ドル円、一時147円台半ばへ急落。冴えない米経済指標と米金利低下が重石
〇ドル円、米長期金利低下と複数の米指標の不冴えに米国時間にかけ一時147.52まで急落
〇ユーロドル、米国時間にかけ0.9977まで上昇、独指標の好調、欧米株堅調推移等が支持
〇ドル円、ダウンサイドに複数のサポートポイント控え、テクニカルなトレンド転換は生じていないと判断
〇ファンダメンタルズはドル円相場の上昇を連想させる材料揃う
〇米長期金利低下からのドル円下落の流れが本物であったとしても、株高を通じた円売りが生じる
〇ドル円相場が一方向に下がり続ける蓋然性は低い
〇ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
海外時間のレビュー
25日(火)のドル円相場は大幅下落。アジア時間朝方にかけて、高値149.10まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、政府・日銀による介入警戒感(政府・日銀は先週末金曜日に過去最高規模のドル売り・円買い介入に踏み切った他、週明け月曜日にも追加介入を実施)や、米金利低下に伴うドル売り圧力(米ウォールストリート・ジャーナル紙のニック記者による先週末金曜日のハト派的なコメントを受けて米FRBが利上げペースを鈍化させるのではないかとの見方が台頭→米10年債利回りは10/21に記録した4.33%から4.05%へ急低下→米ドル指数急落)、米8月住宅価格指数(結果▲0.7%、予想▲0.6%)の市場予想を下回る結果や、米10月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果102.5、予想105.9)の冴えない結果、
米10月リッチモンド連銀製造業景況指数(結果▲10、予想▲5)の急低下や、節目148.00を割り込んだことに伴う短期筋のロスカット(ストップSELL)が重石となり、米国時間にかけて、安値147.52まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間10/26午前4時45分現在)では、147.91前後で推移しております。
25日(火)のユーロドル相場は堅調な値動き。欧州時間午後にかけて、安値0.9850まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、ドイツ10月IFO景況感指数(結果84.3、予想83.6)の良好な結果や、米金利低下に伴うドル売り圧力(米FRBによる利上げペース鈍化期待)、欧米株の堅調推移(リスク選好のドル売り圧力)や、米経済指標の冴えない結果(米8月住宅価格指数、米10月コンファレンスボード消費者信頼感指数、米10月リッチモンド連銀製造業景況指数)、英国を巡る政局不透明感の後退(スナク氏が首相に就任→英ポンド上昇→ユーロ連れ高)や、心理的節目1.0000を目指した仕掛け的なユーロ買い・ドル売りが支援材料となり、米国時間にかけて、高値0.9977まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/26午前4時45分現在)では、0.9966前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は10/21に記録した約32年ぶり高値151.95をトップに反落に転じると、その後は、146.23→149.68→145.65→149.46→147.54といった形で乱高下しながら値を崩す冴えない動きが続いております。但し、ダウンサイドに複数のサポートポイントが控えている他、強い買いシグナルを示唆する三役好転や強気のパーフェクトオーダーも継続しているため、テクニカル的に見て、トレンド転換(上昇→下落)は生じていないと判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、日米金融政策の方向性の違いや、それに伴うキャリートレードの活発化、米政府・米当局によるドル高容認スタンス、本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
足元では、米ウォールストリート・ジャーナル紙のニック記者によるハト派的な見解や、サンフランシスコ連銀デイリー総裁によるハト派的な発言をトリガーに、米長期金利低下→米ドル売り→ドル円下落の流れが強まっていますが、仮にこうした動きが本物であったとしても(米FRBが米景気の失速シグナルを察知して米利上げペースを意図的に鈍化させようとしているとしても)、その場合は、「米長期金利低下→株高→リスク選好の円売り」の経路が浮上するため、ドル円相場が一方向に下がり続ける蓋然性は低いと考えられます(米金利低下・米ドル売りは株高を通じてリスク選好の円売りを連想させるため、ドル円相場への影響は限定的)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米MBA住宅ローン申請指数や、米9月新築住宅販売件数、米5年債入札に注目が集まります。
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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