ドル円、堅調推移継続で9/22に実施した介入前の水準145.90に並ぶ展開(10/12朝)

11日(火)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、堅調推移継続で9/22に実施した介入前の水準145.90に並ぶ展開(10/12朝)

ドル円、堅調推移継続で9/22に実施した介入前の水準145.90に並ぶ展開

〇ドル円、米長期金利低下等に米国時間にかけて145.43まで下落
〇本日未明にかけては、英ポンドの対ドルの下落波及や、米長期金利持ち直しに145.90まで上昇
〇ユーロドル、米長期金利低下に0.9774まで上昇後、英中銀総裁の介入終了発言に反落
〇ドル円、一時9/22の日銀介入水準に並ぶ、テクニカル、ファンダメンタルズとも地合い強い
〇一方で介入や、10/12-13のG20財務相、中銀総裁会議でのドル高是正議論への警戒感根強い
〇ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:144.75ー146.25

海外時間のレビュー

11日(火)のドル円相場は堅調な値動き。@米FRBによるタカ派傾斜観測(10/7に発表された米9月雇用統計が良好な結果を示したことで米利上げペース鈍化期待が後退)や、A上記@を背景とした米長期金利の急上昇(米10年債利回りは一時4.00%へ急上昇)、B世界的なリスク回避ムード(資産現金化需要のドル買い圧力)が支援材料となり、日本時間14時過ぎに、一時145.88まで上昇しました。

しかし、9/22に記録した直近高値145.90(政府・日銀による介入直前に付けた約24年ぶり高値圏)をバックに伸び悩むと、C介入警戒感を嫌気した短期筋のポジション手仕舞い(松野官房長官による「円安について引き続き緊張感を持って注視し過度な変動には適切な対応を取る」との牽制発言)や、D米9月ニューヨーク連銀消費者期待調査における1年先のインフレ期待低下(結果5.4%、前回5.7%、※2021年9月以来の低水準)、E米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りが4.00%から3.87%へ急低下)が重石となり、米国時間にかけて、安値145.43まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、F対英ポンドでのドル買い圧力や、G米長期金利の持ち直し(米10年債利回りが3.87%から3.93%へ上昇)が支援材料となり、引けにかけて、日通し高値145.90まで反発しました。本稿執筆時点(日本時間10/12午前5時00分現在)においても、145.85前後での底堅い動きが続いております。

11日(火)のユーロドル相場は方向感に欠ける展開。@米FRBによるタカ派傾斜観測や、A上記@を背景とした米長期金利の上昇とそれに伴うドル買い圧力、Bロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク(ロシア・ウクライナの戦況悪化)、C欧州株の冴えない動きが重石となり、日本時間13時過ぎに、安値0.9673まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、D米9月ニューヨーク連銀消費者期待調査における1年先のインフレ期待低下や、E上記Dを背景とした米長期金利の急低下(米ドル売り)が支援材料となり、米国時間にかけて、高値0.9774まで反発する場面も見られました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、F対英ポンドでのドル買い圧力(ベイリーBOE総裁は緊急国債買い入れ措置を予定通り10/14に終了すると発言→英ポンド急落→ユーロドル連れ安)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間10/12午前5時00分現在)では、0.9710前後まで値を崩す展開となっております。

本日の見通し

ドル円は高値圏での一進一退が続いております。昨日は一時145.90まで上値を伸ばし、政府・日銀が実弾介入に踏み切った9/22高値145.90に並びました。日米金融政策格差を背景としたドル買い・円売り(日米名目金利差に着目したドル買い・円売り)や、本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力(昨日発表された国際収支統計で本邦貿易赤字が急拡大)、強い買いシグナルの複数点灯(一目均衡表三役好転や強気のパーフェクトオーダーなど)がドル円上昇の背景と見られ、ファンダメンタルズ的にも、テクニカル的にも、地合いは強いと判断できます。

但し、イレギュラー要素として「政府・日銀による介入警戒感」が控えている為、ここからの続伸は容易では無いと考えられます。事実、昨日は松野官房長官より「円安について引き続き緊張感を持って注視し過度な変動には適切な対応を取る」との円安牽制発言が見られるなど、介入警戒感は一段と高まってきております。また、10/12ー10/13の日程で開催されるG20財務相・中央銀行総裁会議では、ドル高是正に向けた議論がなされるのではないかとの思惑が一部で広がっており、仮にそうした議論が明らかとなれば、米ドル高後退→ドル円急落の流れに発展する恐れもありそうです。

事実、10/6にイエレン財務長官が「ドル高に伴う為替変動がもたらす潜在的な影響に留意している」と発言している他、昨日はIMF(国際通貨基金)も「一段のドル高となれば多くの新興国で債務問題が深刻に」と発言するなど、ドル高是正に向けた議論がなされる可能性を相応に高いと考えられます。10/13に予定されている米9月消費者物価指数の鈍化(インフレピークアウト期待再燃→米金利低下→米ドル売り→ドル円下落の波及経路)も警戒される中で、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(政府・日銀による介入警戒感と、ドル高是正の思惑、米インフレピークアウト期待がドル円の重石)。尚、本日は米9月生産者物価指数や、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁発言、米10年債入札、バーFRB副議長発言、FOMC議事要旨に注目が集まります。

本日の予想レンジ:144.75ー146.25

注:ポイント要約は編集部

ドル円、堅調推移継続で9/22に実施した介入前の水準145.90に並ぶ展開

ドル円日足

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