対ドルでは最安値近辺の膠着続くもドル円の一段安でトルコリラ円は続落
〇トルコリラ円、26日夜もドル円の一段安に合わせ7.85へ安値切り下げ
〇対ドルでは27日早朝終値18.59で前日終値と変わらず、最安値圏での持ち合い範囲での推移
〇ユーロドルの一段高によりユーロ/トルコリラは昨年12/23以降の最安値更新
〇27日は9月貿易収支、10月経済信頼感指数、9月海外観光客数などトルコ関連の経済指標発表相次ぐ
〇7.88以下での推移中は一段安警戒、7.83割れからは7.80前後への下落想定、7.81以下は反騰注意
〇7.90を超えても維持できなければ短期的な戻りに終わる可能性があると注意
【概況】
トルコリラ円の10月26日は7.99円から7.85円の取引レンジ、27日早朝の終値は7.86円で前日終値の7.95円からは0.09円の円高リラ安となった。
8月2日安値7.27円を起点とした上昇を継続し、10月21日には8.17円の高値を付けて6月30日以降の高値水準としていたが、10月21日夜の政府・日銀による大規模市場介入によるドル円の急落で21日には安値7.86円へ急落した。ドル円が24日午前安値から反騰したことで24日は7.81円へ一段安してからいったん8円台を回復したものの終値では8円台を維持できず、25日夜には7.93円へ安値を切り下げ、26日夜もドル円の一段安に合わせて7.85円へさらに安値を切り下げた。
【対ドルでは最安値近辺での揉み合い続く】
ドル/トルコリラの10月26日は18.63リラから18.42リラの取引レンジ、27日早朝の終値は18.59リラで前日終値と変わらずだった。
10月24日夜から米経済指標の低調さと米長期債利回りの低下を見てドルストレートではドル安が進行し、26日にはユーロドルが1ユーロ1ドルのパリティを1か月ぶりに回復、英ポンドが9月26日の史上最安値以降の高値を更新するなどドル安感が強まったが、トルコリラは外部状況にさほど左右されずに最安値圏での持ち合い範囲での推移を続けた。
ドルストレートでのドル高が緩んだことは対ドルでのトルコリラにはプラスだが、ユーロドルの一段高によりユーロ/トルコリラは昨年12月23日以降の最安値を更新しており、ユーロ買いリラ売りの圧迫感がドル/トルコリラの動きも鈍らせている。
【市場介入時の安値を試す】
ドル/トルコリラが18.50リラ前後から18.60リラ台までのレンジで史上最安値近辺でのややジリ安型の持ち合いで推移する中、トルコリラ円は7月後半からドル円の騰落に合わせた動きを続けており、10月21日夜の5兆円規模と推定される大規模市場介入によるドル円の急落とその後の反騰や10月24日午前の市場介入とみられる急落とその後の反騰に振り回されてきた。
10月25日以降は明らかな市場介入は見られないものの、10月24日以降の米経済指標が軒並み市場予想を下回ったことで米FRBによる大幅利上げペースが鈍化すると受け止められて米長期債利回りが大幅に低下したためにドル円は日米金利差拡大による円売りドル買いが一服している。
10月21日の市場介入規模が過去最大となる5兆円規模とされ、24日午前の急落についても数千億円規模の介入だったのではないかとみられているが、10月21日と24日の2営業日連続での介入で急落に見舞われたことにより、ドル円とトルコリラ円はいったん仕切り直しに入っている印象だ。
10月28日には日銀金融政策決定会合もあり、金融緩和政策は現状維持とみられるが、円安に関する黒田総裁の会見での発言等によっては上下に波乱する可能性もあるところであり、トルコリラ円としてはドル円の乱高下への警戒が怠れない状況が続く。
【10月27日はトルコ貿易収支や観光客数等の指標発表あり】
10月26日はトルコ関連の経済指標発表等が無かったが、10月27日は9月貿易収支、10月の経済信頼感指数、9月の海外観光客数及び7-9月期の観光収入、週次の外貨準備高の発表が相次ぐ。
カナダ中銀が市場予想の0.75%利上げに反して0.50%利上げにとどめたことで主要国の大幅利上げについてはペースが鈍化するのではないかとの見方が強まっていることは、高インフレ進行中にあえて3会合連続の利下げを強行したトルコにとっては逆風が若干緩むことになるかもしれないが、リラ安による貿易収支と経常収支の悪化傾向が改善しなければ中長期的なリラ安基調から抜け出すのも難しいと思われる。特に貿易収支の赤字は過去最大級の悪化が続きそうだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルではドル円の急落に合わせて10月24日午前へ一段安したところから持ち直したため、10月21日夜高値を前回のサイクルトップ、10月24日午前安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとして26日夜から28日夜にかけての間への上昇を想定したが、10月25日夜に7.93円まで反落したために26日午前時点では7.93円割れからは弱気サイクル入りによる下落期として27日朝から31日午前にかけての間への下落を想定するとした。
10月26日夕刻に7.93円を割り込んでからさらに大幅続落しているため、弱気サイクルによる安値試しを継続しているところと思われる。現状から7.90円を超える反騰となる場合や直前安値から0.05円を超える反騰が見られないうちはもう一段安余地ありとみる。
60分足の一目均衡表では10月25日夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンから転落したが、その後も両スパンそろっての悪化がつづいているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からはいったん戻しに入るとみるが、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とみる。本格的な反騰入りには先行スパンを上抜き返す必要があると思われる。
60分足の相対力指数は10月27日未明から20ポイント近辺を試しながら30ポイント以下での推移が続いているのでまだ一段安余地ありとみるが、40ポイント超えへ戻すところからは反騰入りとみて50ポイント台回復を目指すとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.83円を下値支持線、7.88円を上値抵抗線とする。
(2)7.88円以下での推移中は一段安警戒とし、7.83円割れからは7.80円前後への下落を想定する。7.81円以下は反騰注意とするが、7.88円以下での推移か、直前安値から0.50円を超える反騰が見られないうちは28日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.88円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、7.88円超えからは7.90円台序盤(7.90円から7.92円)を試すとみる。7.90円を超えても維持できなければ短期的な戻りに終わる可能性があると注意し、その後に7.87円を割り込むところからは下げ再開注意とする。
【当面の主な予定】
10月27日
16:00 9月 貿易収支 (8月 -111.9億ドル)
16:00 10月 経済信頼感指数 (9月 94.3)
17:00 9月 観光客数 前年同月比 (8月 58.3%)
20:00 トルコ中銀 四半期インフレ見通し (Q3 60.40%)
20:30 週次 外貨準備高 10/21時点 グロス (前週 761.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 10/21時点 ネット (前週 140.8億ドル)
11月1日
16:00 10月 イスタンブール製造業PMI (9月 46.9)
11月3日
16:00 10月 消費者物価上昇率 前月比 (9月 3.08%)
16:00 10月 消費者物価上昇率 前年同月比 (9月 83.45%)
16:00 10月 生産者物価上昇率 前月比 (9月 4.78%)
16:00 10月 生産者物価上昇率 前年同月比 (9月 151.5%)
20:30 週次 外貨準備高
注:ポイント要約は編集部
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