トルコリラ円見通し ドル円の連騰に合わせて8円に迫る
〇トルコリラ円、ドル円に同調した動き継続、10/31深夜に7.99へ高値を切り上げる
〇対ドル、10/31安値で18.65をつけ史上最安値を試す、リラ安基調はジワジワと継続している印象
〇今週は米FOMC、米雇用統計、10月トルコ消費者物価上昇率の発表と重要経済指標の発表相次ぐ
〇対円、週足レベルでは下げ渋りの持ち合いという印象、昨年6-9月に類似し持ち合い放れのリスクも
〇7.96を上回るうちは上昇余地ありとし、8.00超えからは8.03前後への上昇を想定する
〇7.96割れからはいったん下げに入るとみて、7.90台序盤への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の10月31日は7.99円から7.92円の取引レンジ、11月1日早朝の終値は7.98円で先週末終値の7.93円からは0.05円の円安リラ高だった。
ドル円の動きに同調した展開を続けているが、ドル円が10月27日午前安値で145.10円まで大幅下落したところから連日の持ち直しで28日に147円台後半へ上昇し、31日は深夜高値で148.84円へ続伸したため、トルコリラ円も10月27日午後安値7.80円からの反騰を継続して27日夜に7.89円へ戻し、29日未明には7.97円へ続伸していたところから31日深夜には7.99円(小数点下3桁では7.997円)へ高値をさらに切り上げた。
ドル円は10月24日午前急落前の高値が149.69円、24日午前安値から反騰した時の高値が149.45円であり、149円台中盤では新たな市場介入への警戒感も出やすいところのため、介入警戒感から戻り売りが先行する場合は149円手前の現状から148円戦後へ下落するケースや、149円台に乗せて149円台中盤へ向かったところで介入による急落発生となるケースもありえるため、ドル円が急落する場合はトルコリラ円も同調した急落調整に入る可能性のあるところと注意したい。
【対ドルでは史上最安値近辺での膠着状態続くが積極的なリラ買いの動きは見られず】
ドル/トルコリラの10月31日は18.65リラから18.55リラの取引レンジ、11月1日早朝の終値は18.59リラで先週末終値の18.58リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
10月20日にトルコ中銀が3会合連続の利下げで政策金利を1.5%引き下げて10.5%としたものの、11月会合で一桁として当面の利下げサイクルを終了する見通し示したことで大きな波乱はなく、10月11日に1ドル18.66リラへ史上最安値を更新し、終値ベースでは10月24日に18.60リラで最安値を更新したものの10月以降は18.50リラ前後で戻り売りされつつ18.60リラ台の安値を試す展開を続けている。
10月31日は安値で18.65リラをつけて史上最安値を試したが、ベンダーによってはすでに18.70リラ台の提示も見られ、リラ安基調はジワジワと継続している印象だ。
今週は11月3日未明の米FOMCから為替市場全般が波乱含みとなりやすく、今週末には米雇用統計の発表まで重要経済指標の発表も相次ぐ。トルコリラとしては11月3日夕刻の10月トルコ消費者物価上昇率の発表が最重要となるが、現時点の市場予想では、消費者物価の前月比は9月の3.08%から3.60%へと伸びが加速し、前年同月比も9月の83.45%から85.60%へとさらに上昇すると見込まれている。
【トルコ、ウクライナ穀物輸出停止の再考をロシアに要請】
ロシアとウクライナ及びトルコと国連による合意に基づいてウクライナは黒海からの穀物輸出を再開してきたが、ロシアはウクライナによるロシア実効支配地への軍事攻撃を理由にこの合意履行を一方的に停止し、キーウ等の主要都市へのミサイル攻撃を激化させている。これに対してトルコのアカル国防相は31日にロシアのショイグ国防相と電話会談を行い合意履行への再考を要請した。またロシア抜きで国連とトルコによるウクライナ貨物船の検査と航行継続を行おうとしている。
ロシアが履行停止を発表した10月29日以降もウクライナからの穀物輸出船は出航しており今のところはロシアによる妨害攻撃が見られないが、ウクライナの港や船舶への攻撃が始まるようだと世界穀物需給のひっ迫懸念が強まりトルコも含めて穀物高騰によるインフレ悪化も懸念されるところだ。
【週足レベルでは下げ渋りの持ち合い、類似は昨年6-9月?】
トルコリラ円は8月2日安値7.27円から持ち直しの動きを続けてきたが、この間の上昇幅は1円に満たないため、週足で見れば昨年12月の乱高下が落ち着いた状況でやや戻し気味の持ち合い相場という印象だ。
ドル高リラ安に対してドル円の歴史的な大上昇による押し上げが効いていることを反映しているのだが、1円幅程度の持ち合いで推移した過去の前例としては2019年5月9日安値17.53円から同年7月31日高値19.69円まで戻した後にレンジ縮小型の持ち合いを2020年1月まで続けたとこでの8月末から12月にかけての3か月間の持ち合いや、2021年6月2日安値12.44円から9月2日高値13.33円までやや戻し気味の持ち合いを続けたところに近い印象だ。
2021年6月からの持ち合いは凡そ3か月で、カブジュオール中銀総裁が当面は利下げしないと表明したことでリラ安が落ち着いたためだったが、同年9月からエルドアン大統領による強力な利下げ要求を背景に4会合連続の利下げを行ったことで2021年12月に史上最安値を更新する暴落が発生している。
現状も8月2日から丁度3か月を経過したところであり、持ち合いも3か月を経過すると上下いずれかへ放れ始めやすい時間帯となるため、下げ一服型の現状の持ち合いから下放れへ向かう時間的なリスクも徐々に高まってきているところと注意したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは10月27日午後に7.80円まで下げてから7.89円へ反騰したために28日午前時点では27日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして28日の日中から11月1日にかけての間への上昇を想定した。
10月31日午前時点では10月28日の日銀金融政策決定会合と黒田総裁会見を通過してドル円の上昇と共に7.90円台中盤へ上昇していたため引き続きサイクルトップ形成中としたが、10月31日深夜へ高値を切り上げてからは上げ渋っている。
7.96円を上回るうちはサイクルトップ形成期の延長入りにより11月2日の日中への上昇余地ありとするが、7.96円割れからは弱気サイクル入りと見て11月1日午後から3日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では10月28日午後に遅行スパンが好転し、夕刻の一段高で先行スパンを上抜き、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパンの好転中は高値試しとするが、遅行スパンが悪化するところからはいったん下げに入るとみて先行スパンの上下限を試す下落を想定する。
60分足の相対力指数は10月28に氏夜から31日深夜にかけての高値更新に際して指数のピークが70ポイント前後でほぼ横ばいとなる弱気逆行が見られるため、55ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、55ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.96円を下値支持線、8.00円を上値抵抗線とする。
(2)7.96円を上回るうちは上昇余地ありとし、8.00円超えからは8.03円前後への上昇を想定する。8.03円以上は反落注意とするが、8.00円以上での推移中は2日の日中も高値試しを続ける可能性が残るとみる。
(3)7.96円割れからはいったん下げに入るとみて7.90円台序盤(7.93円から7.90円)への下落を想定する。7.91円以下は反騰注意とするが、7.96円以下での推移なら2日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月1日
16:00 10月 イスタンブール製造業PMI (9月 46.9)
11月3日
16:00 10月 消費者物価指数 前月比 (9月 3.08%、予想 3.60%)
16:00 10月 消費者物価指数 前年同月比 (9月 83.45%、予想 85.60%)
16:00 10月 消費者物価コア指数 前月比 (9月 2.7%)
16:00 10月 消費者物価コア指数 前年同月比 (9月 68.1%)
16:00 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 4.78%)
16:00 10月 生産者物価指数 前年同月比 (9月 151.5%)
20:30 週次 外貨準備高 10/28時点 グロス (前週 751.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 10/28時点 ネット (前週 115.6億ドル)
11月4日
未定 10月 通関貿易収支速報 (9月 -96億ドル)
11月7日
23:00 10月 財務省現金残増減 (9月 -792.6億リラ)
11月10日
16:00 9月 失業率 (8月 9.6%)
20:30 週次 外貨準備高 11/4時点
注:ポイント要約は編集部
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