ドル円、介入警戒感と米金利急低下の組み合せで高値圏から急反落(9/29朝)

28日(水)のドル円相場は高値圏から急反落。

ドル円、介入警戒感と米金利急低下の組み合せで高値圏から急反落(9/29朝)

ドル円、介入警戒感と米金利急低下の組み合せで高値圏から急反落

〇ドル円、英中銀の長期国債無制限買入サプライズ等に米国時間午後にかけ143.91まで下落
〇ユーロドル、欧州時間の安値0.9538から米国時間午後にかけ0.9751まで急上昇、
〇ラガルド総裁等ECB関係者のタカ派発言、上記英中銀のサプライズ介入が背景
〇ドル円145円台での介入警戒感強く、上値重い
〇引き続き、短期的なドル円下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:142.75ー145.00

海外時間のレビュー

28日(水)のドル円相場は高値圏から急反落。@日米金融政策の方向性の違い(米長期金利急上昇→日米金利差急拡大→ドル高・円安)が支援材料となる中、アジア時間朝方にかけて、高値144.87まで上昇しました。しかし、前日高値144.91をバックに伸び悩むと、A政府・日銀による追加円買い介入への警戒感(145.00到達後に政府・日銀が円買い介入を決断するのではないかとの思惑)や、B上記Aを背景とした短期筋のポジション調整(心理的節目145.00をバックにロングポジションを手仕舞う動き)、C英中銀(BOE)による市場安定化を目的とした長期国債の買入れ再開サプライズ、D上記Cを背景とした世界的な長期金利低下(英国債利回りの低下に連れて、米10年債利回りは2010年4月以来となる4.01%から3.70%へ急低下)、E資産現金化需要のドル買い圧力の後退(米金利低下を受けてリスクアセットが反発→リスク回避のドル買い後退)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値143.91まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/29午前5時00分現在)では、144.12前後で推移しております。

28日(水)のユーロドル相場は安値圏から急上昇。@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まりや、A北大西洋条約機構ストルテンベルグ事務総長による「ノルドストリーム1」および「ノルドストリーム2」で見つかったガス漏れはロシアによる破壊行為が原因とのネガティブ発言、B上記Aを背景としたオランダTTF天然ガス先物価格の急上昇、C米金利上昇に伴うドル買い圧力、D世界的なリスクオフ再開(資産現金化需要のドル買い圧力)が重石となり、欧州時間朝方にかけて、2002年6月以来、約20年3ヵ月ぶり安値となる0.9538まで急落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、EラガルドECB総裁による「インフレ期待を抑制できない状況を許さないという強いシグナルを出す必要がある」「今後数カ月は利上げを継続するだろう」とのタカ派的な発言や、FレーンECB専務理事兼チーフ・エコノミストによる「ECBは10月会合で0.50%か0.75%の利上げを実施する可能性」とのタカ派的な発言、G英中銀による金融緩和の再開サプライズ、H上記Gを背景とした世界的な長期金利低下(英高債利回り急低下→米国債利回り急低下→米ドル急落)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値0.9751まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/29午前5時00分現在)では、0.9730前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円はついに高値圏から急落する動きとなりました。@介入警戒感を背景に心理的節目145.00到達に失敗したこと(上値の重さを嫌気したロング勢の見切り売り)や、A英中銀による金融緩和再開サプライズとそれに伴う世界的な長期金利急低下、B上記Aを背景としたリスク回避ムード後退(資産現金化需要のドル買い後退)が、ドル円急落の背景と考えられます。特に上記@の影響は極めて大きく、米10年債利回りが4.01%に到達した際にも、ドル円は介入警戒感から145円すら到達できない状況が続きました(先週9/22の円買い為替介入時に145.90から140.35まで5.55円の値幅で押し下げられた悪夢がよぎるため、145円付近ではドル円ロングを持ちづらい)。

また、最近は日本以外にも通貨安牽制に踏み切る国(英国や中国や韓国など)が増えているため、先週までのような円独歩安の展開も見込みづらく、円ショートのアンワインドが出易い構造に変化しつつあります。仮に米長期金利が再び上昇に転じて、リスクオフが再開したとしても、ドル円相場の上値余地は限定的となりそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、短期的なドル円下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米4ー6月期GDP確報値や、米新規失業保険申請件数、セントルイス連銀ブラード総裁講演、クリーブランド連銀メスター総裁発言、サンフランシスコ連銀デーリー総裁講演などに注目が集まります。米経済指標が冴えない結果となる場合や、米当局者より最近の金利上昇をけん制する発言が見られる場合などには、米金利低下→米ドル売りの流れと、リスクアセット上昇→資産現金化需要のドル買い後退の流れが組み合わせさることから、ドル円にはもう一段強い下押し圧力が加わるシナリオが想定されます。本日は一日を通してドル円の下落リスクに警戒が必要でしょう(ドル円ロング勢のロスカット誘発に要警戒)。

本日の予想レンジ:142.75ー145.00

ドル円、介入警戒感と米金利急低下の組み合せで高値圏から急反落

ドル円日足



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