『上下しつつも方向感に欠ける展開。リスクは依然ダウンサイドか』
〇今週の南ア円、週明け8.28まで上昇後、ドル円の下落、南ア指標の不冴えに翌日8.04まで下落
〇売り一巡後は南ア財政政策への期待、指標改善、ドル円上昇から8.10前後に戻す
〇主要テクニカルポイント下抜け、テクニカルには続落を意識させるチャート形状
〇ファンダメンタルズ的に見ても南ア経済の先行き不透明感、中国景気減速懸念等下落材料揃う
〇短期的にも中長期的にも、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.95ー8.25
今週のレビュー(10/24−10/28)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.14円で寄り付いた後、政府・日銀による円買い為替介入の反動(政府・日銀は先週末金曜日に過去最大規模円買い介入を実施するもドル円はすぐに反発→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週明けアジア時間に、週間高値8.28円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、南ア8月景気先行指数(結果123.4、予想126.2)の冴えない結果や、南ア経済の先行き不透明感(計画停電やストライキの長期化懸念)、円ショートの巻き戻し(短期筋のストップSELL→ドル円下落→南アランド円連れ安)、南アフリカと経済的な結びつきの強い中国経済の先行き不透明感が重石となり、翌10/25にかけて、週間安値8.04円まで下落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、南ア財務省による中期財政政策声明(MTBPS)に対する期待感や、南ア9月生産者物価指数(結果16.3%、予想15.6%)の市場予想を上回る結果、南ア9月財政収支(結果33億ZAR赤字、予想35億ZAR赤字)の赤字幅の予想比縮小、日銀金融政策決定会合での金融緩和政策の現状維持および黒田日銀総裁によるハト派的な発言(ドル円反発→クロス円上昇→南アランド円連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間10/29午前4時20分現在)では、8.10円前後で推移しております。
来週の見通し(10/31−11/4)
南アフリカランドの対円相場は、10/13に記録した直近安値7.92円をボトムに反発に転じると、10/21に直近高値8.29円(9/14以来の高値圏)まで上値を伸ばしましたが、政府・日銀による円買い為替介入をトリガーとした円ショートの急速な巻き戻しを背景に、今週は週を通して上値を切り下げる冴えない動きとなりました。ローソク足も主要テクニカルポイント(一目均衡表雲上下限、200日移動平均線、90日移動平均線、21日移動平均線、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線)を下抜けするなど、テクニカル的に見て、続落を意識させるチャート形状となりつつあります。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、南アフリカ経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中での南ア中銀による連続利上げ→南ア経済への逆風継続)や、国営電力会社エスコムによる計画停電の長期化懸念、南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の景気減速懸念(共産党大会を経て政策硬直化リスクが上昇→中国経済の先行き不透明感が同国と経済的な結びつきの強い南アフリカにも影を落とす恐れあり)、国営企業による賃金交渉を巡るストライキの長期化懸念、南アフリカでのテロ発生リスクの高まり(南アフリカの米国大使館は南アのヨハネスブルグ郊外のサントン地区で10/29にテロ攻撃が実行される恐れがあると警告)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、短期的にも中長期的にも、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南アフリカの経済イベントに乏しいことから、米FOMCや米雇用統計など、米国経済イベントを睨みながらの、米ドル主導の動きを想定いたします(米長期金利が再び上昇に転じれば、南アフリカランド相場に強い下押し圧力が加わる恐れあり。これまでは米金利上昇を通じて対ドルでの南アランド売りの流れが生じたとしても、それ以上に円売り圧力が強かったことから、対円での南アランドは底堅さを維持していましたが、足元は政府・日銀による大規模介入を背景に円売りの流れがひとまず鈍化したため、来週は米金利上昇→南アランドの対ドル相場下落→南アランドの対円相場下落の波及経路に注意が必要)。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.95ー8.25
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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