ドル円反落と対ドルでの史上最安値更新で下落するも持ち直しの気配
〇トルコリラ円、ドル円の動きを見ながら10/3昼過ぎ7.83へ上昇、夕刻から失速し、深夜7.78まで下げる
〇対ドル、18.57へと取引時間中の史上最安値を更新、その後やや戻すも終値ベースでも史上最安値更新
〇トルコ9月CPIは上昇、その中でも利下げが続く可能性高い、19.00台から20.00を目指す可能性も
〇7.80以上での推移中は上昇余地ありとし、7.84超えからは7.87前後への上昇を想定する
〇7.78割れからは、7.75前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の10月3日は7.83円から7.78円の取引レンジ、4日早朝の終値は7.79円で先週末終値の7.82円からは0.03円の円高リラ安だった。
10月3日夕刻のトルコ9月CPI上昇率は予想を若干下回ったものの8月から伸びが加速、PPIも大幅上昇が続いたために発表後はリラ売り優勢となってドル/トルコリラは史上最安値を更新した。一方でドル円は昼過ぎと夜に145円台序盤を試したものの財務相の円安牽制発言やポンドの一段高などでドル安感が強まり、米長期債利回りが先週末に比べて大幅低下したことも重なり深夜には144円台序盤へ失速した。
トルコリラ円はこれらの動きを見ながら、昼過ぎのドル円上昇局面で7.83円へ上昇、夕刻からのリラ安で失速し、深夜のドル円下落局面で7.78円まで下げたが、9月30日安値7.77円割れは回避して4日午前序盤にはドル円の持ち直しを見ながら7.80円台を回復している。
引き続きドル高リラ安を意識しつつも、ドル円の騰落を優先した展開での推移と思われる。
【1ドル18.57リラへ史上最安値更新】
ドル/トルコリラの10月3日は18.57リラから18.44リラの取引レンジ、4日早朝の終値は18.54リラで先週末終値の18.50リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
9月のトルコCPI上昇率は前月比3.08%、前年比83.45%で市場予想を若干下回ったものの8月から伸びがいずれも加速した。エルドアン大統領がトルコ中銀に対して次回会合での利下げ継続を提言したとの9月29日の報道もあり、高インフレが収まらない中での利下げ継続により貿易収支及び経常収支の悪化からリラ安はさらに進行しやすいとみて発表後に1ドル18.57リラへ取引時間中の史上最安値を更新、リラ売り一巡後はやや戻したものの18.40リラ台では売られたために終値ベースでも史上最安値更新となった。当面、リラ安基調は継続的と思われる。
【トルコ9月CPIは前年比83.45%へ上昇、24年ぶり高水準】
10月3日16時に発表されたトルコの9月消費者物価上昇率は前月比3.08%上昇で市場予想の3.80%を下回ったもの1.46%から伸びが再び加速し、前年同月比は83.45%をつけて市場予想の84.63%を若干下回ったものの8月の80.21%から大幅に伸びが加速した。食品エネルギー等を除くコアCPIの前月比は2.7%で8月の3.1%からは低下したが前年同月比は68.1%で8月の66.1%を上回った。
項目別では輸送費が前年比117.66%。食料品・飲料が93.05%。生活用品が89.68%と平均値を大幅に超えている。
イスタンブールの9月小売価格指数は前月比6.06%上昇で8月の2.29%から加速している。
9月のPPI(生産者物価指数)の上昇率は前月比4.78%で8月の2.41%から伸びが加速、前年同月比は151.50%で8月の143.75%を大幅に上回った。項目別ではエネルギーが前年比347.35%。電気・ガス・スチームが416.58%と突出している。
9月3日の8月トルコCPIが80%を超えた後、エルドアン大統領は9月20日に「来年からインフレ問題を克服してトルコ経済は前進する」「インフレ率は年末には低下し始め、来年2月から3月までには適切なレベルまで低下する」として利下げを促し、9月22日にトルコ中銀は2会合連続利下げを決定した後の9月28日には「年末までに政策金利を一桁にすべき」とし、9月29日には「トルコ中銀に対して次回の金融政策委員会で追加利下げすべきとのアドバイスを行った」と述べている。
9月のトルコPPIが一段と伸びていることを踏まえればCPIの上昇もまだピークに近いとは言い難く、エルドアン大統領の思惑通りに年末へのインフレ率の低下する可能性はまだ低い印象だ。それでも3会合連続ないし4会合連続での利下げが続く可能性が高い。既に1ドル18.50リラ台まで下落しているところから1ドル19.00リラ台から1ドル20.00リラを目指す可能性も現実味のあるところと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月29日未明安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして10月1日未明から5日未明にかけての間への上昇を想定してきた。
10月3日午前時点では7.79円割れからは弱気サイクル入りとしたが、3日深夜への下落時に7.77円まで下げたため、10月1日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は10月3日夜から6日未明にかけての間と想定されるのですでに10月3日深夜安値でボトムを付けた可能性があるため、10月1日早朝高値を超えないうちは一段安余地ありとするが、10月1日早朝高値超えからは強気サイクル入りとして6日早朝から10日朝にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では7.80円を挟んだ騰落が繰り返されているので方向感にかけるが、先行スパンを上回るうちは上昇余地ありとみて遅行スパン好転中の高値試しとし、先行スパンからの転落が続く場合は一段安余地ありとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は10月3日深夜の下落時に30ポイントまで下げてから50ポイント超えへ戻しているので上昇再開に入っている可能性がある。45ポイント以上での推移中は60ポイント台を目指す流れとし、45ポイント割れからは下げ再開を疑う。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.78円を下値支持線、7.84円を上値抵抗線とする。
(2)7.80円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.84円超えからは7.87円前後への上昇を想定する。7.87円以上は反落注意とするが、円安が勢い付く場合は7.90円に迫る可能性もあるとみる。また7.82円以上での推移なら5日午前にかけても高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.78円割れからは7.75円前後への下落を想定する。7.75円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は7.73円前後へ下値目途を引き下げ、7.79円以下での推移が続く場合は5日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
10月6日
20:30 週次 外貨準備高 9/30時点 グロス (9/23時点 713.4億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9/30時点 ネット (9/23時点 96.7億ドル)
10月7日
23:30 9月 財務省現金残 (8月 287億リラ)
10月10日
16:00 8月 失業率 (7月 10.1%)
10月11日
16:00 8月 経常収支 (7月 -40.1億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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