ドル円見通し FOMC通過から反騰、3日夜も高値を切り上げて米雇用統計へ向かう
〇ドル円、11/3未明の米FOMC声明発表直後147円近辺から145.66へ急落したが、反騰し147.96へ上昇
〇11/3午前に147.10まで下げるも夜148.44へ上昇、深夜147.60へ反落後も148円台序盤へ買い戻される
〇FOMCは予想通り、4会合連続で0.75%利上げを決定、12月はペースダウンの可能性を示唆
〇市場は声明文発表時点では利上げペース鈍化とみてドル安反応となる
〇しかし、議長会見内容はタカ派維持と受け止めドル全面高へ急旋回
〇NYダウは一時900ドルを超える反落、11月3日も続落、米長期債利回りは低下から反騰
〇147円以上での推移中は上昇余地ありとし、148.44超えからは149円台回復を目指す上昇を想定する
〇147円割れからは、146円台中盤試しを想定する
【概況】
ドル円は11月3日未明の米FOMC声明発表後に当初は米FRBによる利上げペース鈍化の可能性が注目されて発表前の147円近辺から145.66円へ急落したが、パウエル米FRB議長会見からインフレ抑制のための利上げ継続姿勢が依然としてタカ派であり、利上げピーク水準の切り上がりを示唆したことから急反騰に転じて147.96円へ上昇した。
11月3日午前にいったん147.10円まで下げたところを再び買われて3日夜には148.44円へ高値を切り上げ、夜遅くに147.60円まで反落したところからも148円台序盤へ買い戻されている。
ユーロドルはFOMC声明発表当初に11月1日夜高値を超えて0.9975ドルへ急伸したところから下落に転じて0.980ドル台序盤へ一段安し、3日夜には0.9728ドルまで一段安となったが、ポンドや豪ドル等も同様に当初の急伸から一転して急落してさらに続落した。英中銀は0.75%利上げを決定したものの、インフレ及び利上げのピークは従来予想から低下するとして次回以降のペースダウンを示唆したためにポンドの下落が目立っている。
クロス円はユーロ円が10月31日夜からの下落基調を継続して安値を更新しており、FOMC直後のドル円の急伸とユーロドル等の急落は相殺で小動きのままとなり、議長会見以降はユーロ安等が勝って安値を切り下げており、円安よりもユーロやポンド、豪ドル等の下落が優勢となっている。
【FOMCは予想通りの0.75%利上げを決定、12月はペースダウンの可能性を示唆するにとどまる】
米連邦準備制度理事会(FRB)は11月1-2日の連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を3日3時に声明発表、3時半からパウエル米FRB議長が会見した。
政策金利は通常の0.25%利上げの3倍となる0.75%利上げを決定した。利上げは3月から6会合連続、通報の3倍となる0.75%利上げは4会合連続となり、年初に事実上のゼロ%だったところから3.75-4.00%まで切り上がり、2008年以来の高水準となった。決定は全会一致で声明分では「インフレを2%に戻すために十分に景気抑制的な金融政策スタンスにする」ことを強調して12月以降の利上げ継続姿勢を鮮明とした。
パウエルFRB議長は会見で「これまでの引き締め効果と影響を踏まえて早ければ次回の12月会合で利上げペースを緩める可能性」を示したが、一方で「強い雇用や高インフレを踏まえれば9月会合時点(2023年末で4.50〜4.75%)よりも最終的な金利水準は高くなる」と述べた。
市場は声明文発表時点では利上げペースが鈍化する可能性に注目してドル安反応となったが、直後の議長会見内容はタカ派の維持と受け止めてドル全面高へと急旋回した。
12月FOMCについては0.75%の利上げが継続する可能性と0.50%へペースダウンする可能性が併存することとなったため、11月4日の米雇用統計や今後の消費者物価指数、個人消費支出デフレーター等によっては0.75%利上げの継続感が強まってドル高が継続、一方で低調な内容ならペースダウンへの期待が再燃してドル安へと流れが変わる可能性も考えられる。ただし、米FRBよりもECBや英中銀等の利上げペースが上がらない印象が強まっているためドル高基調は継続しやすいのではないかと思われる。
【NYダウは乱高下で高値から900ドルを超える反落、米長期債利回りは低下から反騰】
NYダウは11月2日に3日未明のFOMCを反映して3営業日続落となり前日比505.44ドル安の32514.27ドルと大幅下落で終了した。FOMC声明発表当初に33071.93ドルへ急伸したところから安値32139.77ドルまで900ドルを超える急落となった。11月3日も146.51ドル安と4営業日続落した。ナスダック総合指数も11月2日に366.05ポイント安と大幅下落となり、3日も181.86ポイント安と続落した。
FOMC声明文では12月会合での利上げペースダウンの可能性に含みを持たせたものの、パウエル議長は最終的な利上げ水準のピークは切り上がるとし、ソフトランディングがより難しくなると述べたことで株式市場は10月半ばからの楽観的な反騰が一巡した印象だ。
米長期債利回りは上昇している。指標の10年債利回りは11月2日に前日比0.06%上昇の4.11%で終了したが、一時3.99%まで低下したところから急反騰し、11月3日も0.05%上昇の4.16%とした。30年債利回りは11月2日に前日比0.05%上昇の4.15%で、一時4.07%まで低下してから反発し、3日も0.04%上昇の4.19%とした。
利上げ水準に敏感な2年債利回りは11月2日に0.08%上昇の4.63%となったが、一時4.45%まで下げてからの反騰で10月21日につけた1昨年来の最高値である4.64%に迫り、3日は前日比0.09%上昇の4.72%へと続伸して15年ぶり高値を更新した。
米FRBによる最終的な利上げピーク水準が切り上がる可能性が示唆されたことにより長期金利がさらに上昇する余地のあることを再認識された印象だ。
【米経済指標】
11月2日に発表されたADPによる民間雇用報告では10月の非農業部門就業者が前月比23.9万人増で9月の19.2万人増および市場予想の19.5万人増を上回った。
11月3日夜発表の米9月貿易収支は733億ドルの赤字で赤字幅は8月の557億ドルから悪化して市場予想の722億ドルを下回った。
週間新規失業保険申請件数は21.7万人で予想の22万人を下回り前週の21.8万人から若干改善した。
S&Pグローバルによる10月の米サービス業PMI確報値は速報の46.6から47.8へ上方修正された。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は10月27日午後安値からの上昇が10月31日深夜高値で一巡して下落に転じていたが、3日未明のFOMC声明発表後に145.66円へ一段安してから148円まで反騰したため、11月3日未明安値を起点として上昇期に入っている。高値形成期は10月31日深夜高値を基準として11月3日夜から7日夜にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にあるが、弱気転換は147円割れからとし、その際は11月3日未明安値へ迫る下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、11月3日未明の急落からの急反騰により遅行スパンが好転、先行スパンも上抜き返したが、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11月3日未明の急落が一時的だったために11月1日夕安値からの一段安に際しては指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて反騰入りしている。11月4日午前序盤も50ポイント以上を維持するが一時的に割り込んでも回復するうちは70ポイント台への上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開を警戒して30ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147円を下値支持線、148.44円を上値抵抗線とする。
(2)147円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、148.44円超えからは149円台回復を目指す上昇を想定する。149円前後は高値警戒感からの売りも出やすいとみるが、147.50円以上での推移か直前高値から1円を超えない範囲の下落にとどまる場合は週明けも高値試しへ進みやすいとみる。
(3)147円割れからは146円台中盤試しを想定する。146.50円以下は買い戻しも入りやすいところとみてその後に147.50円を超えるところからは上昇再開とするが、147円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11/4(金)
休場 ロシア
16:00 (独) 9月 製造業新規受注 前月比 (8月 -2.4%、予想 -0.5%)
16:00 (独) 9月 製造業新規受注 前年同月比 (8月 -4.1%、予想 -7.2%)
17:55 (独) 10月 サービス業PMI改定値 (速報 44.9、予想 44.9)
18:00 (欧) 10月 サービス業PMI改定値 (速報 48.2、予想 48.2)
18:30 (欧) ラガルドECB総裁、公開講義
19:00 (欧) 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 5.0%、予想 1.7%)
19:00 (欧) 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 43.3%、予想 42.0%)
21:15 (英) ピル英中銀理事、講演
21:30 (米) 10月 非農業部門就業者数 前月比 (9月 26.3万人、予想 20.0万人)
21:30 (米) 10月 失業率 (9月 3.5%、予想 3.6%)
21:30 (米) 10月 平均時給 前月比 (9月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 10月 平均時給 前年同月比 (9月 5.0%、予想 4.7%)
23:00 (米) コリンズ・ボストン連銀総裁、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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