トルコリラ週報『週末にかけ上昇するも来週はトルコ中銀の追加利下げをきっかけに反落の恐れ』(10/15朝)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.82円で寄り付いた後、早々に週間安値7.77円まで下落しました。

トルコリラ週報『週末にかけ上昇するも来週はトルコ中銀の追加利下げをきっかけに反落の恐れ』(10/15朝)

『週末にかけ上昇するも来週はトルコ中銀の追加利下げをきっかけに反落の恐れ』

〇トルコ円、週初7.77まで下落後、週後半に8.01まで上昇、対ドルは一時史上最安値更新
〇トルコ円上昇の背景は急速な円安進行、トルコ指標の改善、露天然ガス供給拠点設置提案等
〇テクニカルにはトルコ円は主要テクニカルポイント上抜け、買いシグナルも点灯する等、地合い好転
〇ファンダメンタルズは、トルコ中銀の追加利下げ観測をはじめ下押し材料揃う
〇トルコ円相場の下落をメインシナリオとして予想、10/20の中銀政策決定会合要注目
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.70ー8.10

今週のレビュー(10/10−10/14)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.82円で寄り付いた後、早々に週間安値7.77円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、@トルコ8月失業率(結果9.6%、前回10.1%)の前月比改善や、Aトルコ8月経常収支(結果31.1億ドル赤字、予想32.0億ドル赤字、前回40.1億ドル赤字)の赤字額減少、Bプーチン大統領による「トルコを欧州向け天然ガス輸出の中心地とする案」のサプライズ提案、C黒田日銀総裁による「2%の物価目標を持続的・安定的に達成するまで金融緩和を継続する必要がある」とのハト派的な発言(ドル円急騰→トルコリラ円連れ高)、Dトルコ主要株価指数の堅調推移、E心理的節目8.00円突破に伴う仕掛け的なトルコリラ買いが支援材料となり、週後半にかけて、週間高値8.01円まで上昇しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、引けにかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間10/15午前5時00分現在)では、7.99円前後で推移しております。尚、対ドル相場は、米国とトルコの金融政策格差を背景に、史上最安値を更新する場面が見られました。

来週の見通し(10/17−10/21)

トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、8/2に記録した安値7.24円をボトムに反発に転じると、今週末にかけて、7/18以来、約3ヵ月ぶり高値となる8.01円まで急伸しました。この間、ローソク足が主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲上限など)を軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」や「強気のバンドウォーク」も点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を印象付けるチャート形状となりつつあります。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@トルコ中銀による追加利下げ観測(トルコ中銀はCPIが歴史的高水準を記録し続けているにも係わらず2会合連続でサプライズ利下げを実施。エルドアン大統領は9/29に「政策金利は年内1桁台に低下する」と発言)や、A上記@を背景としたトルコリラの実質金利低下(インフレ昂進に利下げで立ち向かう異例の政策運営を続けているためトルコリラの実質金利は低下の一途)、Bトルコ・欧米間の関係悪化懸念(エルドアン大統領とプーチン大統領の急接近に対する警戒感)、C米FRBによるタカ派傾斜観測(米9月CPIの市場予想を上回る結果を受けて米長期金利が急上昇→トルコから米国への資本流出圧力再開)、Dトルコ経済の先行き不透明感、E双子の赤字を背景とした構造的なリラ売り圧力、F介入余力低下への警戒感など、トルコリラ円相場の下押し材料が揃っています(今週はトルコリラ以上に日本円が売られているため、トルコリラ円相場が上昇しているに過ぎず、トルコリラの本質的な価値は冴えない状態。事実、対ドル相場は今週も史上最安値を更新中)。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は10/20に予定されているトルコ中銀政策会合に注目が集まります。上述の通り、エルドアン大統領は「政策金利は年内1桁台に低下する」と発言しているため、当方では3会合連続となる政策金利引き下げ(12.00%→11.00%)を通じて、トルコリラ円相場が下落に転じるシナリオを予想いたします。

来週の予想レンジ(TRYJPY):7.70ー8.10

注:ポイント要約は編集部

『週末にかけ上昇するも来週はトルコ中銀の追加利下げをきっかけに反落の恐れ』

トルコリラ円日足

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