トルコリラ円見通し 米雇用統計後の円安に支えられて確り(22/10/11)

10月10日は7.86円から7.80円の取引レンジ、11日早朝の終値は7.84円で前日比0.03円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 米雇用統計後の円安に支えられて確り(22/10/11)

トルコリラ円見通し 米雇用統計後の円安に支えられて確り

〇トルコリラ円、ドル円に合わせた動き継続、米雇用統計後ドル全面高の様相で10/8早朝7.83をつける
〇10/10午前7.86まで高値を伸ばし、午後にいったん反落するも持ち直し10/11早朝7.85へ戻す
〇対ドル、10/10は18.63から18.39の取引レンジ、現状は史上最安値近辺でのもみ合いの様相
〇為替市場はドル全面高の様相、トルコリラにも引き続き売り圧力かかる
〇トルコ失業率は改善、本日発表の8月経常収支、予想を上回る経常赤字ならばリラ売り要因となるか
〇7.81以上での推移中は上昇余地ありとし、7.86超えからは7.88前後への上昇を想定する
〇7.81割れからは下落再開とみて、7.78前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の10月7日は7.83円から7.78円の取引レンジ、8日早朝の終値は7.81円で前日と変わらず。
週間では9月30日終値7.82円から0.01円の円安リラ高だった。
10月10日は7.86円から7.80円の取引レンジ、11日早朝の終値は7.84円で前日比0.03円の円安リラ高だった。
対ドルでのリラ安基調は継続しているものの1ドル18.50リラ台中心に18.60リラ台では下支えられる持ち合いでの推移となっているため、トルコリラ円はドル円の騰落に合わせた動きを継続している。

10月7日の米雇用統計が堅調な内容で米FRBにおる11月の大幅利上げが濃厚となり為替市場はドル全面高の様相でドル円は10月8日早朝に145.44円へ上昇、10日深夜には145.85円(ベンダーによっては145.80円)をつけて9月22日の日銀市場介入で急落する前の高値145.89円に迫った。トルコリラ円も8日早朝には7.83円をつけ、10日午前には7.86円まで高値を伸ばし、10日午後にいったん反落したところからも持ち直して11日早朝には8.85円へ戻した。しかしドル高リラ安もあり10日午前高値超えへは進めずにいる。
ドル円が9月22日の日銀市場介入時の水準手前まで戻しているため、第二弾の実弾介入があるのかどうか試されるところであり、介入の有無によってはドル円の急伸も急落もあり得るところと注意したい。

【対ドルでは史上最安値近辺での推移続く】

ドル/トルコリラの10月7日は18.64リラから18.54リラの取引レンジ、8日早朝の終値は18.56リラで前日終値の18.57リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
週間では9月30日終値の8.50リラからは0.06リラのドル高リラ安だった。
10月10日は18.63リラから18.39リラの取引レンジ、11日早朝の終値は18.57リラで前日終値からは0.01リラのドル高リラ安だった

9月22日にトルコ中銀が予想外の2会合連続利下げに踏み切ったことからのリラ売りで昨年12月20日につけた1ドル18.36リラの史上最安値を更新、9月27日に1ドル18.50リラ台へ続落となり10月5日には1ドル18.65リラ(ベンダーによっては18.65リラを超えるレート提示もみられる)まで史上最安値を更新した。終値ベースでは18.57リラが最安値となっており、現状は史上最安値近辺でのもみ合いの様相で多少戻したところは売られているがさらなる最安値更新を伺う動きを続けている。
10月7日の米雇用統計が堅調な内容となり為替市場ではドル全面高の様相で、9月後半から反騰していたポンド、ユーロ、豪ドル、南アランド等が総じて反落しており、トルコリラにも引き続き売り圧力がかかっている。

【トルコ失業率は改善、今夕は8月の経常収支発表あり】

10月10日に発表されたトルコの8月失業率は9.6%となり7月の10.0%(速報の10.1%から下方修正)から改善した。市場予想は変わらずから若干の悪化を見込んでいたが予想外の改善となった。一桁台は2018年1月の9.8%以来で、2014年3月の9.5%以来の低水準となった。
15歳以上の失業者数は7月から10万人減少して331万人、男性失業率は8.2%、女性失業率は12.5%だった。

トルコリラ円見通し 米雇用統計後の円安に支えられて確り

失業率の改善についてネバティ財務相は世界の趨勢と異なるトルコ経済政策の成果だと強調した。
消費者物価上昇率が前年比で80%を超える高インフレとなりリラ安が進行する中でもトルコのGDPは2022年1-3月に前年同期比7.3%、4-6月期も7.5%と高成長を実現している。これをエルドアン大統領は新トルコ経済政策としてトルコ経済の強さを主張しているわけだが、2022年後半のGDPは落ち込みも予想されており、高インフレとリラ安による経常収支の悪化がさらにリラ安を加速させ、物価高騰による景気への圧迫感も強まっている。
今夕には8月の経常収支発表があり、経常赤字は7月の40.1億ドルから若干の減少が見込まれているものの貿易赤字は過去最大となっており、予想を上回る経常赤字となる場合はリラ売り要因となりかねないので注目したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月5日夜に強気転換目安とした7.80円まで切り返したために10月6日午前時点では5日午前安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、高値形成期を10月6日早朝から10日朝にかけての間と想定した。
10月10日午前に一段高したところから反落したものの7.80円台を維持して切り返しているのでまだ上昇余地が残るが、既に10日午前高値でサイクルトップを付けた可能性があると注意し、7.81円割れからは弱気サイクル入りとみて11日の日中から12日午前にかけての間への下落を想定する。
ただし、10日午前高値を上抜く場合は10日午後安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りと改めて13日午前から17日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では10月5日午前安値からの反騰で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、その後も両スパンそろっての好転を維持しているものの遅行スパンは悪化しやすい位置にある。先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開の可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は10月10日午前高値時に75ポイントを超えたが10日深夜上昇時には70ポイントに届かずに失速しているので下落期入り注意とし、50ポイントを割り込まないうちは65ポイント超えから上昇再開とするが、50ポイント割れからは下落期入りとみて40ポイント割れを目指す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.81円を下値支持線、7.86円を上値抵抗線とする。
(2)7.81円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.86円超えからは7.88円前後への上昇を想定する。7.88円以上は反落注意とするが、7.82円以上での推移なら12日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.81円割れからは下落再開とみて7.78円前後への下落を想定する。7.78円前後では買いも入りやすいとみるが、急落商状の場合は7.74円前後へ下値目途を引き下げる。また7.80円以下での推移なら12日の日中も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

10月11日
 16:00 8月 経常収支 (7月 -40.1億ドル)
10月12日
 16:00 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -6.2%)
 16:00 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 2.4%)
 16:00 8月 小売売上高 前月比 (7月 -0.3%)
 16:00 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 2.0%)
10月13日
 20:30 週次 外貨準備高 10/7時点 グロス (9/30時点 680.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 10/7時点 ネット (9/330時点 97.2億ドル)
10月17日
 17:00 9月 財政収支 (8月 +360億リラ)
10月20日
 20:00 トルコ中銀政策金利 (現行 12.0%)



注:ポイント要約は編集部

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