ドル高基調を再確認、じり高推移継続か
〇ドル円、147円台で方向感に欠ける動き
〇FOMC、パウエル議長記者会見、玉虫色の内容、市場の関心は雇用統計にシフト
〇昨日の米FOMCはほぼ予想通りだったとの見方が優勢
〇ドル高の流れそのものはまたしばらく続くことになるか
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは147.20-148.70
<< 東京市場の動き >>
3日の東京市場はドルが冴えない。ただ、147円を割り込むことはなく、逆に終盤に掛けては持ち直しの動きが観測されていた。
ドル/円は147.85-90円で寄り付いたのち、しばらくはドル強保ち合い。一連の動きのなかで148円にタッチする局面もみられたが抜けられず。むしろ、連日の「北朝鮮によるミサイル発射」報道が嫌気され、リスク回避の動きなどが高まると一気に147.10-15円へと値を崩している。ただ147円台を維持し、底堅さを見せたことで終盤はドル買戻しの動きも。16時現在では147.60-65円で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「北朝鮮情勢」と「米金融政策」について。
前者は、昨2日に北朝鮮によるミサイル発射が観測され、それも韓国軍合同参謀本部によると、日本海と黄海の方向に「20発以上のミサイルが発射された」もようだ。なお、米韓空軍による演習が10月31日から11月4日までの日程で行われており、それに対するけん制あるいは威嚇・抗議だと目されるなか、本日東京時間に再び北朝鮮のミサイル発射が観測される。「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」だった可能性が取り沙汰されるだけでなく、日本では宮城県などにJアラートが再び発令されるなど、一時緊迫した状況に陥っていた。
対して後者は、米FOMCの結果が発表され、4会合連続となる「0.75%の利上げ」となったが、これは想定内。問題は次回以降の見通しについて。声明で「インフレ率を2%に戻すため、十分に景気抑制的な金融政策スタンスにする」と強調、利上げ継続の方針が維持されたものの、パウエルFRB議長が「利上げペース減速の時期は近づいている」と発言したことが一時嫌気される局面もみられた。ただ、これまでの利上げが実体経済に与えた影響をしっかりと見極めたいとの見解も変わらず、そうした意味では今週末に発表される米雇用統計の内容にまずは要注意。
<< 欧米市場の見通し >>
昨日のドル/円は米政策金利をめぐり荒れ模様。一時145円台を示現するなど、前後だけで2円を超える乱高下をたどっていた。結果としてドルは小高く推移し、本日東京時間も147円台を中心とした底堅い値動き。敢えてリスクを指摘すればドル高方向にバイアスか。当局の円買い介入警戒感も取り沙汰されるなか、多少の時間を要するにせよ今週高値である148.85円をうかがう値動きを見込む向きも少なくないようだ。
日米金利差が依然として市場筋の関心事項の中心をなすなか、昨日の米FOMCはほぼ予想通りだったとの見方が優勢だ。実際の利上げ幅や、今後の見通しともそれほど市場の大勢と乖離がなかったように思われる。いずれにしても、ゼロ金利政策の継続を見込む日本との政策格差は大きく、やはりドル高の流れそのものはまたしばらく続くことになりそう。明日にもうひとつの注目材料、米雇用統計の発表が控えているとはいえ、内容如何では本日中にドルが再び買い進められる展開もありそうだ。
テクニカルに見た場合、昨日のドル/円日足は2円を超える長い下ヒゲを残す格好。ドルの底堅さを感じさせる足形だ。むしろドルの続伸から、今週高値148.85円を試す展開などに注意を払いたい。
ただ、移動平均の21日線がレベルをさらに切り上げており、足もとでは147円半ば近くまで達していることが一抹気掛かり。NYクローズでしっかり割り込むようだと、トレンド変化の予兆となりかねない。
一方、本日は米経済指標として、9月の貿易収支や10月のISM非製造業総合景況指数などが発表される。また、それとは別に英中銀が政策金利の発表を行う。ベイリー中銀総裁の会見とともにこちらにも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは147.20-148.70円。ドル高・円安方向は本日東京高値でもある148円前後の攻防にまずは注目。抜ければ148.30-40円。そして148.85円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、足もと上回って推移している移動平均の21日線が最初のサポートか。下回ると本日安値の147.10-15円を目指す。(了)
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