トルコリラ円見通し 市場介入によるドル円の波乱に左右される(22/10/25)

トルコリラ円の10月24日は8.05円から7.82円の取引レンジ、25日早朝の終値は8.00円で先週末終値の7.94円からは0.06円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 市場介入によるドル円の波乱に左右される(22/10/25)

トルコリラ円見通し 市場介入によるドル円の波乱に左右される

〇トルコリラ円、ドル円の乱高下に合わせ、10/24午前序盤8.05から7.82まで急落
〇その後は7.93から8.03のレンジでの推移、しばらくは覆面介入への警戒感を伴っての推移になるか
〇対ドル、10/24は18.63から18.52の取引レンジ、終値ベースでは初めて18.60に到達し最安値更新
〇トルコ中銀が11月で当面の利下げを一旦終了するとし、利下げショックによるリラ売りやや落ち着く
〇主要国の大幅利上げ継続が予想される中、異質な金融政策の脆弱性を踏まえてリラ売り強まる懸念も
〇7.97以上での推移中は上昇余地ありとし、8.05超えからは8.08前後への上昇を想定する
〇8.00以下での推移が続き始める場合は下向きとし、7.97割れからは7.93前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の10月24日は8.05円から7.82円の取引レンジ、25日早朝の終値は8.00円で先週末終値の7.94円からは0.06円の円安リラ高だった。
ドル円が10月21日夜高値151.94円から22日未明安値146.19円まで5.75円の急落となり、いったん149円台中盤へ戻したところから24日午前序盤には145.61円まで一段安となった。いずれも政府日銀による大規模な「覆面介入」と思われ、21日の介入規模については9月22日介入時の2.8兆円を大幅に上回る5兆円規模だったのではないかと見られている。24日午前についても政府日銀は介入の有無について言及せずとしている。いずれの急落も円安のファンダメンタルズは変わらないとして買い戻されているが、10月24日夜にも一時的に直前高値から1円を超える急落が発生しており、149円台中盤での追加介入への警戒感が上値を抑えているようだ。

トルコリラ円はドル円の乱高下に合わせて10月21日夜高値8.16円から22日未明安値7.86円へ急落し、24日午前序盤に8.05円まで戻したところから7.82円まで再び急落し、その後はドル円のリバウンドを見ながら買い戻されて7.93円から8.03円のレンジでの推移となった。
10月21日夜に続く大規模介入の連続と思われ、リバウンドを抑えにかかっている印象もあるため、しばらく規模の大小を問わずに覆面介入への警戒感を伴っての推移になると思われる。

【対ドルでは終値ベースでの最安値を更新】

ドル/トルコリラの10月24日は18.63リラから18.52リラの取引レンジ、25日早朝の終値は18.60リラで先週末終値の18.59リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
18.50リラ前後から18.60リラ台でのレンジ推移が続いており、取引時間中の史上最安値は10月11日につけた18.66リラの後は新たな安値更新を回避しているが、終値ベースでは初めて18.60リラに到達して最安値を更新している。
10月20日のトルコ中銀による3会合連続利下げを通過し、11月の追加利下げで当面の利下げをいったん終了するとされたことで利下げショックによるリラ売りはやや落ち着いている。トルコ銀行取引規制当局による企業の外貨保有規制も強化されて外貨保有企業にとってはドルやユーロ等の外貨をリラ預金へ回さざるを得なくなっていることがリラの支えにはなっているようだが歴史的なリラ安基調はじわじわと継続している印象だ。

【主要国の大幅利上げ継続によるリラへの圧迫感】

10月25日にカナダ中銀の0.50%利上げが予想されている。10月27日にはECBの0.75%利上げが予想されている。11月1-2日の予定で米FOMCが開催されて11月3日未明には政策金利の発表等があるが、0.75%の利上げが確実視されており、12月のFOMCで0.75%利上げが続くのか0.50%利上げにとどまるのか注目されている。
11月3日夜には英中銀の大幅利上げも予想されているが、首相交代による影響を踏まえて英中銀の判断が変わる可能性もあるものの40年ぶりの高インフレに見舞われているために大幅利上げによるインフレ抑制姿勢は変わらないと思われる。

トルコ中銀及びエルドアン政権は年末から来年にかけてインフレは落ち着くとし、利下げによる融資拡大とリラ安による輸出の伸びや海外からの観光集客による経常収支改善を見込んでいるが、パンデミック発生以降のサプライチェーンの混乱はウクライナ戦争とロシア制裁の長期化と共に中国のゼロコロナ政策への固執による再三の経済活動規制により解決しておらず、トルコ自身の努力だけでインフレを抑えることは難しい。
米国をはじめとしてインフレ抑制が最重要課題となる中で主要国の利上げサイクルはまだ終点には遠い状況にある。利上げと金融引き締めによりパンデミック対策での金融緩和が生み出した過剰流動性=投機マネーの逆流が顕著になればトルコにおける異質な金融政策の脆弱性を踏まえてリラ売りが強まることも懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルではドル円の急落に合わせて10月24日午前へ一段安したところから持ち直したため、現状は10月21日夜高値を前回のサイクルトップ、10月24日午前安値を同サイクルボトムとして強気サイクル入りしたところと思われる。高値形成期は26日夜から28日夜にかけての間と想定されるのでまだ一段高余地ありとみるが、2日続けて市場介入で急落した後のため、リバウンドを試す動きも慎重となってくると思われる。7.97円を上回るうちは上昇余地ありとするが、7.97円割れからは弱気サイクル入りと仮定して27日朝から31日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では8.00円を上回っての推移が続けば先行スパンを上回る状況も維持されるので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、7.97円を割り込む場合は先行スパンからの転落となるため下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月22日未明に10ポイント台へ急落してから50ポイントへ戻し、その後は50ポイントを挟んだ揉み合いとなっている。55ポイント超えからは上向きとして60ポイント台後半を目指す上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台を目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.97円を下値支持線、8.05円を上値抵抗線とする。
(2)7.97円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.05円超えからは8.08円前後への上昇を想定する。8.08円以上は反落注意とするが、8.00円以上での推移なら26日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.00円以下での推移が続き始める場合は下向きとし、7.97円割れからは7.93円前後への下落を想定する。7.93円以下は買い戻されやすいとみるが、大規模介入が連想される急落商状となる場合は7.87円前後へ下値目途を引き下げる。また7.97円を下回っての推移なら26日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月25日
 16:00 10月 製造業景況感指数 (9月 99.9)
 16:00 10月 設備稼働率 (9月 77.4%)
10月27日
 16:00  9月 貿易収支 (8月 -111.9億ドル)
 16:00 10月 経済信頼感指数 (9月 94.3)
 17:00  9月 観光客数 前年同月比 (8月 58.3%)
 20:00 トルコ中銀 四半期インフレ見通し (Q3 60.40%) 
 20:30 週次 外貨準備高 10/21時点 グロス (前週 761.7億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 10/21時点 ネット (前週 140.8億ドル)
11月1日
 16:00 10月 イスタンブール製造業PMI (9月 46.9)
11月3日
 16:00 10月 消費者物価上昇率 前月比 (9月 3.08%)
 16:00 10月 消費者物価上昇率 前年同月比 (9月 83.45%)
 16:00 10月 生産者物価上昇率 前月比 (9月 4.78%)
 16:00 10月 生産者物価上昇率 前年同月比 (9月 151.5%)
 20:30 週次 外貨準備高


注:ポイント要約は編集部

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