『7.80ー8.00レンジが継続中。但しリスクは依然ダウンサイドか』
〇今週のトルコ円、週初8.01まで上昇後、週央にかけ7.82まで下落、上値重い
〇週央のFOMC結果公表後のドル円急落、トルコCPIの24年ぶり伸び率更新等が重石に
〇ローソク足近辺に主要テクニカルポイントが密集、テクニカル的にポジションを傾けづらいチャート形状
〇ファンダメンタルズはトルコリラ円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料揃う
〇引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.75ー8.05
今週のレビュー(10/31−11/4)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.93円で寄り付いた後、トルコ中銀による国内金融機関に対する警告発信(時間外に外国金融機関と為替取引を行っていることや、債券保有義務の回避を目的に高金利預金の提供を行っていることに対する警告)や、対主要通貨での円売り圧力、リラ安を追い風とした観光客の流入継続、ロシア富裕層を巡る逃避資金流入の思惑などが支援材料となり、翌11/1にかけて、週間高値8.01円まで上昇しました。しかし、200日移動平均線をバックに伸び悩むと、トルコ10月製造業PMI(結果46.4、前回46.9)の冴えない結果(好不況の分岐点50を8ヵ月連続で下回る結果)や、米FOMC及びパウエルFRB議長記者会見直後のドル円急落が重石となり、週央にかけて、週間安値7.82円まで下落しました。その後も、トルコ10月消費者物価指数(結果85.51%、前回83.45%)の約24年ぶり伸び率更新や、対主要通貨での円買い圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間11/5午前2時15分現在)においても、7.90円前後での上値の重い展開が続いております。
来週の見通し(11/7−11/11)
トルコリラの対円相場は、10/21に記録した約4ヵ月ぶり高値8.17円をトップに反落に転じると、10/27にかけて、約3週間ぶり安値7.77円まで下げ幅を広げましたが、今週は一目均衡表雲上限をバックに7.80ー8.00円を中心としたレンジ相場が継続しました。ローソク足近辺に主要テクニカルポイントが密集するなど、テクニカル的に見て、ポジションを傾けづらいチャート形状となっております(現在はトレンドが出ていないため、ロング・ショート共にポジションを張りづらい時間帯。次に動きが出るタイミングとしては8.03円近辺に位置する200日移動平均線を突破する時と、7.76円近辺に位置する一目均衡表雲上限を下抜ける時。前者はロングエントリ、後者はショートエントリ)。
但し、ファンダメンタルズ的に見れば、トルコ中銀による追加利下げ観測(トルコ中銀は国内物価が約24年ぶり高水準を記録しているにも係わらず、ここまで3会合連続で利下げを実施。エルドアン大統領は9/28に「政策金利が年末までに1桁台に低下することを望む」と発言していることから、次回会合では100bpから150bpの追加利下げが決定される公算大)や、トルコリラの実質金利急低下(インフレ昂進と政策金利引き下げの組み合わせ)、トルコ・欧米間の関係悪化懸念(エルドアン大統領とプーチン大統領の急接近に対する警戒感)など、トルコリラ円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています(事実、対ドル相場は今週も史上最安値を更新)。
トルコ中銀によるリラ化戦略(外貨預金からリラ建て預金への転換を促す資本規制など)を背景に、リラ売り圧力が一時的に抑制されつつありますが、ファンダメンタルズを無視した資本規制は長期化が難しいことから、一巡後の反動(副作用を伴うリラ売り再開)が警戒されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ9月失業率や、同経常収支、同鉱工業生産に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):7.75ー8.05
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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