ドル円、米FOMC声明文・パウエル議長記者会見後に乱高下するも結局反発
〇ドル円、日銀黒田総裁のタカ派発言、米長期金利低下等に一時146.87まで下落後147円台回復
〇FOMC声明文ではこれまでの利上げ金融政策のタイムラグ、情勢変化を考慮するとの文言加わる
〇パウエル議長会見での米経済減速言及や利上げ減速次回開始可能性発言にドル円145.68まで急落
〇議長はその後「利上げ停止を考えるのは時期尚早」「インフレが低下には時間かかる」等タカ派発言
〇それを受けてドル円は147.80レベルまで持ち直す動き
〇ユーロドル、FOMC後一旦0.9976まで上昇するも、パウエル議長タカ派発言に0.9823まで急落
〇ドル円、10/27安値145.11に到達せず下値の堅さ確認、引けにかけ21日線も回復、地合い強い
〇ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想、本日の予想レンジ:147.00ー149.00
海外時間のレビュー
2日(水)のドル円相場は急落後に急反発。アジア時間朝方にかけて、高値148.35まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、黒田日銀総裁による「物価安定目標(2%)の実現が見通せるような状況になったときには、イールドカーブコントロールの柔軟化が一つのオプションとしてあり得る」とのタカ派的な発言や、米FOMCを控えた警戒感、米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、欧州時間朝方にかけて、一時146.87まで下落しました。
その後は、良好な米10月ADP雇用報告(結果23.9万人、予想19.5万人)を背景に、147円台前半へと持ち直す動きが見られましたが、注目された米FOMC声明文にて、「将来の利上げペース決定にあたっては、これまでの金融引き締めの累積的な影響や、金融政策が経済活動やインフレに影響を与えるまでのタイムラグ、経済・金融情勢の変化を考慮する(In determining the pace of future increases in the target range, the Committee will take into account the cumulative tightening of monetary policy, the lags with which monetary policy affects economic activity and inflation, and economic and financial developments.)」との文言が新たに付け加えられたこと(市場はこの文言をハト派的と解釈)や、パウエルFRB議長による「しばらくの間、制限的な政策スタンスが必要になるだろう」「米経済は昨年から大きく減速している」「利上げ減速の時期は早ければ次回会合となる可能性がある」とのハト派的な発言が重石となり、米国時間3時30分過ぎに、日通し安値145.68まで急落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、同氏による「利上げ停止を考えるのは非常に時期尚早」「インフレが低下するには時間がかかる」「米国経済は堅調」とのタカ派的な発言や、米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りは一時4.09%まで上昇)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間11/3午前5時25分現在)では、147.80前後まで持ち直す動きとなっております。
2日(水)のユーロドル相場は上昇後に急反落。重要イベントを控えた警戒感を背景に、米FOMC発表までは、0.9900を挟んだ小動きが続きましたが、注目された米FOMC声明文にてハト派的な文言が付け加えられたこと(将来の利上げペース鈍化を示唆)や、パウエルFRB議長よりハト派的な発言が発せられたこと等が支援材料となり、日本時間3時30分過ぎには、高値0.9976まで急伸しました。しかし、心理的節目1.0000(パリティ)をバックに伸び悩むと、パウエルFRB議長による「利上げ停止を考えるのは非常に時期尚早」との発言や、それに伴う米金利上昇・米ドル買い戻しの流れが重石となり、日本時間4時30分過ぎには一転して、安値0.9823まで急落する荒々しい値動きとなりました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/3午前5時25分現在)では、0.9826前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見後に乱高下しましたが、結局147円台後半まで持ち直す動きとなりました。145.68まで下げ幅を広げつつも、10/27に記録した安値145.11に到達できなかったことで、下値の堅さを再確認する結果となっております。ローソク足が引けにかけて一目均衡表基準線や21日移動平均線を上抜けしたことや、強い買いシグナルを示唆する三役好転や強気のパーフェクトオーダーが継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます(日足ベースで長い下髭が出現→下値の堅さを再確認)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金融政策の方向性の違いや、米政府・米当局によるドル高容認姿勢、本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力など、ドル高・円安トレンドの再開を連想させる材料が残っています。米FOMC声明文やパウエルFRB議長より「利上げペース鈍化」の可能性を滲ませる布石が打たれたものの、それでも尚、日本と米国の金融政策格差は明らかであるため、日米名目金利差に着目したキャリートレードの優位性は変わらず、結果として米FOMC通過後のドル高・円安トレンド再開が期待されます(パウエルFRB議長は利上げペース鈍化の可能性を支持しつつも利上げ停止の可能性を否定しており、今後はより小規模な利上げが長期化する恐れあり→対主要通貨でのドル買いが再開する公算大)。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米9月貿易収支や、米7ー9月期非農業部門労働生産性速報値、米新規失業保険申請件数、米9月製造業受注指数、米10月ISM非製造業景況指数などに注目が集まります。
本日の予想レンジ:147.00ー149.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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