ドル円 しばらくは横方向のもみあい継続(週報11月第1週)

先週のドル円は、イベント直後の一時的な振れを除くとほぼ146円台後半から148円台半ばでのもみあいに終始しました。

ドル円 しばらくは横方向のもみあい継続(週報11月第1週)

しばらくは横方向のもみあい継続

〇先週のドル円、イベント直後の一時的な振れを除けば146円台後半から148円台半ばでのもみあいに終始
〇金利差拡大によるドル買い円売りにつながりやすいという構図は不変なるも、多額の介入で上値重い
〇先週のFOMC、0.75%の利上げは事前予想通り、利上げ幅縮小検討もWSJの観測記事通り
〇意外だったのはピーク金利が高くなるとの見通し、これによりFF先物は23年3-11月まで5-5.25%に
〇ドル円、ここから下がったとしても140円の大台手前ではかなりのドル買いがわいてくる可能性は高い
〇今週はドルの流れを大きく変えるような材料なく、引き続き短期的にはもみあい継続という見方
〇今週は145.50レベルをサポートに、149.00レベルをレジスタンスとする週とみる

今週の週間見通し

先週のドル円は、イベント直後の一時的な振れを除くとほぼ146円台後半から148円台半ばでのもみあいに終始しました。大きくは145〜150円のレンジの中で、日米金利差拡大がドル買いトレンドのベースにあるいっぽうで大規模介入後の150円台の重さから、ドルの買い手も回転が速く利食い幅も小さくなってきていることが動きを少なくしていると言えます。

上述の長期的には日米金利差の影響が依然としてありますし、先週も見たようにザラバベースのドルの動きも米金利の上下をきっかけに動いていることが多いため、流れは金利差拡大によるドル買い・円売りにつながりやすいという構図は変わりません。しかし、ここ一週間程度で見ると米金利は先高観が強く、金利は10月27日を目先の底に上昇していますが、円相場は大規模介入により約9兆円(約600億ドル)分のドルがドル売り切りとして出たわけですから、ドルの上値が重くなることは当然でしょう。逆に600億ドル売り切りで出ているにも関わらず、ドルが底堅いという動きの方が為替市場の大きさを感じさせるという感じです。

先週はFOMCが最大のイベントでしたが、0.75%の利上げは事前予想通り、今後の利上げ幅縮小検討もWSJのフェドウォッチャー、ティミラオス氏の観測記事通りでした。若干の意外感があったのは、これまでのピーク金利よりも高くなるとの見通しで、これによりFF先物は2023年3月〜11月FOMCまで5.0〜5.25%がコンセンサスとなり、2023年12月に緩和への転換もありうるという見方です。

下のFF先物のチャートは上から2022年12月、2023年3月、6月、9月の取引水準ですが、3月以降は5%前後での取引となっていることが確認できます。

しばらくは横方向のもみあい継続

現在の誘導目標は3.75〜4.0%となりましたが、利上げペースは緩やかになってもあと1.25%の利上げが行われ、それがそのまま日米金利差拡大につながるとなると、ここから下がったとしても140円の大台手前ではかなりのドル買いがわいてくる可能性は高いでしょう。今週はドルの流れを大きく変えるような材料もありませんので、引き続き短期的にはもみあい継続という見方でよさそうです。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

先週も指摘した通りですが、テクニカルに現状では10月高値と先週安値の61.8%戻し149.32を戻り高値の水準と見て、下値については10月27日安値145.09を見ておけば、このレンジの中での横方向のもみあいという見方でよいでしょう。

上記レンジをやや内側に狭めて、今週は145.50レベルをサポートに、149.00レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

11月7日(月)
**:** 米国冬時間開始 ☆
**:** 中国10月貿易収支
16:00 ドイツ9月鉱工業生産
17:40 ラガルドECB総裁講演 ☆
18:30 パネッタECB理事講演
29:40 ボストン連銀総裁、クリーブランド連銀総裁講演 ☆

11月8日(火)
08:00 (リッチモンド連銀総裁講演)
08:30 豪州11月消費者信頼感
08:50 日銀会合主な意見公表
09:01 英国10月小売売上高
09:30 豪州10月企業景況感
16:45 フランス9月貿易収支
17:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
19:00 ユーロ圏9月小売売上高
26:30 ベルギー中銀総裁講演

11月9日(水)
08:50 本邦9月貿易収支(国際収支)
10:30 中国10月CPI・PPI ☆
17:00 NY連銀総裁講演 ☆
19:00 エルダーソンECB理事講演
24:00 米国9月卸売売上高
24:30 週間原油在庫統計
25:00 (リッチモンド連銀総裁講演)

11月10日(木)
09:01 英国10月住宅価格
16:00 ウォラーFRB理事講演
16:00 トルコ9月失業率
20:30 スペイン中銀総裁講演
22:00 シュナーベルECB理事講演
22:30 米国新規失業保険申請数
23:35 ダラス連銀総裁講演
26:30 クリーブランド連銀総裁講演
27:30 カンザスシティ連銀総裁講演 ☆

11月11日(金)
**:** 米国債券市場休場
16:00 英国7〜9月期GDP速報値 ☆
16:00 英国9月鉱工業生産、貿易収支
16:00 ドイツ10月CPI
16:00 トルコ9月鉱工業生産
18:00 オーストリア中銀総裁講演
21:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
21:00 パネッタECB理事講演
24:00 米国11月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆
25:00 レーンECB理事講演 ☆
25:00 スペイン中銀総裁講演
26:30 ドイツ連銀総裁講演

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月31日(月)
週明けの東京市場では仲値まではドル買い、その後はドル売りとどちらも月末の実需による売買が出ていました。その後欧州市場に入り、米金利上昇とともにドル買いに動き、東京前場高値を上抜けると仕掛けのドル買いも出てNY昼前には148.85レベルまで上昇し、高値圏でもみあいのまま引けました。

11月1日(火)
東京市場からNY市場が始まるまで、FOMCを前にした調整と見られる動きから10年債利回りは4.05%台から大台を割り込み3.92%台まで低下しました。その動きとともにドル売りの動きが広がり、ドル円も早朝の148.83レベルから欧州市場の146.99レベルまで水準を切り下げました。NY市場に入り発表された経済指標が予想よりも強かったことをきっかけに一転金利上昇の動きとなり、10年債利回りは行って来い、ドル円もNY昼過ぎには148.35レベルまで戻し、148円台前半でもみあいのまま引けました。

11月2日(水)
2日のドル円はFOMCを前にドル売りが先行、FOMCでは予想通り0.75%の利上げと将来の利上げはタイムラグを考慮という文言が加わり、初動はドル売りで反応し145.67レベルの安値をつけました。しかしパウエルFRB議長の会見では金利のピークは従来の想定よりも高いと発言したことで、米金利上昇とともにドル円も147.97レベルまで反発し高値圏での引けとなりました。

11月3日(木)
東京市場が休場となった3日は早朝に利食いが出たことで薄い中を147.11レベルまで下押しが見られましたが、その後は議長会見後の米金利上昇とドル買いが続きNY朝方には148.45レベルまで上昇後高値圏での引けとなりました。

11月4日(金)
米国雇用統計の発表を前に前日のドル買いに対するポジション調整の売りが先行し、147円台半ばまで水準を下げての雇用統計待ち。最初は予想よりも強いNFPに反応したドル買いとなったものの失業率は弱く反落。引けにかけては雇用統計前のドル売りの流れに戻り146.55レベルまで下落し安値圏での引けとなりました。

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