『週末にかけて急伸するも上値余地は限定的か。来週は南アCPIに注目』
〇今週の南ア円、中国の指標不冴えと米長期金利上昇等に週後半にかけ7.92まで急落
〇その後は、プラチナ価格上昇、円安進行等に週末にかけ一時8.15まで急伸
〇テクニカルには200日線、21日線等上抜けて「雲」のねじれも発生、地合い好転
〇ファンダメンタルズは南ア経済先行き不透明感、中国景気減速懸念等悪材料多い
〇今週末の上昇はドル円の上昇につれた部分が大きく、対ドルでは急落、来週は南ア円反落懸念も
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.80ー8.20
今週のレビュー(10/10−10/14)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.01円で寄り付いた後、@10/7に発表された米9月雇用統計が良好な結果を示したこと(ドル買い・新興国通貨売り)や、A中国9月財新サービス業PMI(結果49.3、予想54.6)が市場予想を下回ったこと(経済的な結びつきの強い南アフリカの景気減速懸念)、B米9月消費者物価指数および米9月消費者物価指数が市場予想を上回ったこと(ドル買い・新興国通貨売り)、C上記@Bを背景とした米FRBによるタカ派傾斜観測(次回11月FOMCでの75bp利上げを完全に織り込む形で米長期金利が急上昇→新興国から米国への資本流出圧力)が重石となり、週後半にかけて、週間安値7.92円まで急落しました。
しかし、9/26に記録した直近安値7.92円と同値で下げ渋ると、D上記Cで一時4.07%まで急上昇していた米10年債利回りが3.90%付近まで急低下したことや、E悪材料出尽くしに伴うリスクオフ後退(株式市場が急落後に急上昇)、Fプラチナ価格上昇に伴う交易条件改善期待、G対主要通貨での円独歩安(上記@Bに加えて、黒田日銀総裁によるハト派的な発言も重なり、ドル円が約32年ぶり高値圏へ急上昇→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値8.15円まで急伸しました。もっとも、一目均衡表雲下限をバックに伸び悩むと、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間10/15午前5時00分現在)では、8.10円前後で推移しております。
来週の見通し(10/17−10/21)
南アフリカランドの対円相場(ZARJPY)は、米CPI後の乱高下を経て、週末にかけて急伸する動きとなりました。この間、一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンド、200日移動平均線や21日移動平均線を上抜けした他、トレンドの変化を示唆する「雲のねじれ」も発生するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を期待させるチャート形状となりつつあります。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@米FRBによるタカ派傾斜観測(今週発表された米CPIが市場予想を上回ったことで、次回11月FOMCでの75bp利上げが完全に織り込まれる動き)や、A上記@を背景とした南アフリカから米国への資本流出圧力、B南アフリカ経済の先行き不透明感(国営電力会社エスコムによる相次ぐ計画停電)、C南アフリカと経済的な結びつきの強い中国の景気減速懸念(10/8に発表された中国9月財新サービス業PMIは49.3へと低下し、4カ月ぶりに景況改善・悪化の分岐点となる50を下回る冴えない結果)、D南アフリカの国営輸送会社トランスネット従業員によるストライキの発生(主要港湾があるダーバンからの輸出減に繋がる恐れ)など、南アランド円相場の下落を連想させる悪材料が揃っています。
一方で、今週の南アフリカランド円相場の上昇は、ドル円上昇に連れている側面が大きく(ドル円急騰→南アランド円連れ高)、一巡後は再び反落に転じるシナリオが想定されます(事実、対ドル相場は週後半にかけて急落し、2020年5月以来、約2年5ヵ月ぶり安値を更新済)。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は10/19の南ア9月消費者物価指数に注目が集まります。市場予想を上回る結果となれば、南ア中銀による追加利上げ観測を背景に一時的に南アランド買いで反応する可能性があるものの、一巡後は、「スタグフレーション懸念が燻る中での利上げ実施→南ア経済の逆風→南ア株下落」の経路で、南アランド円相場に強い下落圧力が加わる恐れがあるため、来週は週央以降のダウンサイドリスクに警戒が必要でしょう。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.80ー8.20
南アランド円日足
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