ドル円 週足は3週連続陰線、若干の風向きの変化も(週報11月第1週)

先週のドル/円相場はドルが小幅に続落。米FOMCで利上げが実施されたうえ、週末に発表された注目の米雇用統計は良好な内容となったがドル買いは限定的だった。

ドル円 週足は3週連続陰線、若干の風向きの変化も(週報11月第1週)

週足は3週連続陰線、若干の風向きの変化も

〇先週のドル円、週初、週間高値148.85まで上伸するもFOMC後に一時145円台まで下落
〇その後持ち直すも上値重く、週末NYは146.60レベルで取引を終える
〇FOMC0.75%の利上げ決定するも、パウエル議長「利上げペース減速の時期は近づいている」と発言
〇米雇用統計はNFPは予想上回ったものの、終盤の連銀関係者のハト派発言等で下げる
〇今週は10月消費者物価指数に注目、ドル/円予想レンジ145.00-149.00
〇ドル高・円安方向は147.70レベルが最初の抵抗
〇ドル安方向は先週安値145.67が最初のサポート、下回ると145.11や144円半ばなどが意識されそう

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小幅に続落。米FOMCで利上げが実施されたうえ、週末に発表された注目の米雇用統計は良好な内容となったがドル買いは限定的だった。

前週末は、ロシア国防省が「パイプライン爆発に英国が関与」と断言するなど、幾つかの材料で「英国vsロシア」の様相が強まり一部で思惑を呼ぶ。一方、バイデン米大統領のG20出席が明らかとなり、対面式の米中首脳会談が実現するか否か市場の関心を集めていた。
そうした状況下、ドル/円は147.70円レベルで寄り付いたのち、週間高値の148.85円まで上伸。しかし、以降はドルがおおむね冴えず。米FOMCでの利上げ実施、注目の米雇用統計は良好な内容などと好材料があったものの、ドルの上値は限られたばかりか、むしろ下値模索が目に付く展開だった。ドルは一時145円台まで下落したのち持ち直したが、上値はすでに重い。週末NYは146.60円レベルで取引を終え越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策とファンダメンタルズ」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、週の半ば2日に米FOMCの結果が発表され、4会合連続となる「0.75%の利上げ」となったが、これは想定内。問題となっていた次回以降の見通しについて、「インフレ率を2%に戻すため、十分に景気抑制的な金融政策スタンスにする」と強調、利上げ継続の方針が維持されたものの、パウエルFRB議長が「利上げペース減速の時期は近づいている」と発言したことが一時嫌気される局面もみられている。また、週末に発表された米雇用統計のうちもっとも注視されている非農業部門雇用者数は市場予想を上回ったものの、ボストン連銀など一部の地区連銀総裁から「今後の利上げペースはこれまでよりも小幅になる可能性がある」といった少し弱気の発言が聞かれたことで、全般的にドル売りに押されていた。

対して後者は、2日に北朝鮮から「20発以上」とも言われるミサイル発射が観測され物議を醸すなか、翌3日には早朝に続き深夜にも北朝鮮のミサイル発射が観測されていた。それも、「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」だった可能性が取り沙汰されたうえ、宮城県や新潟県にJアラートが再び発令されるなど、一時はかなり緊迫した状況に。そうしたなか、北朝鮮高官が「取り返しのつかない重大な過ちを犯したと知ることになる」と実施されていた米韓軍事演習への不満を示していたが、北朝鮮のミサイル発射を受け4日に終了する予定だった同演習が一日延期されるなど、逆効果だったとの見方も取り沙汰されていた。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場の週足を見た場合、先週まで3週連続の陰線引け。今年に入って以降、週足の3週連続陰線が最高で、4週連続は一度もまだない。ドル高という中期トレンドの転換を指摘するにはまだ早いと思われるものの、ドル高一辺倒だった雰囲気が変わりつつあり、注意を払いたい。10月27日安値の145.11円、あるいは同21日円買い介入後安値の144円半ばを下回ると、さらなるドル安の進行もありそうだ。
市場の注目度の高い日米金利状況は、日銀が10月28日の決定会合で金利の据え置きを発表したうえで、黒田総裁が「いますぐ利上げ、出口が来るとは考えていない」と発言。それに対して、米国は先週のFOMCで4会合連続の「0.75%利上げ」が実施されたほか、「利上げ停止の議論は時期尚早」との考えが示されていた。改めて指摘するまでもなく、日米の考えはあまりにも大きく異なる。政府・財務省による介入効果もあり、ドルの上値を積極的に買い進める向きは多くなさそうだが、それでもドルが大きく崩れる展開もなかなか予想しにくい。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は前述したように週足が3週連続で陰線引けになったうえ、日足では147.70円レベルまで達してきた移動平均の21日線を、いよいよ「しっかり」と割り込んできたことが気掛かり。つまり、今週は21日線がこれまでと逆に抵抗として寄与することになるのかもしれない。そんなドルの下値メドは145.11円や144円半ばなど。対して、21日線を再び超えていった場合には先週高値148.85円が最初のターゲットとなりそうだ。

今週は、10月の消費者物価指数をはじめとする米経済指標が発表される予定となっている。また政治要因になるが、8日に予定されている米中間選挙もリスク要因になりかねない。現時点では野党・共和党が優勢とみられるなか、与党・民主党の巻き返しがあるのか注目だ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、145.00-149.00円。ドル高・円安については、週明けで147.70円レベル、週末にかけては148円台乗せも予想される21日線をめぐる攻防にまずは注目。超えれば148.85円を目指す。
対してドル安・円高方向は、先週安値145.67円が最初のサポートで、下回ると145.11円や144円半ばなどが意識されそうだ。底堅いイメージもあるとはいえ、大きな下押しにも一応要注意。

週足は3週連続陰線、若干の風向きの変化も

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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