ドル円、日米名目金利差を背景に148円台半ばへ上昇。ドル高トレンド再開へ(11/4朝)

3日(木)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、日米名目金利差を背景に148円台半ばへ上昇。ドル高トレンド再開へ(11/4朝)

ドル円、日米名目金利差を背景に148円台半ばへ上昇。ドル高トレンド再開へ

〇ドル円、米長期金利急上昇に米国時間朝方にかけて148.44まで上昇
〇その後は米指標不冴えに一時147.62まで下落するも切り替えし再び148円台での推移
〇ユーロドル、米国時間に0.9730まで下落し上値の重い展開
〇ドル円、主要テクニカルポイント上抜けすべてのテナーでの買いシグナルも点灯、地合い強い
〇ファンダメンタルズもドル高・円安トレンドの再開を連想させる材料揃う
〇ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:147.50ー149.50

海外時間のレビュー

3日(木)のドル円相場は堅調な値動き。日本時間早朝に発表された米FOMC声明文に「将来の利上げペース決定にあたっては、これまでの金融引き締めの累積的な影響や、金融政策が経済活動やインフレに影響を与えるまでのタイムラグ、経済・金融情勢の変化を考慮する」との文言が付け加えられたことや、パウエルFRB議長より「しばらくの間、制限的な政策スタンスが必要になるだろう」「利上げ減速の時期は早ければ次回会合となる可能性がある」とのメッセージが発せられたこと、上記を背景に米利上げペース鈍化観測が高まったこと等が重石となり、日本時間午前3時30分過ぎに、10/27以来、約1週間ぶり安値となる145.68まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、パウエルFRB議長による「最終的な金利水準は従来の想定よりも高くなった」「利上げ停止を考えるのは非常に時期尚早」とのサプライズ発言や、米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りが4.21%へ急上昇→日米名目金利に着目したキャリートレード再開→短期筋のショートカバー誘発)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値148.44まで上昇しました。その後は、米10月ISM非製造業景況指数(結果54.4、予想55.2)の冴えない結果を背景に、一時147.62まで下落する場面も見られましたが、下がったところでは押し目買い意欲も根強く、すぐに148円台へと切り返す動きとなりました。本稿執筆時点(日本時間11/4午前3時20分現在)では、148.29前後で推移しております。

3日(木)のユーロドル相場は大幅下落。パウエルFRB議長による「最終的な金利水準は従来の想定よりも高くなった」「利上げ停止を考えるのは非常に時期尚早」との発言や、それに伴う米長期金利の急上昇(米ドル指数急反発)、ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク、ラガルドECB総裁による「米FRBの政策決定からの波及に注意すべき」との悲観的な発言、欧州当局者(ドイツ連銀ナーゲル総裁やラトビア中銀カザークス総裁)によるタカ派的な発言(スタグフレーション懸念が燻る中での利上げ実施は欧州経済への逆風→欧州株下落→ユーロ売りの波及経路)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値0.9730まで下落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/4午前3時20分現在)では、0.9744前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は米FOMC後に記録した安値145.68をボトムに反発に転じると、米国時間朝方にかけて148円台半ばまで急伸しました。ローソク足が主要テクニカルポイントを上抜けした他、上位足から下位足に至る全てのテナーで強い買いシグナルが点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、日米金融政策の方向性の違い(米FRBは利上げペース鈍化の可能性を滲ませつつもパウエルFRB議長記者会見でターミナルレート引き上げの可能性を同時に示唆。一方、黒田日銀総裁は金融緩和政策の継続を強調)や、それに伴う日米名目金利差に着目したキャリートレードの再開期待、米政府・米当局によるインフレ抑制を目的としたドル高容認スタンス継続、本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力など、ドル高・円安トレンドの再開を連想させる材料が揃っています。

こうした中、本日は、日本時間21:30に発表される米10月雇用統計に注目が集まります。今週発表された米9月JOLT雇用動態調査(結果1071.7万件、予想975万件)や、米10月ADP雇用報告(結果23.9万人、予想19.5万人)が共に力強い結果を示したことで、本日の米雇用統計はポジティブサプライズが期待されます。非農業部門雇用者数(予想19.1万人)が市場予想を上回る場合や、失業率(予想3.6%)の改善が示される場合、平均時給(予想4.7%)の伸び率加速が確認される場合などには、米金利上昇→米ドル買いの流れが一段と強まり、ドル円が心理的節目150.00に向かって急伸するシナリオも想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(日米欧の金融政策イベントを全てこなしたことで、材料出尽くし感から再びドル独歩高トレンドが始まる可能性あり)。

本日の予想レンジ:147.50ー149.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、日米名目金利差を背景に148円台半ばへ上昇。ドル高トレンド再開へ

ドル円日足

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