トルコリラ円見通し ドル円の失速で7.90円台前半へ失速(22/10/26)

トルコリラ円はドル円の急落に合わせて7.93円へ下落し、ドル円が148円到達まで戻したことで7.95円へ持ち直した。

トルコリラ円見通し ドル円の失速で7.90円台前半へ失速(22/10/26)

トルコリラ円見通し ドル円の失速で7.90円台前半へ失速

〇トルコリラ円、ドル円急落に伴い安値7.93至る、26日午前序盤8円台回復を試す流れ
〇8/2からの上昇、高値8.17ピークとして調整期入りか、10/24安値8.01を割り込む動きには警戒
〇対ドル、18.50から18.60レンジで膠着した持ち合い続く
〇10月トルコ製造業信頼感指数、やや改善するが低下傾向での推移、政権の製造業支援も貢献至らず
〇7.95以上での推移中は10/25安値からの反騰継続とし、8.00超えからは8.03前後への上昇を想定
〇7.93割れからは7.90前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の10月25日は8.03円から7.93円の取引レンジ、26日早朝の終値は7.95円で前日終値の8.00円からは0.05円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラが18.50リラ近辺から18.60リラ台までのレンジ内での推移を続ける中、トルコリラ円は市場介入による波乱含みとなっているドル円の動向を見ながらの展開であり、10月25日は夜の米経済指標が総じて市場予想を下回ったために米長期債利回りが低下してドル安反応となり、ドル円は149円近辺でほぼ横ばい推移だったところから147.51円へ急落した。このためトルコリラ円もドル円の急落に合わせて7.93円へ下落し、ドル円が148円到達まで戻したことで7.95円へ持ち直した。
10月26日午前には7.97円へ戻して8円台回復を試す流れとなっている。

【8月2日からの上昇一服でいったん仕切り直しの動き】

トルコリラ円は7月後半から概ねドル円の騰落に合わせた動きだが、8月2日安値7.27円を起点とした上昇を継続して10月13日には9月7日高値を超えて二段目の上昇期に入り、10月21日夜にドル円が大規模市場介入で急落する前に8.17円の高値をつけていた。
しかし大規模介入によりドル円が急落したために10月21日は前日比で0.13円の急落となり、24日も午前にドル円が急落したところで8.01円へ失速した。その後はドル円の反発に合わせての戻りだったが、ドル円が150円台への再挑戦に対していったん仕切り直しの下落に入った印象のため、トルコリラ円も8円を割り込んだことで10月21日高値をピークとして調整期に入っているのではないかと思われる。
当面は10月21日高値から24日安値までのレンジ内推移とみられるが、ドル円の調整安が長引く場合やリラ安がエスカレートする場合には10月24日安値を割り込んで10月5日安値7.70円を試す可能性もあるのではないかと警戒しておく。

【対ドルでは終値ベースでの最安値を更新】

ドル/トルコリラの10月25日は18.63リラから18.53リラの取引レンジ、26日早朝の終値は18.59リラで前日終値の18.60リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
18.50リラ近辺から18.60リラ台までのレンジでやや膠着した持ち合いが続いており、10月11日に18.66リラへ下落して取引時間中の史上最安値を更新してからは新たな安値更新を回避しているものの、終値ベースでも10月24日終値18.60リラで初めて18.60リラ台をつけて最安値を更新しており、ジワジワとリラ安は進行している。
10月25日夜は米経済指標が総じて予想を下回る低調さだったことで米長期債利回りが低下してドル全面安となりユーロやポンドが一段高となったためにドル/トルコリラにもややドル安圧力がかかったものの10月以降のレンジ相場を崩すほどのインパクトはなく18.50リラ台序盤ではドル買いリラ売りが入っている。

【トルコ製造業信頼感指数は若干改善するも低下傾向】

【トルコ製造業信頼感指数は若干改善するも低下傾向】

10月25日夕刻に発表されたトルコの10月製造業信頼感指数は100.3となり9月の99.9から若干改善した。9月は2020年6月以来となる100を割り込む悪化で今年4月の109.7からは5か月連続での低下だったが、10月はわずかに改善した。しかしパンデミック発生ショックによる2020年4月の66.8を起点とした上昇は2021年7月の114.8でピークとなり、その後は低下傾向での推移が続いており、今年10月もわずかに改善したものの低下傾向の範囲にある。
同時に発表された10月の設備稼働率は76.9%で9月の77.4%から若干低下した。パンデミック発生ショックで2020年4月に61.6%へ急低下したところからV字回復してきたが、2021年12月に78.7まで戻したとこでピークとなり、その後はやや低下気味の推移となっている。
エルドアン政権は利下げと融資金利への規制により融資拡大での製造業を支援し、リラ安も加勢して輸出を伸ばそうとしてきたが、今のところは目に見える改善には至っていないようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルではドル円の急落に合わせて10月24日午前へ一段安したところから持ち直したため、10月21日夜高値を前回のサイクルトップ、10月24日午前安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとして26日夜から28日夜にかけての間への上昇を想定した。
10月25日午前時点では7.97円割れからは弱気サイクル入りと仮定するとしたが、10月25日夜に7.93円まで反落してからやや戻しているものの既に弱気サイクル入りしている可能性がある。
10月25日夜安値7.93円を割り込まないうちは8円台回復から上昇再開とするが、7.93円割れからは弱気サイクル入りによる下落期と再確認して27日朝から31日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月25日夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンから転落したため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月25日夜に30ポイント割れへ低下したところから40ポイント台へ戻しているので、50ポイント超えからは反騰継続として60ポイント台中盤への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.93円を下値支持線、8.00円を上値抵抗線とする。
(2)7.95円以上での推移中は10月25日夜安値からの反騰継続の可能性ありとし、8.00円超えからは8.03円前後への上昇を想定する。8.03円以上は反落注意とするが、8.00円台に到達した後も7.97円以上での推移なら27日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.93円割れからは7.90円前後への下落を想定する。7.90円以下は買い戻しも入りやすいとみるが7.93円を割り込んだ後も7.95円以下での推移なら27日も安値試しへ向かいやすいとみる。ドル円が急落する場合は7.87円前後へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

10月27日
 16:00  9月 貿易収支 (8月 -111.9億ドル)
 16:00 10月 経済信頼感指数 (9月 94.3)
 17:00  9月 観光客数 前年同月比 (8月 58.3%)
 20:00 トルコ中銀 四半期インフレ見通し (Q3 60.40%) 
 20:30 週次 外貨準備高 10/21時点 グロス (前週 761.7億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 10/21時点 ネット (前週 140.8億ドル)
11月1日
 16:00 10月 イスタンブール製造業PMI (9月 46.9)
11月3日
 16:00 10月 消費者物価上昇率 前月比 (9月 3.08%)
 16:00 10月 消費者物価上昇率 前年同月比 (9月 83.45%)
 16:00 10月 生産者物価上昇率 前月比 (9月 4.78%)
 16:00 10月 生産者物価上昇率 前年同月比 (9月 151.5%)
 20:30 週次 外貨準備高

注:ポイント要約は編集部

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