トルコリラ円見通し ドル円の146円台到達でトルコリラ円も10月5日以降の高値を更新

トルコリラ円の10月11日は7.86円から7.81円の取引レンジ、12日早朝の終値は7.84円で前日終値と変わらずだった。

トルコリラ円見通し ドル円の146円台到達でトルコリラ円も10月5日以降の高値を更新

ドル円の146円台到達でトルコリラ円も10月5日以降の高値を更新

〇トルコ円、12日早朝のドル円146円台乗せで、7.87をつけ10/5以降の高値更新
〇対ドル、12日未明のポンド発ドル全面高で一時18.66リラをつけ、取引時間中の史上最安値更新
〇トルコ8月の経常収支は31.1億ドルの赤字、7月よりやや減少するも10か月連続赤字
〇7.84円以上での推移は上昇余地あり、7.88超えからは7.90前後への上昇想定
〇7.82割れからは下落再開、7.78前後へ下落想定、急落の場合は7.75前後へ下値目途引き下げ

【概況】

トルコリラ円の10月11日は7.86円から7.81円の取引レンジ、12日早朝の終値は7.84円で前日終値と変わらずだった。
ドル高リラ安基調は継続しているものの、トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた動きを継続している。
ドル円は10月10日深夜と11日午後に145.80円台へ上昇して9月22日の市場介入前高値145.89円に迫っていたが、10月12日午前序盤に146.20円台へ一段高となった。146円を超えた段階での市場介入は見られなかったものの、第二弾の介入警戒感もあってその後は146円を割り込むところを買われつつ高値更新を伺う動きで日銀の介入姿勢探る状況となっている。

トルコリラ円は9月22日の日銀介入による円高で7.98円から7.65円まで急落した後はドル円の戻りに合わせて上昇基調で推移しており、10月5日に7.71円までいったん下げたところから再び連騰で戻している。10月10日からは7.81円を支持線に7.85円以上では売られる持ち合いの様相だったが、10月12日午前序盤にはドル円の146円台到達を見て7.87円を付けて10月5日以降の高値を更新している。
日銀の実弾介入第二弾があるのかどうか、市場も慎重に試しつつ、口先介入程度ならドル円は146円台を後半を目指し、トルコリラ円も7.90円台を目指す可能性もあるところと注目したい。

【対ドルでは18.60リラを挟んだ膠着状態だが、わずかに史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの10月11日は18.66リラから18.51リラの取引レンジ、12日早朝の終値は18.59リラで前日終値の18.57リラからは0.02リラのドル高リラだった。
9月22日のトルコ中銀による2会合連続利下げ決定を受けて昨年12月20日の1ドル18.36リラを超えて史上最安値更新に入り、10月5日には1ドル18.65リラまで史上最安値を更新してきた。
10月11日は先週末の米雇用統計後のドル全面高が一服して深夜にかけてユーロやポンド等がいったん戻していたものの英中銀が英国債暴落回避で導入した時限的なQE再開について予定通りに10月14日に終了するとしたことでポンドが一段安となりユーロや豪ドルなども下落したためにドル高再開へと進んでいる。トルコリラも全般のドル高に圧される展開で一時18.66リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新、終値ベースでも最安値更新となっている。

【トルコ経常収支10か月連続の赤字】

【トルコ経常収支10か月連続の赤字】

10月11日夕刻に発表されたトルコの8月経常収支は31.1億ドルの赤字で7月の40.9億ドルからは若干減少したものの赤字は昨年11月から10か月連続であり、今年は1月の74.99億ドルの赤字が最大ではあるものの高水準の赤字が続いていることに変わりはない。
エルドアン大統領は高インフレにもかかわらず利下げを強行して融資の拡大により自国経済を活性化させ、リラ安による輸出や海外観光客の来訪拡大による経常収支の改善を目指しているが、昨年8月から10月まで3か月連続で経常黒字を実現した後は構造的な赤字体質から脱却できずにいる。

リラ安の進行と世界規模のインフレによりトルコの輸出は伸びても輸入が拡大するために貿易赤字は過去最大へと悪化しており、パンデミックが落ち着いて海外からの観光客が戻ってきているもののそれでは足りないという状況だ。
世界規模のインフレが収まらない限り、トルコ独自の金融経済政策ではインフレを抑えられず、利下げとリラ安がさらに他国よりもインフレを悪化させてしまっているのが実情であり、年後半の経済成長鈍化が顕著になればリラ売りもさらに加速しかねないと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月5日午前安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして10月6日早朝から10日朝にかけての間への上昇を想定してきた。10月11日深夜にかけては上げ渋りの揉み合いで推移していたが、10月12日午前序盤へ一段高しているため、10月10日午前高値を直近のサイクルトップ、10月11日深夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしたとみて13日午前から17日午前にかけての間への上昇を想定する。
ただし日銀介入も警戒されるので波乱注意とし、7.82円割れからは弱気サイクル入りとして14日夜から18日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月12日午前序盤の一段高で遅行スパンが好転し、先行スパンを上回っているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は10月11日夜に40ポイント台へ低下したがその後の反騰で60ポイント台へ上昇した。このため50ポイントを割り込まないうちは上昇余地ありとして70ポイント台を目指すとみるが、50ポイント割れからは下落期入りを警戒して40ポイント割れを目指す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.82円を下値支持線、7.88円を上値抵抗線とする。
(2)7.84円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、7.88円超えからは7.90円前後への上昇を想定する。7.90円以上は反落注意とするが、7.84円以上での推移なら13日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.84円割れを弱気転換注意とし、7.82円割れからは下落再開とみて7.78円前後への下落を想定する。7.78円前後では買いも入りやすいとみるが、急落商状の場合は7.75円前後へ下値目途を引き下げる。また7.82円以下での推移なら13日の日中も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月12日
 16:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -6.2%)
 16:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 2.4%)
 16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 -0.3%)
 16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 2.0%)
10月13日
 20:30 週次 外貨準備高 10/7時点 グロス (9/30時点 680.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 10/7時点 ネット (9/330時点 97.2億ドル)
10月17日
 17:00 9月 財政収支 (8月 +360億リラ)
10月20日
 20:00 トルコ中銀政策金利 (現行 12.0%)


注:ポイント要約は編集部

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