを回避したところから持ち合い上放れへ進むのか、145円割れから持ち合い下放れに入って下げ足を速めるのかという重要な分岐点に来ており、トルコリラ円も7.80円の下値支持線を維持して三角持ち合い上放れへ向かうのか、7.80円割れから下放れに入って下落感を強めるのか、重要な局面といえる。
11月3日夜から11月9日夕刻にかけてのドル安は、11月3日未明のFOMCと11月4日の米雇用統計を通過して当面のドル買い材料が一巡したことと米FRBによる12月以降の利上げペースダウンを想定したものだが、利上げペースが鈍化したとしても今後の利上げは継続し、FRBによる利上げピーク水準は9月時点よりも切り上がった状況にあるとされており、日米長期金利の差が今後も拡大してドル円の上昇が続く可能性も維持されていると思われる。今晩の米CPI上昇率が予想を上回る場合や今後の経済指標が強いなら米FRBの利上げペースはさほど緩まないとしてドル円の上昇が勢い付く可能性があり、その際はトルコリラ円もドル円を追いかけて10月21日高値超えを目指す可能性が高まると思われる。
しかし、相場は先読みの世界でもあり、将来の利上げピークを見極めれば当面の長期債利回り上昇も落ち着くとしてドル円が下落に転じる可能性も併せ持っている。持ち合いは売り方と買い方の力関係が拮抗していることを示すものであり、持ち合い放れに付けというのが鉄則とされるが、現状の三角持ち合いから上下いずれへ進むにせよ、トルコリラ円にとっても大きく動意付く前夜情勢と考えたいところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは11月4日午前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして8日未明から10日未明にかけての間への下落を想定してきたが、11月7日夜に一段安したところから凡そ0.10円規模の反騰となったために11月9日午前時点では11月7日夜安値で直近のサイクルボトムを付けたとした。また戻りは短命の可能性もあるとして7.91円割れからは弱気サイクル入りとした。
11月9日夕刻にかけて7.91円割れから7.81円へ大幅下落してから7.90円まで戻したため、11月3日未明安値から4日半となる11月9日夕安値を直近のサイクルボトムと改める。サイクルトップ形成期は9日午前から11日午前にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にあると注意し、11月9日夕安値割れ回避のうちは上昇余地ありとするが、9日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして14日夕から16日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11月9日夕安値からの反騰で遅行スパンが好転し、先行スパンから一時上抜けたもののその後の反落で先行スパンから転落しつつある。先行スパンを上抜き返す場合は上昇継続として遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンからの転落が続く場合は一段安警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11月9日夕安値からの反騰で60ポイントに到達したがその後は失速気味となっている。45ポイント以上での推移中は55ポイント超えから上昇再開とするが、45ポイント割れからは下落継続とみて30ポイント割れを試す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.85円を下値支持線、7.90円を上値抵抗線とする。
(2)7.85円を上回るうちは上昇余地ありとし、7.90円超えからは7.93円前後への上昇を想定する。7.93円以上は反落注意とするが、7.88円以上での推移なら11日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)7.85円割れからは7.80円試しとみる。7.80円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、7.85円以下での推移が続く場合は11日も安値試しへ向かいやすい状況とし、急落商状の場合は7.78円前後へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
11月10日
16:00 9月 失業率 (8月 9.6%)
20:30 週次 外貨準備高 11/4時点 グロス (前週 748.0億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 11/4時点 ネット (前週 134.5億ドル)
11月11日
16:00 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 2.4%)
16:00 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 1.0%)
16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 3.7%)
16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 9.0%)
16:00 9月 経常収支 (8月 -31.1億ドル)
次回以降のトルコ中銀MPCは11月24日、12月22日の予定
注:ポイント要約は編集部
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