豪州中銀金融政策記者発表(22/11/1)

（出所：豪州中銀HPから）

本日の会合で、中銀金融政策は従前の予想通り、0.25％の利上げを実施しました。世界経済の減速傾向や利上げによる家計への影響が不透明との要因で、小幅利上げに留まった模様です。しかしながら今後も利上げスタンスは継続すると述べています。次回会合は12月6日（火曜日）に予定されています。

以下は今回の要旨です。

（金融政策決定）

本日の会合で、委員会はキャッシュレート（OCR）の目標を25ベーシス上げ2.85％への引き上げを決定した。同時に為替決済残高に関しても25ベーシス上げ、2.75％に引き上げた。

大多数の国と同様に、豪州のインフレは非常に高くなっている。9月までの1年間で、CPIインフレは7.3％になり、過去30年間以上で最も高くなっている。世界的要因がこの高インフレの大部分を説明しているが、需要を満たす経済の能力に比較して強い内需もまたその役割を演じている。インフレを目標値に戻すにはより持続的な需給間のバランスを必要としている。

インフレの更なる上昇がこの先数ヶ月予想されている。現在は今年の年末に約8％付近でピークになると予想している。その後、世界的な供給サイドの問題が継続的に解決され、幾つかの商品価格の下落、需要の緩やかな伸びなどで、インフレは来年に下がると予想している。中期インフレ期待は確りと留まっており、これがそのままであることが重要である。中銀のCPIインフレ見通しの中央値は2023年4.75％、2024年に約3％を少し越える。

豪州経済は堅調に成長を続けており、国民所得は記録的水準の交易条件により押し上げられている。経済成長は世界経済の減速、サービスに関連した支出の跳ね返りが目立ち、家計消費の伸びが金融情勢引き締めにより減速することで、今後1年間で緩やかになると予想されている。中銀のGDP伸びの見通し中央値は幾分下方修正し、今年は約3％の伸び、2023年と2024年には1.5％の伸びを予想している。

労働市場は非常にタイトなままである。多くの企業は労働者の雇用に苦労している。失業率は9月に3.5％で堅調だった。これはほぼ50年間で最も低い水準である。求人と求人広告は共に非常に高水準であるが、雇用の伸びは、労働市場の余剰能力が吸収されたことにより、ここ数ヶ月減速した。失業率の中銀中央値予想はこの先数ヶ月現状水準のままであるが、経済成長鈍化により2024年に向けては緩やかに4％を少し越えるまで上昇するとみている。

賃金の伸びは、ここ数年間の低い割合から持ち直し続けている。とはいえ、インフレ率がより高い他の先進国よりは低いままである。タイトな労働市場やより高まるインフレにより、更なる上昇が予想される。物価・賃金のスパイラルを避ける重要要素として、委員会は労働コストの今後の展開や企業の価格設定行動の双方に細心の注意を払い続けることになる。

物価の安定は強い経済と持続的な完全雇用期間に対し、欠く事のできないことである。これを踏まえ、委員会の優先事項は暫くしてインフレを2〜3％に引き戻すことである。経済を均等に維持しながら、これが求められている。このバランスを達成する道のりは狭く、不確実性に覆われている。

不確実性の要因の1つは、最近数ヶ月悪化している世界経済の見通しである。もう1つは豪州内の家計消費がより引き締まった金融情勢にどの様に対応するかである。委員会は金融政策が遅れて運営され、金利上昇の完全な影響がまだ住宅ローンの支払いに感じられないことを認識している。より高い金利とより高いインフレは多くの家計予算を圧迫している。また消費者信頼感は下がり、住宅価格は先の大きな上昇後に下落している。他方で仕事に関し、人々は仕事を見つけ、より多くの労働時間を得、より高い賃金を受け取っている。多くの家計はまた大きな金融バッファー（余力）を構築し、貯蓄率はパンデミック前よりも高いままである。

委員会は5月以降著しく金利を引き上げた。これは豪州経済において、より持続的な需給バランスを構築し、インフレを目標値に戻す為に必要であった。委員会はこの先も更なる利上げを予想している。世界経済、家計消費、賃金、価格設定行動を注意深く見守っている。将来の利上げ幅やタイミングは今後入手するデータ、あるいはインフレや労働市場に関する委員会の査定により導かれる。委員会はインフレを目標に戻すために断固とした決意のままであり、それを達成するために必要なことを行うつもりである。
（以上）

(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
（出所：豪州中銀HP）

豪ドル米ドルは公表前に0.6440〜45付近で推移していましたが、予想通りの小幅利上げで0.6408付近まで売られ現在は0.6420〜30で推移しています。
昨日のシカゴポジション358の段階で、10月24日底値からのサポート0.6420〜30を切れかけているのでやや下押しの可能性もありとしましたが、昨日は底値0.6367までで、最初のサポート0.6370で止められ、再度0.6420〜30に絡んだ状態にいます。ここを維持出来ればまだ戻りを確かめる位置にいます。抵抗線としては0.6480、0.6520〜30、0.6570にあります。

（2022年11月1日15時00分、1豪ドル＝0.6430米ドル）