トルコリラ円見通し ドル円反騰で7.90円割れから8円台へ切り返す
〇トルコリラ円、ドル円騰落に合わせ7.89から8.01へ反騰、11/2午前序盤7.92割り込む
〇対ドル、18.50近辺で戻り売りにつかまり18.60リラ台安値を試す、ジリ安基調での持ち合い続く
〇政権は各種リラ安防衛策実施するも先安観継続、1ドル19リラ目指す流れとの声も
〇10月製造業PMIは46.4へ悪化、高インフレ進行で製造業景況感圧迫される状況
〇11/3夕刻トルコCPI発表予定、上昇続く場合リラ安が更に進行、対ドル最安値更新の可能性も
〇7.95超えからは8.01を試す上昇を想定、FOMC後勢い付く場合は8.05超えを目指す上昇を想定する
〇7.92以下での推移中は下向きとし、7.89割れからは7.85前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の11月1日は8.01円から7.89円の取引レンジ、2日早朝の終値は7.97円で前日終値の7.98円からは0.01円の円高リラ安だった。
米長期債利回りが低下してドル安が進行したためにドル円は10月31日深夜高値148.84円から下落に転じ、11月1日午後には148円を割り込み夕刻には146.98円まで大幅下落して10月27日午後安値145.10円からの反騰幅の凡そ半値を解消したが、1日夜の米経済指標が軒並み市場予想を上回ったことで米長期債利回りが反騰に転じてドル高がぶり返したために1日深夜には148円台回復まで急反発した。
トルコルラ円はドル円の乱高下に振り回されつつ、10月31日深夜高値7.99円から夕刻安値7.89円まで反落したが、ドル円の反騰に合わせて8.01円へ反騰した。
11月2日午前序盤にはドル円が148円を割り込む反落となっているためトルコリラ円も7.92円を割り込んでいる。
【対ドルでは史上最安値近辺での膠着続く】
ドル/トルコリラの11月1日は18.66リラから18.55リラの取引レンジ、2日早朝の終値は18.57リラで前日終値の18.59リラからは0.02リラのドル安リラ高だった。
18.50リラ近辺では戻り売りにつかまり18.60リラ台の安値を試すややジリ安基調での持ち合い相場が続いており、1日は小数点3桁の高値で18.657リラをつけて10月11日につけた史上最安値18.664リラに迫ったが安値更新には至らずに終盤はややリラの買い戻し優勢となったために前日比では若干のマイナスとなった。
トルコ中銀が国内銀行に対して通常営業終了後の為替売買を自粛するよう要請しているとの報道や、外貨保有企業への規制強化もあり、中銀の各種リラ安防衛策が下支えしている状況にある。一方でリラの先安観は継続しており、年後半のトルコ経済成長率の低下も懸念される中で先行きは1ドル19リラを目指す流れとの声も聞かれる。
【11月3日未明の米FOMCが焦点】
金融市場にとっては11月3日3時のFOMC声明発表と3時半のパウエル米FRB議長会見が最大の焦点となる。景気後退への懸念を意識してFRBの大幅利上げペースが鈍化して利上げの終点が見えるのか、インフレの高止まりに対して従来からの「景気よりもインフレ抑制を最優先」との姿勢を堅持して12月以降の大幅利上げを示唆するものとなるのか注目される。
市場の事前予想では今回のFOMCで4会合連続の0.75%利上げを決定し、12月については0.50%利上げへペースダウンして年明け以降は0.25%の通常利上げペースを若干継続するのではないかとみられているようだが、12月も0.75%利上げの可能性が高い印象を与える場合は米長期債利回りの上昇をともなってドル全面高となる可能性があり、逆にタカ派姿勢がトーンダウンしたとの印象を与える場合はドル全面安へと進む可能性がある。
FOMCの内容次第ではドル円の騰落も上下への振れ幅が大きくなるため、ドル/トルコリラで史上最安値を大幅に更新するような変動がなければトルコリラ円はドル円の騰落に合わせた動きとなり、ドル高円安ならトルコリラ円もこの間の高値更新へ進み、ドル円が急落する場合には8月からの戻り一巡による下落期入りへの印象を強める可能性がある。
【10月のイスタンブール製造業PMIは46.4へ悪化】
11月1日に発表されたイスタンブールの10月製造業PMIは46.4となり2か月連続で悪化して2020年7月の56.9以降の最低となった。特に今年に入ってからの低下傾向が顕著であり、高インフレの進行が製造業の景況感をかなり圧迫している相関性が見られる。
エルドアン政権は利下げとリラ安による輸出拡大と経常収支改善を目指しているが、最大都市での製造業景況感は悪化の一途であり、インフレがさらに進行するようだと製造業への打撃も大きくなると懸念される。
11月3日夕刻のトルコCPI発表では、市場予想に近い数字なら大きな動きには至らないと思われるが、CPI全体の上昇率は前期比で9月の3.08%から3.60%へ、前年比は9月の83.45%から85.60%へとさらに切り上がる見込みとなっている。コア指数が前月比及び前年比で9月からの伸びが鈍化する場合やPPI(生産者物価)上昇率が落ち着くなら、年末にかけてインフレもやや収まる傾向としてリラ高要因になることも考えられるが、CPIの上昇が収まらない印象が強まればリラ安がさらに進行して対ドルでの最安値更新を試すことも考えられる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは10月27日午後安値からの上昇が10月31日深夜で一巡しているとみて7.96円割れからは弱気サイクル入りとしていたが、11月1日午前に7.96円を割り込み7.90円割れへ続落してから8.01円まで切り返す反騰となったため、10月31日深夜高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたものの11月1日夕安値で直近のサイクルボトムをつけて反騰入りしたと思われる。
11月1日夕安値を割り込まないうちは11月3日夜から7日深夜にかけての間への上昇余地ありとするが、2日午前序盤に昨晩戻り幅の半値を削っているので戻りは短命の可能性もあると注意し、1日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして4日夕から8日夕にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では11月1日夜に先行スパンを若干割り込んでから2日未明に先行スパンをいったん超え、その後に再び先行スパンへ潜り込む乱調な展開となっている。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は30ポイント割れから60ポイント到達まで戻してから再び50ポイントを割り込んでいる。50ポイント台回復からは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.89円を下値支持線、8.01円を上値抵抗線とする。
(2)7.95円を超えるところからは上昇再開として8.01円を試す上昇を想定する。FOMC後に上昇が勢い付く場合は8.05円超えを目指す上昇を想定する。
(3)7.92円以下での推移中は下向きとし、7.89円割れからは7.85円前後への下落を想定する。7.85円前後は買いも入りやすいとみるが、勢い付く場合は7.80円台序盤(7.83円から7.80円)へ下値目途を引き下げ、7.89円以下での推移なら3日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月3日
16:00 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 3.08%、予想 3.60%)
16:00 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 83.45%、予想 85.60%)
16:00 10月 消費者物価コア指数 前月比 (9月 2.7%)
16:00 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 68.1%)
16:00 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 4.78%)
16:00 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 151.5%)
20:30 週次 外貨準備高 10/28時点 グロス (前週 751.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 10/28時点 ネット (前週 115.6億ドル)
11月4日
未定 10月 通関貿易収支速報 (9月 -96億ドル)
11月7日
23:00 10月 財務省現金残増減 (9月 -792.6億リラ)
11月10日
16:00 9月 失業率 (8月 9.6%)
20:30 週次 外貨準備高 11/4時点
注:ポイント要約は編集部
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