ドル円の上昇と同調して連騰、7月5日以来の高値水準に
〇トルコリラ円、20日早朝にドル円が150円に迫る中で同調し連騰、8.07まで高値伸ばす
〇10/6から12営業日連騰で今年に入り最長の上昇、8/2安値を起点とした二段上げが発展
〇ドル/トルコリラは18.50前後から18.60台で史上最安値近辺での揉み合い続く
〇クロス円全般は市場介入による急落発生への警戒感を怠らずに高値追及を続けるという状況
〇今晩20時トルコ中銀金融政策委員会開催、市場予想は11.0%へ引き下げ
〇1.0%を超える利下げに踏み切る場合にはリラ安が勢い付くことも警戒
〇8.08超えからは8.10を目指す上昇を想定、8.10以上は反落注意
〇8.05割れを弱気転換注意とし、8.03割れからは8.00前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の10月19日は8.07円から8.01円の取引レンジ、10月20日早朝の終値は8.06円で前日終値の8.03円から0.03円の円安リラ高となった。
ドル/トルコリラが18.50リラ前後から18.60リラ台で史上最安値近辺での揉み合いが続いている中でトルコリラ円はドル円の歴史的な上昇に同調した動きを継続しており、ドル円が20日早朝に150円に迫る中で8.07円まで高値を伸ばした。
8月2日安値7.27円以降の最高値を更新しており、7月5日以来の高値水準を回復している。
10月6日から12営業日連騰(ベンダーによっては10月5日から13営業日の連騰)だが、今年に入ってからは最長の上昇であり、8月2日安値を起点とした二段上げが発展している。
ドル円は9月22日に3兆円近い大規模な円買い介入を実施した後は公式な市場介入はなく、10月13日夜や10月18日夕に一時的な急落が見られた際には覆面介入があったのではないかとの憶測も出ているものの、150円の節目に迫ったことで新たな大規模介入への警戒感も高まるところだ。ただし150円到達での大規模介入がなければ市場心理は円安の限界をさらに試す挑発的な流れへ進み、1990年4月天井の160.36円を目指す声も強まる可能性がある。トルコリラ円及びクロス円全般は市場介入による急落発生への警戒感を怠らずに高値追及を続けるという状況と思われる。
【対ドルでは史上最安値近辺での膠着状態続け、終値ベースでは史上最安値を更新】
ドル/トルコリラの10月19日は18.61リラから18.55リラの取引レンジ、20日早朝の終値は18.59リラで前日終値の18.58リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
8月18日に予想外の利下げに踏み切ったことをきっかけにリラ安がエスカレートして昨年12月20日の18.36リラを超えて史上最安値を更新し、9月20日に2会合連続の利下げが決定されたことで18.50リラを超え、10月11日には18.66リラへと史上最安値を更新した。その後は新たな最安値更新を回避しているものの18.50リラ近辺では戻り売りにつかまりつつ18.60リラ台を試し、終値ベースでは10月18日の18.58リラを超えたために10月19日終値が史上最安値となった。
昨夕からはドル高のぶり返しが目立ってきている。10月13日の米CPI発表をきっかけとしていったんドル買いが一巡してユーロやポンド等が戻していたが、今週に入って米長期債利回りの再上昇が顕著になり、10月19日は米2年債や10年債、30年債が揃ってこの間の最高値を更新したため、ドル高圧力がぶり返して豪ドルなどの資源通貨、新興国通貨も売られており、トルコリラへの圧迫感も強まりやすい状況だ。
【今晩20時、トルコ中銀は3会合連続利下げの見込み】
今晩20時にトルコ中銀はMPC(金融政策委員会)を開催して政策金利を発表する。リラ安とインフレの進行を背景にトルコ中銀は今年1月から7月まで7会合連続で政策金利を14.0%に据え置いてきたが、8月18日に予想外の利下げを決定して13.0%とし、9月22日には2会合連続の利下げで12.0%へ引き下げた。
9月28日にエルドアン大統領は「年末までに政策金利を一桁とすべき」と演説し、9月29日には「トルコ中銀に利下げを提言した」と述べたため、政権の意を汲んで今回のMPCでも3会合連続の利下げで11.0%へ引き下げると市場は予想している。
消費者物価上昇率が80%を超え、コア指数でも60%を超える状況の中で利下げを繰り返すことは世界の主要国における金融政策の常識からはかけ離れており、利下げがリラ安とインフレをさらに悪化させるのではないかとの懸念がさらにリラ安を加速させる悪循環に陥っている。しかし、足元のトルコ景気は決して深刻な不況には陥っておらず、高インフレの中での利下げにより実質的な大幅マイナス金利が景気を支えているのではないかとの肯定的な見方もあるようだ。
今回の利下げについて、1.0%利下げなら市場の予想通りでサプライズ感を伴わないが、年末までに一桁とするというエルドアン政権の意向を踏まえて1.0%を超える利下げに踏み切る場合にはリラ安が勢い付くことも警戒される。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月5日午前安値を起点とした上昇が継続しており、10月13日夜に下落したところから一段高したために10月14日午前時点からは10月13日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして10月18日早朝から20日朝にかけての間への上昇を想定してきた。
10月20日午前も高値を切り上げているので18日夕刻に一時的な下落で付けた安値を起点として既に新たな上昇期に入っているとみて21日午前から25日午前にかけての間へ上昇を想定する。ただし、8.03円を割り込む場合はいったん下落期に入るとみて21日午後から25日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では10月13日夜からの反騰継続により遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は10月20日早朝に70ポイント台後半へ上昇し、60ポイント弱まで下げたところから再び上昇しているのでまだ一段高余地ありとみるが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる場合は弱気逆行の発生として下落期入りを警戒し、55ポイント割れからは下落期入りとみて40ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.03円を下値支持線、8.08円を上値抵抗線とする。
(2)8.03円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.08円超えからは8.10円を目指す上昇を想定する。8.10円以上は反落注意とするが、8.05円以上での推移なら21日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.05円割れを弱気転換注意とし、8.03円割れからは8.00円前後への下落を想定する。8.00円前後では買われやすいとみるが、8.03円以下での推移が続く場合は21日も安値試しへ向かう可能性があるとみる。また日銀市場介入やトルコ中銀による大幅利下げなどで急落する場合は7.97円前後へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
10月20日
20:00 トルコ中銀政策金利 (現行 12.0%、予想 11.0%)
20:30 週次 外貨準備高 10/10時点 グロス (前週 732.5億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 10/10時点 ネット (前週 124.4億ドル)
23:30 9月 中央政府債務 (8月 365.1億リラ)
10月21日
16:00 10月 消費者信頼感指数 (9月 72.4)
10月25日
16:00 10月 製造業景況感指数 (9月 99.9)
16:00 10月 設備稼働率 (9月 77.4%)
注:ポイント要約は編集部
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