145円割れ回避で戻すも勢い鈍く147円に届かず
〇ドル円、9日昼と夕刻に145.10台へ下落するも10/27午後安値145.10割れを回避
〇その後ドル買い優勢となり、夜の上昇で146円を超え10日早朝に146.79をつける
〇米中間選挙では上院は与野党接戦、下院は共和党優勢の模様
〇10日夜米CPI発表、やや上昇率減速なら12月及び年明けのFOMCで利上げペースダウン見込まれる
〇9日NYダウは前日比646.89ドル安と大幅下落、米10年債利回りは前日比0.03%低下で続落
〇146.80超えからは147円台序盤(147.00円から147.25円)への上昇を想定
〇145.80割れからは下落再開の可能性を優先し11/9昼安値145.16試し
【概況】
ドル円は11月9日昼と夕刻に145.10円台へ下落したものの10月27日午後安値145.10円割れを回避、夜は米長期債利回りが低下したものの独英等の長期債利回りも低下したことでドル安にブレーキがかかり、米中間選挙で下院の共和党優勢による、ねじれ議会発生懸念と政局不安からドル買い優勢となったために夜の上昇で146円を超えて10日早朝には146.79円を付けた。
11月3日夜からのドル全面安が落ち着き、ユーロやポンドが下落、仮想通貨市場も前日の暴落からさらに続落し、NYダウが600ドル安を超える反落となったことでリスク回避的なドル買いが見られた印象だ。11月10日夜の米10月CPI発表を控えていることもドル買いを助長したと思われる。
【米中間選挙は民主党善戦だが下院は共和党優勢】
米中間選挙では上院は与野党接戦、下院は共和党優勢の模様。バイデン大統領は民主主義的な選挙結果として冷静を装い、事前報道よりも民主党が善戦していることで次の大統領選挙での再出馬の可能性も出てきたとの報道もある。
しかしバイデン民主党政権と下院の共和党優勢による「ねじれ議会の状況ではバイデン大統領による積極的な財政出動と国債増発にブレーキがかかりかねず、連邦政府債務上限問題も毎回の引き上げ決定でギリギリまで混乱したり一時的なデフォルトや政府機関停止の可能性もあり得る状況となるため、金融市場にとっては先行き不透明感が強まるところだ。
バイデン政権としては昨年末から掲げてきたインフレ抑制が最重要課題としてきたことがまだ実現できず、米FRBによる超ハイペースでの利上げについて民主党内から批判が出る等、今後のFRBの運営にとっても政局が気になることとなる。しかし米国の高インフレを象徴するガソリン小売価格高騰を抑え込まなければインフレを抑制できないとの批判も高まりかねないため、FRBとしても「景気よりもインフレ抑制を優先」する姿勢を堅持することになるのではないかと思われる。
11月10日夜は米CPIの発表もあり、事前予想通りにやや上昇率が減速すれば12月及び年明けのFOMCにおける利上げペースダウンが見込まれて米長期債利回り低下とドル安へ進みやすくなり、ドル円としては145円割れを試す可能性が高まると思われるが、CPIが予想を上回る伸び率となる場合には利上げペースダウンへの期待が後退してドル高となり、ドル円も145円割れ回避からの上昇再開へと進みやすくなると思われる。
【NYダウは大幅下落、米長期債利回りは低下】
11月9日のNYダウは前日比646.89ドル安と大幅下落した。11月4日から8日まで3連騰の上昇で千ドルを超える上昇幅となってきたが、3連騰の半値を削る反落となった。米中間選挙でのねじれ議会発生と先行き不透明感、中国の感染拡大が収まらないことでの景気減速懸念、前日からの仮想通貨市場の大幅下落などが重石となった印象だ。ナスダック総合指数も263.02ポイント安で4日ぶりの反落となったが、直前の連騰も勢いが鈍かったために10月13日安値に対する余裕もさほどない状況にある。
米長期債利回りは低下した。指標の10年債利回りは前日比0.03%低下の4.10%で8日の前日比0.09%低下からの続落となった。30年債利回りも0.01%低下の4.27%となったが8日の0.04%低下から続落した。2年債利回りは0.07%低下の4.59%となり前日の0.07%低下からの大幅続落となっている。
米長期債利回りが低下すればドル安となりやすいところだが、前日までのユーロ高をけん引してきた独長期債利回りや英長期債利回りが低下したためにドル安要因とならず、逆にユーロやポンドにとっては11月3日夜からの上昇一服による下落要因となった。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は11月9日昼と夕刻に145.10円台へ下落したところから146円台後半へ戻したため、11月3日夜からの下落が11月9日昼安値で一巡となって上昇期に入った印象だ。しかし147円には届かずに勢いが鈍い印象であり、146円を割り込んで続落し始める場合は下落再開感が強まりかねないところと思われる。このため、146円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは10日の日中から11日にかけての上昇余地ありとするが、145.80円割れからは11月9日昼安値試しとし、底割れからは新たな下落期入りとみて16日の日中にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、11月9日夜の上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンからも一時は上抜けた。その後は先行スパンへ潜り込んでいるため、遅行スパン好転中は上昇継続とみて高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11月9日未明から昼にかけての安値切り下げに際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて60ポイント台まで戻したが、60ポイント以上を維持しきれずにいる。このため60ポイント台回復からは70ポイント台を目指す上昇を想定するが、50ポイント割れから続落し始める場合は30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、145.80円を下値支持線、146.80円を上値抵抗線とする。
(2)146円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、146.80円超えからは147円台序盤(147.00円から147.25円)への上昇を想定し、146円以上での推移なら11日も高値試しを続けやすいとみる。また夜の米CPI発表からドル高反応の場合は148円に迫る上昇を想定する。
(3)145.80円割れからは下落再開の可能性を優先して11月9日昼安値145.16円試しとし、底割れからは144円前後への下落を想定し、145.50円以下での推移なら11日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11/10(木)
22:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
22:00 (英) ラムスデン英中銀副総裁、講演
22:30 (米) 10月 消費者物価指数(CPI) 前月比 (9月 0.4%、予想 0.6%)
22:30 (米) 10月 消費者物価指数(CPI) 前年同月比 (9月 8.2%、予想 8.0%)
22:30 (米) 10月 CPIコア指数 前月比 (9月 0.6%、予想 0.5%)
22:30 (米) 10月 CPIコア指数 前年同月比 (9月 6.6%、予想 6.5%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.7万件、予想 22.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 148.5万人、予想 147.5万人)
23:35 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、講演
26:30 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
27:00 (米) 財務省30年債入札
27:30 (米) ジョージ・カンザスシティ連銀総裁、講演
28:00 (米) 10月 月次財政収支 (9月 -4297億ドル)
11/11(金)
中国、インターネット通販「独身の日」バーゲン
休場、米国(ベテランズデーで為替、債券が休場、株式、商品は通常取引)、カナダ
08:50 (日) 10月 国内企業物価指数 前月比 (9月 0.7%、予想 0.6%)
08:50 (日) 10月 国内企業物価指数 前年同月比 (9月 9.7%、予想 8.8%)
16:00 (独) 10月 消費者物価指数(CPI)改定値 前月比 (速報 0.9%、予想 0.9%)
16:00 (独) 10月 消費者物価指数(CPI)改定値 前年同月比 (速報 10.4%、予想 10.4%)
16:00 (英) 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4-6月 0.2%、予想 -0.5%)
16:00 (英) 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4-6月 4.4%、予想 2.1%)
16:00 (英) 9月 月次GDP 前月比 (8月 -0.3%、予想 -0.6%)
16:00 (英) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -1.8%、予想 -0.2%)
16:00 (英) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -5.2%、予想 -4.4%)
16:00 (英) 9月 貿易収支・物品 (8月 -192.57億ポンド、予想 -185.00億ポンド)
16:00 (英) 9月 貿易収支・全体 (8月 -70.80億ポンド、予想 -65.00億ポンド)
21:00 (欧) パネッタECB理事、講演
21:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
22:10 (英) テンレイロ英中銀委員、講演
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (10月 59.9、予想 59.0)
25:00 (欧) レーンECB理事、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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