9月22日の市場介入時高値を超えて146円台到達
〇ドル円、146円台前半に上昇、9/22市場介入時の水準超えるも現状では新たな介入なし
〇昨晩は英中銀が時限的な量的金融緩和を予定通り終了するとしたことで、対ポンド中心にドル買い強まる
〇政府・日銀が第二弾の介入を実施するのか、もう一段高を見定めてからの介入となるのか姿勢問われる
〇10/12-13のG20財務相・中銀総裁会合でドル高への懸念なり議論がなされるのか注目
〇12日未明安値145.41以上での推移中は上昇余地ありとし、146.50超えからは147円試しとみる
〇145.41割れからは修正安入りとみて145円前後への下落を想定
〇介入で急落する場合は144円台序盤への下落を想定するが、規模が前回比小さい場合はバーゲン買いも
【概況】
ドル円は10月12日午前序盤に146円台に到達、9月22日に24年ぶりとなる日銀市場介入で急落する直前の高値145.89円を超えた。146円台に到達した時点ではまだ新たな市場介入は見られない。
10月7日の米9月雇用統計が堅調な数字だったことで米FRBによる大幅利上げ継続姿勢は変わらないと受け止められて米長期債利回りが上昇、為替市場はドル全面高となった。10月11日夜は雇用統計後のドル高一服でユーロやポンド等が一時戻したものの、英中銀が英国債暴落回避で再導入した時限的な量的金融緩和について予定通り10月14日で終了するとしたことでポンドが一段安となり、連れてユーロや豪ドルなども下落してドル高再開となっている。
10月12日夜には米9月PPI、13日夜には米9月CPIの発表を控えており、インフレ指標が高止まりならドル高がさらに加速する可能性もあるところと思われるが、146円台到達に対して日銀が第二弾の介入を実施するのか、もう一段高を見定めてからの介入となるのか、市場の挑発的なドル買い円売りの流れと政府・日銀の姿勢が問われるところだ。
【中国人民銀行、元安阻止へ積極姿勢】
英ポンドが史上最安値を更新、ユーロが20年ぶり安値、円が24年ぶり安値など、歴史的なドル高が継続する中で人民元も大幅下落が続いてきたが、中国人民銀行は先週の大型連休前に国営銀行系列に対して元買いドル売りの準備を指示したり外貨準備比率の引き上げ等により元安阻止へ動いていた。
10月11日には「人民元相場を安定させるための措置を講じる」とし、「ドル高であっても人民元は必ずしも対ドルで下落する必要はない」「近年はドル高でも人民元高になるケースがある」とし、「包括的な措置で安定化を目指し大きな変動を断固として抑制する」と表明した。
政府・日銀による24年ぶりの円買い単独介入等、歴史的な自国通貨安に対する踏み込んだ対応を取り始めている動きもあるが、イエレン米財務長官は先週末にはドル高に対する懸念を示さずにファンダメンタルズと金融政策の差によるものとしてドル高容認の姿勢を示している。
10月12日と13日にはG20財務相・中銀総裁会合があるが、そこでドル高への懸念なり議論がなされるのか注目したいところだ。
【NYダウは5日ぶり小反発も戻り売りに失速、米長期債利回りは連騰】
10月11日のNYダウは前日比36.31ドル高と上昇した。10月5日から10日まで4営業日の続落だったところから買い戻されて一時は前日比で400ドル高を超える反発だったものの戻り売りで上げ幅の大半を解消した。ナスダック総合指数は前日比115.91ポイント安に終わり10月5日から5営業日続落となっている。10月11日は中国の感染再拡大と検査強化の報道もあり、米国の大幅利上げによる景気減速懸念だけではなく中国景気低迷等も意識された。
10月11日の米長期債利回りは概ね上昇した。10年債利回りは前日比0.06%上昇の3.95%となり9月に付けた12年ぶり高値4.02%へ徐々に迫っている。
30年債利回りは前日比0.08%上昇の3.93%で、9月28日の3.91%を超えて凡そ9年ぶり高水準となった。
2年債利回りは横ばいの4.31%にとどまったが、9月26日の4.36%から10月4日に一時4.00%まで低下したところからの反騰を継続しており、一時は4.35%を付けている。
先週末の米雇用統計が堅調だったこと、米FRB高官や地区連銀総裁らによる大幅利上げ継続支持の姿勢も相次いでいるが、昨晩もクリーブランド連銀のメスター総裁が「FRBの金融政策は依然として緩和的」とし、インフレ状況を踏まえれば3月から実施してきた利上げも「積極的」という程ではないと述べ、今後の大幅利上げ継続への支持姿勢を示している。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円は10月5日午前に143.50円まで下げたところで目先の底を付けて戻してきたが、10月11日午後に9月22日夜安値以降の高値を更新し、12日未明へやや下げたところから146円台へ一段高となった。このため10月5日午前安値から4日半となる12日未明安値を起点として新たな上昇期に入ったと仮定して14日午後から18日午後にかけての間への上昇を想定する。
ただし、日銀介入も警戒されるために波乱注意とし、12日未明安値145.41円割れからはいったん仕切り直しの下落期に入るとみて144円台後半への下落を想定する。ただし市場介入による下落を消化して直前の下げ幅の半値以降を解消する反騰が見られるところからは一段高へ進む上昇期入りの可能性を検討する。
60分足の一目均衡表では10月12日未明に遅行スパンが一時悪化したものの好転へ切り返し、先行スパンの上限に達したところから一段高しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、市場介入への警戒もあるため遅行スパン悪化からは下げ再開とし、先行スパン下限を試す下落を想定する。
60分足の相対力指数は10月10日午前から11日午後への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せてから40ポイント台へ低下したが、その後の反騰で60ポイントを超えて70ポイントに迫っている。市場介入を警戒しつつも50ポイント以上での推移中は一段高余地ありとし、50ポイント割れからは40ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、145.41円を下値支持線、146.50円を上値抵抗線とする。
(2)145.41円以上での推移中は上昇余地ありとし、146.50円超えからは147円試しとみる。147円手前は反落警戒とするが、口先介入にとどまって上昇が抑えられない場合は147円台序盤(147.10円から147.30円)への上昇を想定する。
(3)145.41円割れからは修正安入りとみて145円前後への下落を想定する。実弾での市場介入がなく高値警戒感からの調整安なら145円前後は買いも入りやすいとみてその後に145.50円を超えるところから上昇再開と146円台中盤試しを想定するが、実弾介入で急落する場合は144円台序盤への下落を想定する。ただし、介入規模が9月22日よりも厳しくなければ二度目の介入に対する市場反応は一度目よりも鈍くなり、急落場面ではバーゲンハントの買いも入ってくるのではないかと思われる。
【当面の主な予定】
10/12(水)
G20財務相・中央銀行総裁会議(10/13まで)
15:00 (英) 8月 月次GDP 前月比 (7月 0.2%、予想 0.0%)
15:00 (英) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.3%、予想 -0.2%)
15:00 (英) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 1.1%、予想 0.6%)
15:00 (英) 8月 貿易収支・物品 (7月 -193.62億ポンド、予想 -204.00億ポンド)
15:00 (英) 8月 貿易収支・全体 (7月 -77.93億ポンド、予想 -90.00億ポンド)
17:00 (英) ハスケル英中銀委員、講演
18:00 (欧) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -2.3%、予想 0.6%)
18:00 (欧) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 -2.4%、予想 1.2%)
20:35 (英) ピル英中銀理事、講演
21:30 (米) 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 -0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (8月 8.7%、予想 8.4%)
21:30 (米) 9月 PPIコア指数 前月比 (8月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 PPIコア指数 前年同月比 (8月 7.3%、予想 7.3%)
22:30 (欧) ラガルドECB総裁、国際金融協会年次会合で講演
23:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会参加
26:00 (英) マン英中銀委員、講演
26:00 (米) 財務省10年債入札
26:45 (米) バーFRB副議長、講演
27:00 (米) FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録 9/20-21日開催分
10/13(木)
休場 タイ
07:30 (米) ボウマンFRB理事、講演
08:00 (英) マン英中銀委員、講演
08:50 (日) 9月 国内企業物価指数 前月比 (8月 0.2%、予想 0.3%)
08:50 (日) 9月 国内企業物価指数 前年同月比 (8月 9.0%、予想 8.8%)
15:00 (独) 9月 CPI(消費者物価指数)改定値 前月比 (速報 1.9%、予想 1.9%)
15:00 (独) 9月 CPI(消費者物価指数)改定値 前年同月比 (速報 10.0%、予想 10.0%)
16:30 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
21:30 (米) 9月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (8月 0.1%、予想 0.2%)
21:30 (米) 9月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (8月 8.3%、予想 8.1%)
21:30 (米) 9月 CPIコア指数 前月比 (8月 0.6%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 CPIコア指数 前年同月比 (8月 6.3%、予想 6.5%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.9万件、予想 22.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 136.1万人、予想 137.3万人)
24:00 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省30年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.11.23
来週の為替相場見通し『トランプトレードと円キャリーの組み合わせがドル円を下支え』(11/23朝)
ドル円は、今週前半にかけて、一時153.28まで急落する場面が見られましたが、週末にかけては一転154円台後半へと持ち直す動きとなりました。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:田代 昌之
2024.11.22
東京市場のドルは154円台後半で推移、日銀による追加利上げ観測が円安のブレーキ役に(24/11/22)
東京時間(日本時間8時から15時)のドル・円は、日本株のしっかりとした推移を材料にじり高の展開となり154円台後半で推移した。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:斎藤登美夫
2024.11.22
ドル円 値動きそのものは激しいが、結果レンジ内か(11/22夕)
東京市場はドルが小高い。やや激しめの乱高下をたどるなか、最終的にドルは高値引け。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2022.10.12
ドル円、堅調推移継続で9/22に実施した介入前の水準145.90に並ぶ展開(10/12朝)
11日(火)のドル円相場は堅調な値動き。
-
みんなのFX トレイダーズ証券
みんなのFXはスワップもスプレッドも高水準!口座開設とお取引で最大1,010,000円キャッシュバックキャンペーン中!
取引は1,000通貨からOK、手数料も無料!eKYCで最短1時間後に取引可能
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
- 掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。