対ドルでの史上最安値更新とドル円の反落で失速
〇トルコリラ円、28日早朝に7.87まで戻すもドル円の反落に合わせ7.76まで反落
〇対ドルではリラ安基調変わらず、28日は18.55へ史上最安値を更新
〇10/3にトルコ9月消費者物価上昇率等発表、8月の80.21%から84.63%へさらに加速する予想
〇ドル円の上昇が鈍くドル高リラ安が加速する場合は7.76割れから7.70台序盤への下落を想定
〇ドル円の反騰継続でドル高リラ安が一服の場合は上昇再開と仮定し7.85から7.88への上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の9月28日は7.86円から7.76円の取引レンジ、29日早朝の終値は7.79円で前日終値の7.83円からは0.04円の円高リラ安だった。
ドル高リラ安の進行で連日にわたって対ドルでの史上最安値更新が続いているが、ドル円の動きが勝る中でトルコリラ円はドル円の騰落に合わせた動きを優先しており、9月22日の日銀市場介入によるドル円の暴落とその後の反騰に合わせて9月22日夜安値7.65円からのリバウンドを継続して28日早朝には7.87円まで戻してきた。しかしドル円は145円手前での新たな市場介入への警戒感から伸び悩み、英中銀による英国債暴落阻止のためのQE再開報道から米長期債利回りが急低下したために29日未明には一時144円を割り込むところまで反落し、トルコリラ円も7.76円まで反落した。ドルトルコリラで1ドル18.55リラまで最安値を更新したことも重なったためにドル円の下落よりも大きな下げ方となっている。
9月29日午前序盤はドル円が144円台前半へ回復してきたことに合わせて7.80円台回復を試す動きが見られるが勢いはまだ鈍い。
【対ドルでは18.55リラへ史上最安値を更新】
ドル/トルコリラの9月28日は18.55リラからリ18.41ラの取引レンジ、29日早朝の終値は18.50リラで前日終値の18.43リラからは0.07リラのドル高リラ安だった。
9月27日は18.52リラへ史上最安値を更新したところからいったんリラ買い戻しの動きとなって18.42リラまで反発したが、リラ安基調は変わらずに28日は安値で18.55リラへ史上最安値を更新した。
28日夜は英中銀によるQE再開発表をきっかけにリスク選好感が回復して米長期債利回りが低下、ドルストレートではユーロやポンド、豪ドルや南アランド等が反騰してドル安反応となったものの、トルコリラは9月22日の2会合連続利下げ強行によりリラ安が徐々に加速してきている状況にあるためにリラ買い反応は限られて夜には18.55リラへと最安値を更新している。
【10月3日のトルコ9月CPIは前年比84.63%の予想に】
10月3日にはトルコの9月消費者物価上昇率等の発表がある。事前予想では消費者物価上昇率については8月の80.21%から84.63%へさらに加速する予想となり、前月比も8月の1.46%へ鈍化したところから再び伸びが加速して3.8%上昇と予想されている。前月比の予想レンジは3.1%から4.1%、前年比の予想レンジは83.50%から85.35%となっている。
日銀が9月22日に円買い介入としては24年ぶりとなる市場介入を実施、9月28日には英国債暴落に対抗して英中銀がQE再開を発表した。これまでは米FRBを先導役として主要国がインフレ対策を最重要課題に利上げと金融引き締め強化を繰り返してきたことで為替市場ではドル全面高となり、ドル円が24年ぶり、ユーロドルが20年ぶり、英ポンドが1985年以来の安値へと下落、人民元も2011年以来の最安値を更新、豪ドルや南アランドも昨年来最安値を更新してきた。しかし円安やポンド安に対しての静観姿勢を維持できずに単独介入やQE再開等を打ち出したこと、中国人民銀行が景気対策と共に元安阻止への規制強化や利下げを行ったことなど、主要国の静観姿勢も崩れてきているという印象がある。
こうしたことは世界の主流的な流れに逆らって利下げ政策を強行してきたトルコ中銀及びエルドアン政権にとってはさらに利下げを決断しやすい環境かもしれない。しかし、日本や英国及び中国のインフレレベルはトルコと比較すればはるかに低く、消費者物価上昇率が80%を超えているトルコとは事情が異なる。トルコ中銀が10月においても3会合連続利下げをする可能性も消せず、1ドル18.50リラを超えた現状からさらに19.00リラや20.00リラへと史上最安値水準を試してゆく可能性の方が高いとの市場心理がリラ安を徐々に加速させていると考えるべきだろう。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月22日の日銀介入によるドル円急落と同調した大幅下落が一巡してリバウンドに入ったため、9月22日夕高値を前回のサイクルトップ、22日夜安値を同サイクルボトムとした強気サイクルの上昇期とし、高値形成期を27日夜から29日夜にかけての間と想定してきた。9月28日午前時点では27日夕安値を割り込むところからは弱気サイクル入りとしたが、29日未明への下落で27日夕安値を割り込んだため、28日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は27日夜から29日夜にかけての間と想定されるのですでに反騰注意期にあるとみて、7.82円を下回るうちは一段安余地ありとするが、7.82円超えからは強気サイクル入りとして10月1日未明から5日未明にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では9月28日夜の下落で先行スパンから転落したため、遅行スパンの悪化中は戻り売り有利とみるが、遅行スパン好転からは上昇再開とみて高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は9月29日未明への下落で30ポイントを割り込んだがその後の反発で40ポイント台を回復している。50ポイント以下での推移中は一段安警戒とするが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる場合は強気逆行とし、50ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイントへ迫る流れと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.76円を下値支持線、7.82円を上値抵抗線とする。
(2)7.82円以下での推移中は7.76円割れから7.70円台序盤(7.73円から7.70円)への下落を想定する。ドル円の上昇が鈍くドル高リラ安が加速する場合はこのケースとし、7.76円を割り込んでの推移なら30日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.82円超えからは上昇再開と仮定して7.85円から7.88円への上昇を想定する。ドル円の反騰継続でドル高リラ安が一服の場合はこのケースとし、7.82円を超えた水準を維持するなら30日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月29日
16:00 9月 経済信頼感指数 (8月 94.3)
20:30 週次 外貨準備高 9/23時点 グロス (9/16時点 748.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9/23時点 ネット (9/16時点 120.9億ドル)
9月30日
16:00 8月 貿易収支 (7月 -106.9億ドル)
10月3日
16:00 9月 CPI 前月比 (8月 1.46%、予想 3.80%)
16:00 9月 CPI 前年同月比 (8月 80.21%、予想 84.63%)
16:00 9月 コアCPI 前月比 (8月 3.1%)
16:00 9月 コアCPI 前年同月比 (8月 66.1%)
16:00 9月 PPI 前月比 (8月 2.41%)
16:00 9月 PPI 前年同月比 (8月 143.75%)
注:ポイント要約は編集部
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