ドル円見通し 連日の大規模介入を切り返し、円買い介入と投機的円売りの攻防続く
〇ドル円、10/24午前序盤149.69から145.61へ4円を超える急落が発生、追加の市場介入の可能性も
〇10/22未明安値146.19をいったん割り込むも、早々に149円台序盤へ切り返す
〇10/24夜に1円超の一時的な急落が発生したが、介入を警戒したまとまった売りによる急落との見方も
〇米国株は先週末から連騰だが、米株式市場では中国関連株が軒並み下落するなど中国株安が気になる
〇米長期債利回りは総じて上昇基調継続、日米金利差拡大によるドル円への上昇圧力はしばらく続くか
〇148円以上での推移中は上昇余地ありとし、149.50超えからは150円台回復を目指す上昇を想定する
〇147.50割れからはいったん下げに入るとみて、146円台後半への下落を想定する
【概況】
ドル円は先週末の10月21日夜高値151.94円から22日未明安値146.19円へ急落した。下落幅は5.75円で9月22日に24年ぶりとなる政府・日銀による2.8兆円の大規模な円買い介入で直前高値145.89円から140.34円まで下げ幅5.55円の急落となった時に近い市場反応で、介入反応が一巡した後は9月22日の介入後と同様に2円を超える反騰を見せて先週を終えた。10月21日の市場介入規模については凡そ5兆円との観測が出ているが、政府・日銀は介入の有無について言及しない「覆面介入」姿勢を貫いている。
10月24日午前序盤、149.69円まで戻していたところから145.61円へ4円を超える規模の急落が発生したが、これも追加の市場介入だったのではないかと思われるが詳細はまだ不明だ。10月22日未明安値をいったん割り込んだものの早々に149円台序盤へ切り返した。24日夜には149.30円台から148.20円台へ1円を超える一時的な急落が発生したのは小規模な覆面介入を思わせるが、介入を警戒してのまとまった売りによる急落との見方もある。
9月22日の市場介入は単発であり、その後に急落幅の8割を解消する反騰となったところや、介入前の水準を超えたところでも追加の公式介入はなく、10月13日の米CPI発表時や10月18日の夕刻に一時的に1円を超える急落が発生した際には1兆円規模の覆面介入だったのではないかとの見方も出たが、いずれも効果は限定的だった。しかし今回は2日連続の大規模介入だった可能性もあり、150円に迫り始めたところで戻りを叩くような動きだったため、10月21日の介入前水準を超えさせないような介入意志もうかがえる。
【米国株は反騰だが中国株安が気になる】
10月24日のNYダウは417.06ドル高と上昇、先週末の748.97ドル高からの連騰となり、ナスダック総合指数も92.89ポイント高で先週末の244.88ポイント高からの連騰で、いずれも8月後半からの大幅下落に一服感が出ている。米FRBによる年内の大幅利上げについて11月の0.75%利上げは織り込み済とし、12月の利上げ幅は0.50%にとどまるとの見方が浮上して超大幅利上げ継続への過度な警戒感が緩んでいる印象だ。24日夜に発表された10月のS&Pグローバルによる製造業及び非製造業のPMIが予想を大幅に下回って前月から悪化したことも利上げペースの鈍化を連想させたようだ。
しかし、気になるのは中国株安であり、24日の米株式市場では中国関連株が軒並み下落しており、アリババ・グループやJDドットコム、百度(バイドゥ)などが10%を大幅に超える急落となり、中国ETFも過去最大の急落規模となった。
中国共産党大会で新執行部が決まったが、経済成長よりも社会主義的な公益性を重視する姿勢を示したことや都合の悪いGDP発表等を大会終了後へ先延ばししたこと等が中国の景気減速感を強めた結果だ。香港株が6.4%安、上海総合株価指数は2%安、中国CSI300指数は2.9%安となった。また人民元も1ドル7.2633元へ下落して2008年以来14年ぶり安値を更新している。中国株安と元安が世界連鎖株安への引き金となり元安が止まらないこいとでドル高感が一層強まりやすい環境になりつつあるのではないかと思われる。
【米長期債利回りは上昇基調継続】
10月24日の米10年債利回りは先週末比0.03%上昇の4.25%。10月21日に4.34%をつけて2007年11月以来の高水準に達したが、24日も一時4.13%まで低下したところから持ち直している。
30年債利回りは0.04%上昇の4.38%だったが、一時は4.41%をつけて2011年以来の高水準を更新した。
2年債利回りは0.03%上昇の4.51%だったが、一時は4.42%まで低下してから持ち直しており、21日につけた4.64%の2007年8月以来高水準に近いところで高止まりしている。
米FOMCによる利上げピークを5%近辺と想定すればまだ主要長期債利回りの上昇余地はあり、4月の黒田日銀総裁退任まで日銀のマイナス金利が続くとすれば、日米金利差の拡大によるドル円への上昇圧力はしばらく続くと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は市場介入による乱高下に見舞われているが、現状は10月24日午前の急落から持ち直しているため、24日午前安値を起点としてリバウンドを試しているところとし、25日の日中から28日にかけての間への上昇余地があるとみる。しかし連続的な押し下げ介入への警戒も続くため、148円を割り込むところを弱気転換注意とし、147.50円割れからは安値試しの時間帯へ進むと仮定して26日夜から31日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では介入による乱高下で方向感に欠けるところだが、149円以上での推移が続けば先行スパンを上回るため遅行スパン好転中の高値試し優先とし、148円割れからは両スパンそろっての悪化となるため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は10月21日夜の急落時に20ポイントを割り込んだが、24日午前安値からの反騰で50ポイント台へ戻し、その後は50ポイントを挟んでの揉み合いとなている。55ポイント超えからは70ポイントを目指す上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ再開を警戒して20ポイント台を目指す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、148.00円を下値支持線、149.50円を上値抵抗線とする。
(2)148円以上での推移中は上昇余地ありとし、149.50円前後では追加介入への警戒感も強まると思われるが、149.50円超えからは150円台回復を目指す上昇を想定する。150円前後も介入警戒水準として波乱注意とするが、149.50円や150円到達でも大規模介入がなければ151円を目指す可能性も高まると思われる。
(3)147.50円割れからはいったん下げに入るとみて146円台後半への下落を想定する。大規模介入で急落する場合は24日午前安値を割り込んで145円を試す可能性もあるとみるが、小規模な覆面介入レベルなら突っ込んだところはバーゲンハント買いされやすいとみる。
【当面の主な予定】
10/25(火)
17:00 (独) 10月 IFO景況指数 (9月 84.3、予想 83.5)
17:55 (英) ピル英中銀理事、講演
22:00 (米) 8月 米連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (7月 -0.6%、予想 -0.6%)
22:00 (米) 8月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (7月 16.1%、予想 14.1%)
23:00 (米) 10月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (9月 108.0、予想 105.7)
23:00 (米) 10月 リッチモンド連銀製造業指数 (9月 0、予想 -5)
26:00 (米) 財務省2年債入札
26:55 (米) ウォラーFRB理事、講演
10/26(水)
08:50 (日) 9月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (8月 1.9%、予想 2.1%)
09:00 (NZ) 10月 ANZ企業信頼感 (9月 -36.7)
09:30 (豪) 7-9月期 CPI(消費者物価指数) 前期比 (4-6月 1.8%、予想 1.6%)
09:30 (豪) 7-9月期 CPI(消費者物価指数) 前年同期比 (4-6月 6.1%、予想 7.0%)
14:00 (日) 8月 景気先行指数CI改定値 (速報 100.9)
21:30 (米) 9月 卸売在庫 前月比 (8月 1.3%、予想 1.0%)
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 3.25%、予想 3.75%)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数・年率換算 (8月 68.5万件、予想 58.0万件)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数 前月比 (8月 28.8%、予想 -15.3%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省5年債入札、2年物変動利付債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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