米長期債利回り低下でドル安反応、ドル円の150円台回復はいったん仕切り直し
〇ドル円、米経済指標悪化で149円台から148円割れへ急落、26日午前148円挟み推移
〇政府日銀による介入数千億規模に、ただしドル円上昇基調は継続、150円台回復至らず仕切り直しか
〇8月全米住宅価格指数は前年同月比13.1%、10月消費者景気信頼感指数も大幅低下
〇12月FOMC、0.5%利上げにペースダウン予想浮上、米長期債利回り総じて低下、NYダウは3連騰
〇149円以下での推移中はもう一段安余地ありとし、147.51割れからは146円台への下落を想定
〇149円へ戻すところからは上昇再開に入ったとみて149円台中盤を目指すとみる
【概況】
ドル円は10月21日夜と24日午前の市場介入と思われる乱高下が落ち着いて10月25日の日中は149円を挟んだ小動きとなり、夕刻からは149円を若干割り込んでの横這い推移が続いていたが、22時発表の米住宅統計が予想よりも悪かったことで米長期債利回りが低下してドル安反応となったために148円割れへ急落し、23時の米CB消費者信頼感指数も予想を下回ったところで147.51円まで安値を切り下げた。その後はドル安も一巡したことで148円台回復へ戻したものの夜の急落幅を解消するに至らず、26日午前序盤は148円を挟んでの揉み合いとなっている。
【10月24日の介入規模は数千億円?】
政府日銀は9月22日に24年ぶりとなる円買い介入を実施し、直前高値145.89円から140.34円へ下げ幅5.55円の急落が発生した。介入規模は2.8兆円とされた。その後は市場介入の有無については言及しないとして覆面介入の姿勢を採っており、10月13日や10月18日に一時的な急落が発生したところでは小規模の市場介入があったのではないかと受け止められたが詳細は不明となっている。
10月21日は直前高値151.94円から146.19円へ下げ幅5.75円の急落となったが、覆面介入により詳細は不明としつつも介入規模は凡そ5兆円だったとされ、9月22日の市場介入時に近い急落反応だったものの介入コストとしては倍近い介入額を要したことになる。
二度目の大規模介入後のリバウンドで週明けの10月24日午前序盤に149.69円まで戻したところから145.61円まで下落幅4.08円の急落が発生したが、これも覆面での市場介入と思われ、介入規模は数千億円と推測されている。介入額としては前2回よりも小規模だったものの2営業日連続での介入だったことと午前序盤で市場がまだ温まっていない時間帯だったこともあり市場反応は大きかったといえる。
いずれの介入についてもファンダメンタルズに基づくドル円の上昇基調は継続と市場は認識し、市場介入では一時的にブレーキがかかったとしてもトレンドは変わらないために逆に買い場となるという見方も強まっている印象だ。
10月25日夜にドル円が急落した際はユーロやポンド等が一段高しており、ドル全面安の中でのドル円の下落だったが、介入警戒感でやや緊張した状況でのドル安発生だったことで直前高値から1.50円規模の反落となり、その後も積極的な買い戻しが見られていないため、ひとまず早々に150円台回復へトライせずにいったん仕切り直しに入ったのではないかとの声も聞かれる。
【米経済指標は低調】
8月の米S&Pケース・シラー住宅価格指数(全米主要20都市)は前月比1.3%低下となり市場予想の0.5%低下を超える低下となり、前年同月比も13.1%で市場予想の14.4%を下回り7月の16.0%から大幅に鈍化した。
米連邦住宅金融局(FHFA)による8月住宅価格指数も前月比0.7%低下となり7月の0.6%低下から悪化、市場予想の0.6%低下を下回った。
米コンファレンス・ボードによる10月消費者景気信頼感指数は102.5となり9月の107.8から大幅に低下した。3か月振りの低下で市場予想の106.5を下回った。現況指数も9月の150.2から138.9へ低下、期待指数も79.5から78.1へと低下した。
リッチモンド連銀による10月製造業景況指数はマイナス10となり9月のゼロから悪化して市場予想のマイナス5を下回った。
先週末の米WSJ紙が米FRBによる利上げペースが鈍化するとの観測記事を書いたことで11月FOMCでの0.75%利上げに続く12月FOMCでは0.50%利上げへとペースダウンするのではないかとの見方が浮上していたが、10月25日の米経済指標が予想を下回る低調さだったことでWSJ紙報道が再認識されて米長期債利回り低下とドル安が発生した印象だ。
【NYダウは3連騰、米長期債利回りは低下】
10月25日のNYダウは前日比337.12ドル高と上昇、10月21日の748.97ドル高、24日の417.06ドル高に続いて3連騰となった。ナスダック総合指数も246.51ポイント高で3連騰となった。米長期債利回り低下により大幅利上げ継続と深刻な不況入りへの過度の警戒感がゆるんでおり、8月半ばからの大幅下落に一服感が出て買い戻し優勢となっている印象だ。
米長期債利回りは総じて低下した。指標の10年債利回りは前日比0.15%低下の4.10%で10月21日に4.34%をつけて15年ぶり高水準としたところから修正的に低下している。30年債利回りは同0.12%低下の4.26%で24日に4.41%まで上昇して2011年以来の高水準としたところからいったん仕切り直しで低下している印象だ。利上げ動向に敏感な2年債利回りは0.03%低下の4.48%となったが、10月21日につけた2007年8月以来の高水準となった4.64%で上昇一服感が出ているもののまだ高止まりの様相だ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は10月24日午前序盤の一段安から切り返したものの24日に149円台前半へ戻した後は伸びず、昨晩は149円絡みの横ばい推移から一段安しているため、急落後の買い戻し一巡で再び安値の落ち着きどころを探る動きに入っているのではないかと思われる。このため149円以下での推移中は26日夜から31日午前にかけての間への一段安余地ありとし、149円台回復からは戻りを試す流れへ進み始めたとみて26日夜から28日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では、10月25日夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したために遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とみるが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は10月25日夜の急落時に20ポイント台へ低下した後も40ポイント以下にとどまっているのでまだ一段安余地ありとみるが、50ポイント超えからは上昇再開とみて60ポイント台中盤への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月25日夜安値147.51円を下値支持線、149.00円を上値抵抗線とする。
(2)149円以下での推移中はもう一段安余地ありとし、147.51円割れからは146円台への下落を想定する。146円台序盤は買い戻しも入りやすいとみるが、148円以下での推移なら27日も安値試しが続きやすいと注意し、下げが勢い付く場合には10月24日午前安値145.61円を目指す可能性もあるとみる。
(3)149円へ戻すところからは上昇再開に入ったとみて149円台中盤(149.30円から149.70円)を目指すとみる。149.50円以上は反落注意とするが、149円を超えた後も148.50円以上での推移なら27日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
10/26(水)
14:00 (日) 8月 景気先行指数CI改定値 (速報 100.9)
21:30 (米) 9月 卸売在庫 前月比 (8月 1.3%、予想 1.0%)
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 3.25%、予想 4.00%)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数・年率換算 (8月 68.5万件、予想 58.5万件)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数 前月比 (8月 28.8%、予想 -13.9%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省5年債入札、2年物変動利付債入札
10/27(木)
日銀・金融政策決定会合初日
09:30 (豪) 7-9月期 輸入物価指数 前期比 (4-6月 4.3%、予想 0.8%)
15:00 (独) 11月 GFK消費者信頼感 (10月 -42.5、予想 -42.0)
21:15 (欧) ECB(欧州中銀) 政策金利 (現行 1.25%、予想 2.00%)
21:30 (米) 7-9月期 GDP速報値 前期比年率 (4-6月 -0.6%、予想 2.3%)
21:30 (米) 7-9月期 PCE(個人消費)速報値 前期比年率 (4-6月 2.0%、予想 0.9%)
21:30 (米) 7-9月期 コアPCE速報値 前期比年率 (4-6月 4.7%、予想 4.5%)
21:30 (米) 9月 耐久財受注 前月比 (8月 -0.2%、予想 0.6%)
21:30 (米) 9月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (8月 0.3%、予想 0.2%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.4万件、予想 22.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 138.5万人、予想 140.0万人)
21:45 (欧) ラガルドECB総裁、会見
24:30 (英) ウッズ英中銀副総裁、講演
26:00 (米) 財務省7年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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