トルコリラ円見通し 対ドルでの史上最安値続くが足元はドル円の上昇に合わせた動き(22/9/28)

トルコリラ円の9月27日は7.87円から7.80円の取引レンジ、28日早朝の終値は7.83円で前日と変わらずだった。

トルコリラ円見通し 対ドルでの史上最安値続くが足元はドル円の上昇に合わせた動き(22/9/28)

対ドルでの史上最安値続くが足元はドル円の上昇に合わせた動き

〇トルコリラ円、ドル円の暴落と反騰に同調、27日安値7.80つけるが、28日早朝7.87まで高値切り上げ
〇対ドル18.50到達し史上最安値更新、高インフレ下での利下げ姿勢、1ドル19、20リラ目指す可能性も
〇メジャー通貨は総じて歴史的下落状態、新興国通貨リラへの売り圧力強まる
〇7.80以上での推移中は上昇余地ありとし、7.87超えからは7.90前後への上昇を想定する
〇7.80割れからは7.75前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の9月27日は7.87円から7.80円の取引レンジ、28日早朝の終値は7.83円で前日と変わらずだった。
ドル/トルコリラは一時1ドル18.52リラへ下落して史上最安値を更新したが、足元の動きはドル円の動きに合わせており、ドル円が9月22日の日銀介入による暴落に対してその8割強を戻してきた流れを継続したため、27日のトルコリラ円も未明高値で7.85円をつけてから夕刻安値7.80円までいったん下げたところから切り返して28日早朝には7.87円まで高値を切り上げている。27日早朝の上昇ではドルトルコリラが18.52リラまで下落したところからいったん戻したことも寄与している。
ドル円は9月22日の市場介入に先立つ9月14日に145円へ迫ったところで日銀がレートチェックを入れており、今回も同様の動きを見せて第二弾の市場介入をちらつかせるのか、間髪入れずに第二弾の市場介入に踏み切るのか、口先の牽制にとどめるのかにより、政府・日銀の市場介入による円安阻止の決意が試されるところだ。9月22日の介入時には米国が理解を示したが、第二弾の介入が行われる場合の米国の対応も気になるところだ。

【対ドルでは18.50リラ台に到達、史上最安値更新続く】

ドル/トルコリラの9月27日は18.52リラから18.41リラの取引レンジ、28日早朝の終値は18.43リラで前日終値と変わらずだった。
8月18日にトルコ中銀が政策金利を14.0%から13.0%へと予想外に利下げしたことから1ドル18リラの壁を超えてリラ安が進行してきたが、9月22日夜にトルコ中銀が2会合連続の利下げを決定したことから18.39リラをつけて昨年12月20日の18.36リラを超えて取引時間中の史上最安値を更新、23日に18.42リラへ、26日も18.48リラへと連日の史上最安値更新となっていたが、27日は夕刻に18.50リラに到達し、28日未明には18.52リラへ最安値をさらに更新した。18.50リラを超えたことでの売られ過ぎ警戒感もあって28日早朝にかけてはリラの買い戻しとなり日足の終値では前日比は変わらずとなったが、28日朝に18.40リラ弱まで戻したところから再びリラ売り再開の気配となっている。
エルドアン政権とその意を汲んだトルコ中銀による高インフレ下での利下げ政策がさらに続く可能性もあるとみて1ドル19リラや1ドル20リラを目指す可能性もあるとの声も聞かれ始めている。

【ドル全面高基調は継続、新興国通貨への売り圧力強まる】

為替市場では9月26日朝に英ポンドが1ポンド1.0382ドルの安値をつけて2020年3月のパンデミック発生でつけた1.1404ドルを割り込み2008年11月天井の2.1161ドル以降の最安値を更新した。英新政権による大規模減税政策発表での財政悪化懸念をきっかけとした急落だったが、英中銀による緊急利上げの可能性も警戒されてその後は暴落一服となっている。しかし9月27日には豪ドル米ドルやNZドル米ドルが昨年来最安値を更新しており、ポンドの反発につられたユーロドルも戻り高値を切り下げるなど中長期的なドル高基調は変わらないと思われる。
英中銀はポンド暴落に対して必要なら適切な対応をとるとしているものの緊急利上げは見られず、市場は英国の外貨準備高の脆弱性も踏まえて日銀のような市場介入には向かわないだろうとみており、かつてのようなポンド危機型の下落へと発展しかねないところだ。

ドル/人民元でのドル高元安も勢いを増している。9月27日には1ドル7.1771元の安値をつけて2019年9月以来の安値となっているが、ゼロコロナ政策にこだわってきたことによる景気後退感、中国から他の東南アジアへの生産物流のシフト等により中国景気拡大が一巡したとの見方も出ている。
メジャー通貨の加重平均であるドル指数は9月26日に114.58をつけて2002年5月以来の高水準に達しており、円安のみならずユーロもポンドも豪ドルも人民元も総じて歴史的な下落状態にある。ドル圏からの海外投資マネーが金融引き締めによる逆流を強めれば弱い環から崩れるものであり、メジャー通貨が軒並み崩れる中でトルコリラの史上最安値更新もさらにエスカレートしやすい状況にあると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月22日の日銀介入によるドル円急落と同調した大幅下落が一巡してリバウンドに入ったため、9月22日夕高値を前回のサイクルトップ、22日夜安値を同サイクルボトムとした強気サイクルの上昇期とし、高値形成期を27日夜から29日夜にかけての間と想定した。27日夕刻へ小反落してから一段高しているためまだ上昇継続中とみるが、27日夕安値を割り込むところからは弱気サイクル入りとして28日の日中から29日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月22日夜からの反騰継続により遅行スパンと先行スパンが共に好転を維持しているが、高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすいと注意する。7.80円以上での推移中は遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、7.80円割れからは下落期に入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンから転落の場合は下げ足が早まる可能性もあると警戒する。

60分足の相対力指数は9月28日未明への上昇で70ポイントに迫ってから反落したが50ポイント以上での推移中はまだ上昇余地ありとみる。28日未明高値を超える際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は下落期入り注意とし、50ポイント割れからは30ポイント台への低下へ進むとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.80円を下値支持線、7.87円を上値抵抗線とする。
(2)7.80円以上での推移中は上昇余地ありとし、7.87円超えからは7.90円前後への上昇を想定する。7.90円以上は反落警戒とするが、7.83円以上での推移なら29日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.80円割れからは7.75円前後への下落を想定する。7.75円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、7.80円を割り込んでの推移なら29日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月29日
 16:00 9月 経済信頼感指数 (8月 94.3)
 20:30 週次 外貨準備高 9/23時点 グロス (9/16時点 748.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9/23時点 ネット (9/16時点 120.9億ドル)
9月30日
 16:00 8月 貿易収支 (7月 -106.9億ドル)
10月3日
 16:00 9月 CPI 前月比 (8月 1.46%)
 16:00 9月 CPI 前年同月比 (8月 80.21%)
 16:00 9月 PPI 前月比 (8月 2.41%)
 16:00 9月 PPI 前年同月比 (8月 143.75%)

注:ポイント要約は編集部

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