トルコリラ円見通し FOMC後にドル円と共に当初の急落から反騰入り(22/11/4)

11月3日は7.97円から7.89円の取引レンジ、4日早朝の終値は7.96円で前日からは0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し FOMC後にドル円と共に当初の急落から反騰入り(22/11/4)

トルコリラ円見通し FOMC後にドル円と共に当初の急落から反騰入り

〇トルコリラ円、FOMC直後のドル円急落時に7.89近辺から7.82へ急落、ドル円反騰時に7.95まで急上昇
〇11/3午前に7.89まで下げた後夜に7.97へ戻し、その後の小反落も買い戻され11/4午前序盤は7.96近辺
〇FOMC声明発表直後はドル全面安となるも、議長会見でタカ派姿勢継続とみてドル全面高へと急旋回
〇対ドル、11/3は18.64から18.60の取引レンジ、11月に入ってからは18.62を中心とした持ち合い
〇10月貿易収支は2か月連続改善だが高水準、消費者物価上昇率は予想を若干下回るも反応は限定的
〇7.92を上回るうちは上昇余地ありとし、7.98超えからは8.02前後への上昇を想定する
〇7.92割れを弱気転換注意とし、7.90割れからは7.87前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の11月2日は7.98円から7.82円の取引レンジ、3日早朝の終値は7.94円で前日終値の7.97円からは0.03円の円高リラ安だった。11月3日は7.97円から7.89円の取引レンジ、4日早朝の終値は7.96円で前日からは0.02円の円安リラ高だった。
ドル円はFOMC声明発表直後に145.66円へ急落したが、パウエル米FRB議長会見から急騰に転じて148円に迫り、3日朝には148円に到達し、3日午前にいったん147.10円まで下げたところから3日夜には148.44円へ高値を切り上げ、深夜に147.60円まで反落したところを買われて4日午前序盤には148円台序盤へ戻している。
トルコリラ円はドル円の急落時に直前の7.89円近辺から7.82円へ急落し、ドル円の反騰時に7.95円まで急上昇した。11月3日午前に7.89円までいったん下げてから夜高値で7.97円へ戻し、その後の小反落も買い戻されて4日午前序盤は7.96円近辺で高値切り上げを伺う位置取りとなっている。

米FOMCは市場予想通りに0.75%利上げを決定して12月から利上げペース減速の可能性を示唆する一方で9月時点の想定よりも今後の利上げによる金利のピーク水準が切り上がるとしたため、FOMC声明発表直後はドル全面安となったものの議長会見でタカ派姿勢はさほど変わっていないと受け止めてドル全面高へと急旋回した。
今後は12月FOMCで5会合連続の0.75%利上げとなるのか0.50%利上げに抑えて年明けからは0.25%ずつの通常ペースへ鈍化するのかを見極めてゆくことになるが、まずは11月4日夜の米雇用統計内容が焦点となる。

【対ドルでは史上最安値近辺での膠着続く】

ドル/トルコリラの11月2日は18.64リラから18.59リラの取引レンジ、3日早朝の終値は18.62リラで前日終値の18.57リラからは0.05リラのドル高リラ安となった。FOMC声明発表から議長会見後にかけて為替市場は乱高下となったもののドル/トルコリラの反応は鈍かった。
11月3日は18.64リラから18.60リラの取引レンジ、4日早朝の終値は18.61リラで前日終値からは0.01リラのドル安リラ高だった。11月3日夕刻のトルコ消費者物価上昇率については市場予想を若干下回ったことで反応は薄かった。
11月入りしてからは18.62リラを中心とした持ち合いであり、手元のデータでは取引時間中の史上最安値は10月11日の18.66リラだが、終値ベースでは11月2日の18.62リラで10月24日終値の18.60リラを超えて史上最安値更新している。ベンダーによっては11月3日の18.65リラで取引時間中の史上最安値更新としているものもあるが、10月後半以降では18.70リラ台の安値を提示しているベンダーも見られる。

【トルコの10月貿易収支は80.1億ドルの赤字】

11月2日にトルコ貿易省が発表した10月の通関ベース貿易収支速報値は80.1億ドルの赤字で赤字幅は8月に113億ドルで過去最大となったところから9月の103.8億ドルへ減少し、10月も2か月連続での改善となったが、依然として高水準が続いている。輸出は213億ドルで過去最大だった7月の234億ドルには届かなかったが高水準を維持した。しかし輸入は293億ドルで過去最大となった9月の330億ドルからやや減ったものの輸出を大幅に超過した状況が続いている。
トルコ統計局による10月貿易収支の発表は11月29日に予定されている。

【トルコの10月消費者物価上昇率は前年比85.51%に】

11月3日夕刻に発表されたトルコの10月消費者物価指数上昇率は前月比で3.54%となり9月の3.08%を上回ったが市場予想の3.60%をわずかに下回った。前年同月比は85.51%となり9月の83.45%からさらに伸びたが市場予想の85.60%をわずかに下回った。項目別では運賃輸送費が117.15%、食料・飲料品が99.05%、各生活雑貨が93.63%となり平均値を超えている。
コア指数の前月比は3.2%で9月の2.7%からさらに伸び、前年同月比も70.4%で9月に68.1%から伸びが加速した。
生産者物価指数の上昇率は前月比7.83%となる9月に4.78%から伸びが大幅に加速し、前年同月比は157.69%で9月の151.5%を大幅に上回った。項目別では電気ガススチームが554.56%、エネルギーが417.61%と異常な突出となっている。

トルコリラ円見通し FOMC後にドル円と共に当初の急落から反騰入り

消費者物価上昇率が予想を若干下回ったこともあり、為替市場の反応は限定的だったが、消費者物価指数も生産者物価指数も8月にやや伸びが鈍化したものの9月から10月へと2か月連続で伸びが加速しており、消費者物価の前年同月比は1998年6月の90.6%以来の24年ぶり高水準、生産者物価の前年同月比は手元にある1995年1月の156.82%以降の統計では過去最高となった。
リラ安による輸入インフレが解消できずにいる印象を深めたが、生産者物価上昇率がさらに伸びたことは11月の消費者物価をさらに押し上げる要因となりやすく、コア指数の伸びも収まらないため、トルコ中銀が11月の金融政策会合で政策金利を一桁へ利下げする場合には消費者物価上昇率とのマイナス乖離=実質マイナス金利状態が悪化することになる。インフレの実態を調査する独立系の「ENAグループ」は3日に年間のインフレ率は185.34%に達して実際の物価上昇は、統計局の数値よりも深刻とした。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは11月3日未明のFOMC声明発表直後に急落したところから急反騰しているため、11月3日未明安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。サイクルトップ形成期は11月2日未明高値を基準として5日未明から9日未明にかけての間とし、7.92円を上回るうちは上昇余地ありとするが、7.92円割れを弱気転換注意とし、7.90円割れからは弱気サイクル入りとして8日未明から10日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月3日未明安値からの反騰で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜き、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは一時的に遅行スパンが悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11月1日夜から3日未明への下落時には指数のボトムを切り上げる強気逆行が見られて反騰入りした。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは70ポイント台への上昇ありとするが、45ポイント割れからは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.92円を下値支持線、7.98円を上値抵抗線とする。
(2)7.92円を上回るうちは上昇余地ありとし、7.98円超えからは8.02円前後への上昇を想定する。8.02円前後は売りも出やすいとみるが、7.95円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.92円割れを弱気転換注意とし、7.90円割れからは7.87円前後への下落を想定する。7.87円前後は買いも入りやすいとみるが、下げが勢い付く場合は7.85円割れを試す可能性もあると注意し、7.92円以下での推移なら週明けは安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月4日 
 未定 10月 通関貿易収支速報 (9月 -96億ドル) 
11月7日
 23:00 10月 財務省現金残増減 (9月 -792.6億リラ)
11月10日
 16:00 9月 失業率 (8月 9.6%)
 20:30 週次 外貨準備高 10/10時点 グロス (前週 748.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 10/10時点 ネット (前週 134.5億ドル)
次回以降のトルコ中銀MPCは11月24日、12月22日の予定


注:ポイント要約は編集部

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