ドル円見通し 米長期債利回りの騰落に合わせて147円割れから148円台序盤へ反騰(22/11/2)

欧州中盤からは147円割れに対する値頃感から買い戻されると、米経済指標が予想を上回り米長期債利回りが反騰に転じたことに押し上げられて148円台を回復した。

ドル円見通し 米長期債利回りの騰落に合わせて147円割れから148円台序盤へ反騰(22/11/2)

ドル円見通し 米長期債利回りの騰落に合わせて147円割れから148円台序盤へ反騰

〇ドル円、米長期債利回り反騰で148円台回復、2日朝148.37到達後に推移
〇米10月製造業PMI確報値、同製造業景況指数ともに市場予想上回る
〇先週は経済指標鈍化で145円台序盤へ大幅下落、その後7-9月期GDPプラスで148円後半まで切り返す
〇NYダウ小幅続落、長期債利回りは一時低下後反騰、利上げピーク水準切りあがりも想定した動きか
〇FOMC利上げ、今回0.75%、12月0.50%ないし0.75%、来年以降0.25%ずつ継続との見方優勢
〇147.35以上での推移中は上昇余地ありとし、148.50超えからは149円台回復を目指す上昇を想定する
〇147.35円割れからは146.98試し、FOMC後急落する場合は145円台中盤へ下値目途引き下げ

【概況】

ドル円は10月27日午後安値145.10円からの反騰で10月31日深夜高値148.84円へ上昇して10月21日の市場介入前高値151.94円からの下落幅に対する半値戻しの148.52円をいったん超えたが、149円に迫ったところで介入警戒感から上げ渋り、米長期債利回りが週末からの連騰一服で低下に転じたタイミングで戻り売り優勢の流れとなり、148円を割り込み19時台には146.98円まで下げて10月27日午後安値からの戻り幅のほぼ半値を解消した。欧州中盤からは、147円割れに対する値頃感から買い戻されると、1日夜の米経済指標が軒並み市場予想を上回ったことで米長期債利回りが反騰に転じたことに押し上げられて148円台を回復、その後は148円を挟んでの揉み合いで、2日朝には148.37円をつけてから148円を割り込んで推移している。

【FOMC目前に迫り米経済指標に市場心理も揺さぶられる】

11月1日夜にS&Pグローバルが発表した10月の米製造業PMI確報値は50.4となり、速報値の50.9から低下したが市場予想の49.9及び強弱分岐点の50を上回った。
米サプライ管理協会(ISM)による10月製造業景況指数は50.2となり、9月の50.9から低下して2020年5月以来の低水準となったが、市場予想及び強弱分岐点の50.0を上回った。
米労働省による9月の雇用動態調査(JOLTS)における非農業部門求人数は前月比43万7000件増の1071万7000件となり、市場予想の1000万件を超えて2か月振りの増加となった。8月分も速報の1005万3000件から1028万件へ上方修正された。

先週は10月24日の米製造業及び非製造業PMIや25日の住宅価格指数が予想を下回ったことや26日のカナダ中銀による利上げ幅が0.75%予想に反して0.50%にとどまったことにより、米FRBによる大幅利上げペースが鈍化するのではないかとの見方が優勢となって米長期債利回りが低下して為替市場はドル安となり、ドル円は149円台から145円台序盤へと大幅下落した。しかし10月27日の米7-9月期GDPが3四半期ぶりにプラスとなり10月28日の米9月個人消費価格デフレーターが高止まりしてコア指数では8月から上昇したことで米FRBによる大幅利上げ姿勢はさほど鈍化しないのではないかと市場心理も変わり、米長期債利回りが反騰に転じてドル円も148円台後半まで切り返していた。
11月3日未明のFOMCを控え、米FRBのタカ派姿勢が継続するのかやや緩むのか、市場も経済指標の内容を見ながら振り回されているところだ。

【NYダウは小幅続落、米長期債利回りはいったん低下してから反騰】

11月1日のNYダウは前日比79.75ドル安と下落、10月21日からの6連騰がストップして10月31日に128.85ドル安と反落したところからの続落となった。高値で32975.48ドルまで上昇したところから終値32653.20ドルまで300ドルを超える反落となっている。ナスダック総合指数も97.30ポイント安で10月31日の114.30ポイント安からの続落に終わった。10月中盤からの反騰一服でFOMCを見定めたいというところだろう。

長期金利の指標である米10年債利回りは前日比0.01%低下の4.05%だったが一時は3.93%まで低下したところから切り返した。30年債利回りは前日比0.07%低下の4.10%で4.06%まで低下したところからは戻したが利上げに関しては相対的に鈍感なため戻りも鈍かった。利上げに関して敏感な2年債利回りは前日比0.06%上昇の4.55%で一時4.42%まで低下したところから切り返しており、10月28日安値4.26%以降の高値を更新し、11月2日午前序盤には4.56%まで続伸して10月21日につけた一昨年以降の最高値4.64%へ迫る勢い。

年限により反応も分かれたが、2年債利回り動向を踏まえればFRBの大幅利上げ姿勢はさほど緩まず、逆に利上げのピーク水準が切り上がる可能性も想定される動きとなりつつある印象だ。
市場の事前予想では今回のFOMCで4会合連続の0.75%利上げとし、12月に0.50%ないし0.75%利上げ、来年に入ってからも0.25%ずつの利上げが続くとの見方が優勢のようだが、バイデン政権にとってはインフレ退治が最優先課題であり、昨年11月にバイデン大統領の再指名を受けて「景気よりも物価抑制」を掲げたのがパウエル米FRB議長であり、市場の予想ほどには利上げペースは鈍化しないのではないかとの声も聞かれる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は10月27日午後安値からの反騰が10月31日深夜高値で一巡して下落したが、11月1日夕安値で147円をわずかに割り込んでから1円を超える反騰が入ったため、11月1日夕安値を起点として上昇再開を試しているところと思われる。
10月31日深夜高値を超えれば10月27日午後安値からの上昇が二段上げに発展して11月3日夜から7日夜にかけての間への上昇が想定されるが、11月1日夕安値を割り込む場合は逆に10月31日深夜高値を起点とした反落が二段下げ型に発展して4日夜から8日夜にかけての間への下落へ進む可能性が高まると思われる。

60分足の一目均衡表では、11月1日夕への下落で遅行スパンが悪化したが1日夕安値では先行スパンからの転落を回避して先行スパン上限まで戻したところだ。このため先行スパンを上抜き返すところからは上昇継続として遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから再び転落する場合は下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11月1日夕安値時に20ポイント台へ低下してから50ポイント台をいったん回復した。2日午前序盤には50ポイントを再び割り込んでいるため、55ポイント超えからは11月1日夕からの上昇継続とするが、40ポイント割れから戻り一巡による下落継続とみて再び30ポイント割れを試す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月1日夕安値146.98円を下値支持線、148.50円を上値抵抗線とする。
(2)147.35円以上での推移中は上昇余地ありとし、148.50円超えからは149円台回復を目指す上昇を想定する。FOMCを強気で通過する場合は150円に迫る可能性もあるとみる。
(3)147.35円割れからは11月1日夕安値試しとし、底割れ回避で148円台を回復するところからは上昇再開とするが、底割れからは146円前後への下落を想定する。FOMC後に急落する場合は145円台中盤へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

11/2(水)
休場 メキシコ、ブラジル
英中銀金融政策委員会(MPC)初日
16:00 (独) 9月 貿易収支 (8月 12億ユーロ、予想 11億ユーロ)
17:55 (独) 10月 失業者数 前月比 (9月 1.40万人、予想 1.25万人)
17:55 (独) 10月 失業率 (9月 5.5%、予想 5.6%)
17:55 (独) 10月 製造業PMI改定値 (速報 45.7、予想 45.7)
18:00 (欧) 10月 製造業PMI改定値 (速報 46.6、予想 46.6)
21:15 (米) 10月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (9月 20.8万人、予想 18.0万人)
23:00 (欧) ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 3.00-3.25%、予想 3.75-4.00%)
27:30 (米) パウエルFRB議長、会見

11/3(木)
休場 日本
ノルウェー、チェコ、マレーシア 政策金利発表
09:30 (豪) 9月 貿易収支 (8月 83.24億豪ドル)
10:45 (中) 10月 財新・サービス業PMI (9月 49.3)
16:50 (欧) ラガルドECB総裁、講演
17:00 (欧) パネッタECB理事、講演
17:00 (独) ナーゲル独連銀総裁、講演
18:30 (英) 10月 サービス業PMI改定値 (速報 47.5、予想 47.5)
19:00 (欧) 9月 失業率 (8月 6.6%、予想 6.6%)
21:00 (英) 英中銀(BOE) 政策金利 (現行 2.25%、予想 3.00%)
21:30 (英) ベイリー英中銀総裁、会見

21:30 (米) 9月 貿易収支 (8月 -674億ドル、予想 -720億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.7万件、予想 22.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 143.8万人、予想 145.0万人)
21:30 (米) 7-9月期 非農業部門労働生産性速報値 前期比 (4-6月 -4.1%、予想 0.5%)
21:30 (米) 7-9月期 単位労働コスト速報値 前期比年率 (4-6月 10.2%、予想 4.0%)
22:45 (米) 10月 サービス業PMI改定値 (速報 46.6、予想 46.6)
23:00 (米) 10月 ISM非製造業景況指数 (9月 56.7、予想 55.1)
23:00 (米) 9月 製造業新規受注 前月比 (8月 0.0%、予想 0.3%)

注:ポイント要約は編集部

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