ドル円の上昇による押し上げ続き8円に到達
〇トルコリラ円、ドル円が149円に迫る中7/15以来の8円台到達まで続伸
〇10/6から7連騰、9/22の日銀市場介入による急落前の高値を超え8/2以降の高値更新
〇対ドルでは14日夕刻18.59へ下落、新たな最安値更新を回避しつつも最安値近辺でのもみ合い
〇10/20に中銀金融政策委員会、市場の事前予想は現状の12.0%から11.0%へ1.0%の利下げ
〇7.97以上での推移中は上昇余地あり、8.01超えからは8.05を目指す上昇を想定
〇7.97割れから7.95前後への下落を想定、7.95前後では買われやすいとみる
【概況】
トルコリラ円の10月14日は8.01円から7.86円の取引レンジ、15日早朝の終値は8.00円で前日終値の7.92円から0.08円の円安リラ高となった。週間では10月7日終値7.81円から0.19円の円安リラ高だった。
ドル高リラ安基調を気にしながらもドル円の騰落に合わせた動きを続けており、10月5日以降はドル円の急伸と共にトルコリラ円も騰勢を強めている。
10月6日から10月14日まで7連騰となり、ドル円が149円に迫る中でトルコリラ円は7月15日以来の8円台到達まで続伸して9月22日の日銀市場介入による急落前の高値を超える一段高となり8月2日以降の高値を更新した。
【対ドルでは下落一服するも最安値圏での揉み合い続く】
ドル/トルコリラの10月14日は18.59リラから18.51リラの取引レンジ、15日早朝の終値は18.56リラで前日終値の18.52リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
10月13日の米9月CPI発表後にドル全面高となったものの当面するドル買い材料消化としてドル安へと風向きが変わったことでドル/トルコリラも13日夜から14日早朝にかけてはリラの買い戻しがやや優勢となった。しかし18.50リラ前後では戻り売りとなり14日夕刻には18.59リラへ下落した。終盤はやや戻したものの前日比ではマイナスに終わった。週間では10月7日終値18.56リラと変わらずだった。
10月11日に18.66リラへ史上最安値を更新した後は新たな最安値更新を回避しつつも最安値近辺でのもみ合いにとどまっている。
【トルコ中銀は大統領の意を汲んで利下げ継続か】
10月20日にトルコ中銀金融政策委員会があり政策金利が発表されるが、市場の事前予想は現状の12.0%から11.0%へ1.0%の利下げが決定される見込みとなっている。
トルコ中銀は8月に政策金利の週間レポレートを14.0%から13.0%への利下げを決定し、9月にはさらに1.0%の追加利下げで12.0%へ引き下げた。その後にエルドアン大統領は「トルコ経済はインフレを克服して成長している」「年末までに政策金利を一桁にすべき」と述べ、さらに「トルコ中銀に対して10月会合での利下げを提言した」とあからさまに述べている。
インフレ率が消費者物価の前年比で80%を超え、生産者物価では150%を超える状況にあっても利下げをするというエルドアン政権の意思は強固であり、中立性にかけるトルコ中銀は大統領の意向に逆らえないと思われる。
昨年9月から12月にかけて政策金利を19%から14%まで4会合連続の利下げで引き下げた時にリラ暴落が発生し、リラ預金の為替差損補填政策や企業の外貨保有規制などの対策を打ち出してきたものの今年8月からの利下げ再開によりリラは対ドルでの史上最安値を更新している。リラ安の進行に対しても輸出を促進するものとしてエルドアン政権は危機感を持たず、いずれインフレが終息して輸出拡大と海外観光客収入の回復で経常収支を好転させて経済成長が進むという政策判断を固持している。
仮に市場予想通りの1.0%利下げなら、サプライズ無しとして市場の反応は鈍いかもしれないが、リラ安基調は続いてゆくのだろう。事前予想以上の利下げ幅になる場合はリラの大幅下落も懸念されるが、年末までに政策金利を一桁にすることにこだわるなら、1.5%や2.0%の利下げも無いとは言いきれないと思われる。
【当面はドル円の大上昇に連動だが、日銀介入による反落に注意】
8月以降のドル円とドル/トルコリラを比較すると、ドル/トルコリラは8月1日安値17.77リラから10月11日の史上最安値18.66リラへドル高リラ安が進んでおり、ドルの上昇率で見れば凡そ5%のドル高リラ安だった。一方のドル円は8月2日安値130.39円から10月14日高値148.86円まで凡そ14%のドル高円安である。ドル円におけるドル高円安がドル/トルコリラにおけるドル高リラ安を大幅に上回っており、その結果、トルコリラ円は8月2日安値7.27円から10月14日高値8.01円まで凡そ10%のリラ高円安で推移してきた。
当面はドル円の騰落に合わせてトルコリラ円も左右される状況だが、ドル円の上昇に対しては9月22日に日銀が24年ぶりとなるドル売り円買い介入を実施しており、既に1998年8月天井の147.63円を超えて1990年以来32年ぶりの円安水準に来ており、第二第三の日銀介入による円安阻止への動きも警戒されるところだ。
1998年の日銀介入においては4月に2日、6月に1日の合計三回の市場介入が実施され、8月11日でようやく天井を付けて円高に流れが変わった経緯がある。今回も同様にドル円が天井を付けるまでさらに時間がかかる可能性もあるが、市場介入による圧力を超えて投機的な円安が継続する場合でも9月22日の市場介入時のように一時的にせよ急激な円高が発生する可能性を常に抱えていること、あるいは従来よりも強いメッセージで150円前後を天井として円安にブレーキがかかる可能性もあるところだ。トルコリラ円としてはドル円の急変動に常に注意が必要だ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月5日午前安値を起点とした上昇が継続しているが、10月13日夜に下落したところから一段高となったために10月14日午前時点では10月13日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして次の高値形成期を10月18日早朝から20日朝にかけての間と想定した。
10月15日早朝へ一段高した後も高値圏を維持しているので引き続きサイクルトップ形成中とするが、日銀の介入への警戒感もあるため7.97円割れを弱気転換注意、7.95円割れからは弱気サイクル入りと仮定して18日夜から20日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では10月13日夜からの反騰継続により遅行スパンの好転と先行スパンを上回る状況を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし、26本基準線を割り込み遅行スパンが悪化するところからは下落期入りを警戒して先行スパンの上下限を試す下落を想定する。
60分足の相対力指数は10月14日夜に80ポイントへ迫った後も60ポイント以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとみるが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は下げ再開を警戒し、50ポイント割れからはいったん下落期に入るとみて30ポイント台への下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.97円を下値支持線、8.01円を上値抵抗線とする。
(2)7.97円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.01円超えからは8.05円を目指す上昇を想定する。8.03円以上は反落注意とするが、7.97円以上での推移なら18日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.97円割れから7.95円前後への下落を想定する。7.95円前後では買われやすいとみるが、7.95円割れから続落の場合は連騰一巡による下落期入りの可能性ありとして7.90円台序盤(7.93円から7.90円)へ向かう流れと考える。
【当面の主な予定】
10月17日
17:00 9月 財政収支 (8月 +360億リラ)
10月20日
20:00 トルコ中銀政策金利 (現行 12.0%)
20:30 週次 外貨準備高 10/10時点 グロス (前週 732.5億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 10/10時点 ネット (前週 124.4億ドル)
23:30 9月 中央政府債務 (8月 365.1億リラ)
10月21日
16:00 10月 消費者信頼感指数 (9月 72.4)
10月25日
16:00 10月 製造業景況感指数 (9月 99.9)
16:00 10月 設備稼働率 (9月 77.4%)
注:ポイント要約は編集部
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