トルコリラ週報:『心理的節目8円を再び下方ブレイク。来週はCPIとPPIに注目』(10/29朝)

政府・日銀による円買い為替介入やそれに伴う円ショートの巻き戻しが重石となり、今週後半にかけては、一時7.77円まで反落する冴えない動きとなりました。

トルコリラ週報:『心理的節目8円を再び下方ブレイク。来週はCPIとPPIに注目』(10/29朝)

『心理的節目8円を再び下方ブレイク。来週はCPIとPPIに注目』

〇今週のトルコ円、週初8.07まで上昇後、ドル円下落、トルコ指標の不冴えに一時7.77まで下落
〇テクニカルには主要サポートポイント下抜け地合い悪化、90日線、「雲」上限の攻防に注目集まる
〇ファンダメンタルズもトルコ中銀追加利下げ観測や欧米との関係悪化等が重石に
〇トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.75ー8.15

今週のレビュー(10/24−10/28)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.94円で寄り付いた後、早々に週間高値8.07円まで上昇しました。しかし、200日移動平均線をバックに伸び悩むと、政府・日銀による円買い為替介入(円ショートの巻き戻し→トルコリラ円下落)や、トルコ10月設備稼働率(結果76.9%、前回77.4%)の冴えない結果、トルコ中銀カブジェオール総裁によるインフレ見通しの上方修正(実質金利低下に伴うトルコリラ売り圧力)、ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクが重石となり、週後半にかけて、週間安値7.77円(10/7以来、約3週間ぶり安値圏)まで反落しました。もっとも、90日移動平均線や一目均衡表雲上限をバックに下げ渋ると、日銀金融政策決定会合での金融緩和政策の現状維持および黒田日銀総裁によるハト派的な発言(ドル円上昇→トルコリラ円上昇)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間10/29午前4時40分現在)では、7.93円前後で推移しております。

来週の見通し(10/31−11/4)

トルコリラの対円相場は、8/2に記録した直近安値7.24円をボトムに反発に転じると、10/21に6/30以来、約4ヵ月ぶり高値となる8.17円まで上値を伸ばしましたが、政府・日銀による円買い為替介入やそれに伴う円ショートの巻き戻しが重石となり、今週後半にかけては、一時7.77円まで反落する冴えない動きとなりました。この間、ローソク足が主要サポートポイント(200日移動平均線や21日移動平均線、一目均衡表転換線や基準線)を下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象づけるチャート形状となりつつあります。目先は今週の下落時にサポートとして機能した90日移動平均線および一目均衡表雲上限(7.76ー7.77円ゾーン)を下抜けられるか否かに注目が集まります(同水準の下方ブレイクに成功できれば、トルコリラ円相場の地合いが急速に悪化する恐れあり)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、トルコ中銀による追加利下げを織り込む動き(トルコ中銀は先週、国内物価が歴史的高水準を記録しているにも係わらず3会合連続となる大幅利下げを実施し、政策金利は10.50%に低下→エルドアン大統領は9/28に「政策金利が年末までに1桁台に低下することを望む」と発言しているため、次回会合で150bpの追加利下げを決定し、政策金利を9.00%にまで低下させる恐れあり)や、それに伴うトルコリラの実質金利急低下、トルコ・欧米間の関係悪化懸念(エルドアン大統領とプーチン大統領の急接近に対する欧米諸国の警戒姿勢)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。トルコ中銀は資本規制(民間部門に対する「外貨」から「リラ建て預金」への転換を促す資本規制)を通じて「リラ安防止」を図っていますが、資本規制を通じた通貨安抑制策は副作用を伴うことから長期化が難しく、一巡後の反落リスクが警戒されます(リラ安抑制効果が徐々に剥落するシナリオを想定)。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ10月消費者物価指数や、トルコ10月生産者物価指数に注目が集まります(これらのインフレ指標が市場予想を上回る結果となれば、実質金利の更なる低下を通じて、トルコリラに強い下押し圧力が加わる恐れあり)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):7.75ー8.15

注:ポイント要約は編集部

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トルコ円日足

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