トルコリラ円見通し ドル円の乱高下に合わせて7.80円へ下げてから戻す
〇トルコリラ円、引き続きドル円と同調した動き、10/27午後のドル円急落時に7.80へ下落
〇夜7.89まで戻してから深夜7.83へ反落、その後やや持ち直し7.85を挟んだ揉み合いで推移
〇対ドル、10/27は18.65から18.55の取引レンジ、18.60近辺で最安値圏での推移続く
〇昨日発表のトルコ貿易収支、100億ドル近い赤字水準続くが、観光収入は好調で過去最大の増加
〇7.83を上回るうちは上昇余地ありとし、7.89超えからは7.93前後への上昇を想定する
〇7.83割れからは下向きとし、7.80割れからは7.77前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の10月27日は7.89円から7.80円の取引レンジ、28日早朝の終値は7.86円で前日と変わらずだった。
ドル円は米長期債利回りが連日の低下となる中で10月25日夜には148円を割り込み、26日には147円を割り込んだが、10月27日午後には145.10円まで安値を切り下げて10月21日夜の大規模市場介入時につけた安値146.19円と10月24日に2営業日連続介入で急落した時の安値145.61円を割り込んだ。145円割れを回避して27日夜に146.92円まで2円近い反騰となったものの深夜に145.66円へ反落し、その後に146円台を回復する乱調な展開となった。
トルコリラ円は、ドルトルコリラが史上最安値近辺でやや膠着した持ち合いでの推移となっているためにドル円と同調した動きを続けているが、27日午後のドル円急落時に7.80円へ下落、27日夜に7.89円まで戻してから深夜に7.83円へ反落、その後はやや持ち直しで7.85円を挟んだ揉み合いで推移している。
本日は昼頃に日銀金融政策決定会合、午後には黒田総裁の会見があり、内容次第ではドル円と共に上下に大きくぶれる可能性もあると注意したい。
【対ドルでは18.60リラ近辺で最安値圏での推移続く】
ドル/トルコリラの10月27日は18.65リラから18.55リラの取引レンジ、28日早朝の終値は18.60リラで前日終値の18.59リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
トルコ中銀が8月会合から利下げに踏み切ったことをきっかけに1ドル18リラの壁を超えてリラ安が進行し、10月11日に1ドル18.66リラをつけて史上最安値を更新した後は新たな安値更新を回避しているものの18.50リラ前後から18.60リラ台でのレンジでの推移を続けており、終値ベースでは10月24日に18.60リラをつけて最安値を更新した。
10月27日夜はECBが0.75%利上げに踏み切ったものの今後の大幅利上げペースの維持や量的金融引き締めについて消極姿勢だったことでユーロドルが1ユーロ1ドルのパリティを割り込む下落となったが、米GDP速報での個人消費や耐久財受注が冴えなかったことで米FRBによる12月会合での0.75%利上げの可能性は低下したままと市場が受け止めて米長期債利回りが低下してドル円が反騰するなどドルの強弱についてはまちまちだった。
【トルコ貿易収支は過去最大級の赤字続くが観光収入は過去最大の増加】
10月27日夕刻に発表されたトルコの9月貿易収支は96億ドルの赤字で赤字幅は過去最大の赤字だった8月の112.5億ドルからやや減ったものの100億ドル近い水準にとどまっている。輸出は4月に231.32億ドルまで拡大して過去最大とした後はやや伸び悩んでいるものの高水準を維持しているが、5月以降は300億ドルを超える輸入となっているため、貿易収支の赤字レベルが悪化した状況が続いている。世界規模のインフレが収まらないことに加えてリラ安が輸入インフレを進行させているため、リラ安による輸出増大ペースが輸入増に追いついておらず、貿易収支の悪化が続けば経常収支の悪化も続いてリラ安への圧迫感も軽減しないと思われる。
貿易収支の悪化に対して主力産業である観光収入は好調であり、7-9月期の観光収入は179.5億ドルとなり4-6月期の87.2億ドルから倍増して過去最大となった。コロナ感染が落ち着いてウィズコロナ政策が定着したことで海外からの観光客が回復していることに加え、リラ安により海外観光客の財布の紐が緩んで売り上げ増となっている印象だ。しかし四半期で179.5億ドルの売上となっても貿易収支の赤字を解消するレベルには至っていない。
10月27日に発表された10月の経済信頼感指数は97.1となり9月の94.3から改善した。
週次の外貨準備高は10月21日時点のグロスで751.2億ドルとなり前週の761.7億ドルから減少した。ネットでは115.6億ドルとなり前週の140.8億ドルから大幅に減少した。前週までは回復基調だったものの再び減少したことでリラ防衛のための準備高不足への懸念も再燃しかねない印象だ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは10月25日夜に7.93円まで反落したために26日午前時点では7.93円割れからは弱気サイクル入りによる下落期として27日朝から31日午前にかけての間への下落を想定するとし、10月26日夕刻に7.93円を割り込んでからさらに大幅続落したために27日午前時点では弱気サイクルによる安値試しを継続しているところとした。
10月27日午後に7.80円まで下げてから7.89円まで0.1円近い反騰となったため、27日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして28日の日中から11月1日にかけての間への上昇を想定する。ただし日銀金融政策発表もあるためドル円の乱高下に振り回される可能性もあると注意し、27日午後安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして11月1日午後から3日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では10月27日午後安値からの反騰で遅行スパンは好転しつつあるが先行スパンを下回った状況が続いている。このため遅行スパンの好転中は高値試しとするが、先行スパンを下回るうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とし、先行スパンへ潜り込むところからはその上限を試し、先行スパンを上抜き返すところからはさらに上昇が勢い付くとみる。
60分足の相対力指数は10月27日午後に20ポイント以下へ低下したところから50ポイント台へ戻しているので40ポイント以上を維持するうちは70ポイントに迫る上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.83円を下値支持線、7.89円を上値抵抗線とする。
(2)7.83円を上回るうちは上昇余地ありとし、7.89円超えからは7.93円前後への上昇を想定する。7.92円以上は反落注意とするが、勢い付く場合は7.95円に迫る可能性もあるとみる。また7.85円以上での推移なら週明けも高値試しへ進みやすいとみる。
(3)7.83円割れからは下向きとし、7.80円割れからは7.77円前後への下落を想定する。7.77円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、下げ足が速まる場合は7.75円前後へ下値目途を引き下げ、7.80円を割り込んでからも7.83円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
11月1日
16:00 10月 イスタンブール製造業PMI (9月 46.9)
11月3日
16:00 10月 消費者物価上昇率 前月比 (9月 3.08%)
16:00 10月 消費者物価上昇率 前年同月比 (9月 83.45%)
16:00 10月 生産者物価上昇率 前月比 (9月 4.78%)
16:00 10月 生産者物価上昇率 前年同月比 (9月 151.5%)
20:30 週次 外貨準備高 10/28時点 グロス (前週 751.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 10/28時点 ネット (前週 115.6億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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