トルコリラ円見通し 対ドルでの史上最安値更新続くが目先はドル円の反騰に同調(22/9/27)

トルコリラ円の9月26日は7.85円から7.77円の取引レンジ、27日早朝の終値は7.83円で前週末終値7.78円からは0.05円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 対ドルでの史上最安値更新続くが目先はドル円の反騰に同調(22/9/27)

トルコリラ円見通し 対ドルでの史上最安値更新続くが目先はドル円の反騰に同調

〇トルコリラ円、ドル円のリバウンドに合わせて7.80を超える、9/27午前序盤は7.80台維持を試す
〇対ドル、中銀の利下げの影響から9/26夕刻に18.48へ最安値を更新、連日の史上最安値更新
〇昨日発表のトルコ9月製造業信頼感指数は5か月連続の低下、足元の景況感は徐々に悪化か
〇エルドアン大統領、今後も利下げを追及する可能性を示唆、3会合連続の利下げの可能性も
〇7.80以上での推移中は上昇余地ありとし、7.85超えからは7.88前後への上昇を想定する
〇7.78割れからは戻り一巡による下落期入りとみて、7.75前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の9月26日は7.85円から7.77円の取引レンジ、27日早朝の終値は7.83円で前週末終値7.78円からは0.05円の円安リラ高だった。
9月22日夜のトルコ中銀による2会合連続利下げからドル/トルコリラでは昨年12月の18.36リラを超えて18.40リラ台へと史上最安値を更新しているが、足元の変動率としては9月22日夕刻の日銀市場介入によるドル円の急落とその後のリバウンドが勝っており、トルコリラ円はドル高リラ安に圧迫されてドル円程には戻せていないもののドル円のリバウンドに合わせて戻り高値を切り上げており、日銀介入による急落時の半値戻しラインである7.80円を超えた。

9月27日午前序盤は144円台後半まで高値を切り上げてきたドル円がレートチェックや介入第二弾への警戒感から144円台前半へ下げており、トルコリラ円も失速気味で7.80円台を維持できるか試している。
ドル円は9月14日に144.95円をつけたところでレートチェックが入り、9月22日にその水準を超えて145円台後半へ急伸したために1日の円買い介入規模としては過去最大の3兆円規模での介入が実施された経緯のため、145円に迫るところでは高値警戒感もありリバウンドによる大幅な切り返しへの利益確定売りも出やすいところだ。

【対ドルでは連日の史上最安値更新】

ドル/トルコリラの9月26日は18.48リラから18.40リラの取引レンジ、27日早朝の終値は18.43リラで先週末終値の18.41リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
9月22日夜にトルコ中銀が予想外に2会合連続利下げに踏み切ったことから昨年12月20日につけたそれまでの史上最安値18.36リラを超えて18.39リラをつけ、23日には18.42リラへと最安値を更新していた。週明けの26日も夕刻に18.48リラへ最安値を更新した。
9月26日午前にはポンドが史上最安値更新へ急落、その後に急反騰したことでドル高に一服感が出たものの、豪ドル米ドルは27日未明にかけて続落するなど資源通貨や新興国通貨におけるドル高基調に大きな変化はなく、トルコリラもポンド等の動きには左右されずに下落基調を継続している。

【トルコの製造業信頼感、5か月連続の低下】

9月26日夕刻に発表されたトルコの9月製造業信頼感指数は99.9となり8月の102.1から低下した。2021年7月の114.8を直近のピークとして低下基調にあり、今年4月からは5か月連続低下となり、2020年6月につけた92.6以来2年ぶりの100ポイント割れとなった。

トルコリラ円見通し 対ドルでの史上最安値更新続くが目先はドル円の反騰に同調

エルドアン政権はリラ安による輸出促進や金利引き下げによる融資の活発化等を掲げているものの、実態は大統領の希望通りには進んでいないようで、外貨保有規制や融資利率規制等によって融資が滞りサプライチェーン混乱の継続と主要国の金融引き締めによる景気鈍化の影響で足元の景況感は徐々に悪化していると思われる。

【エルドアン政権の利上げ拒否姿勢踏まえ、3会合連続の利下げの可能性も】

トルコ中銀は9月22日に政策金利を1.0%引き下げて12.0%とした。市場の事前予想は13.0%での据え置きだったが一部では12.0%へ利下げされる可能性も指摘されていた。8月18日会合においても市場予想は14.0%の現状維持で一致していたところを予想外に1.0%の利下げが決定され、8月22日にはエルドアン大統領が「利上げの必要はない」と強調した発言を行ったことで、あるいは利下げの可能性もあると市場は警戒していた。
今回の利下げ後となる9月25日にもエルドアン大統領は「低金利による融資で投資が拡大し、雇用・生産・輸出を拡大する」ことをトルコの新経済モデルとし、「何年にもわたってトルコに押し付けられてきた金利、インフレ、為替レートのバランス理論はいかなる問題にも解決策を提供しない」と述べて今後も利下げを追及する可能性を示唆している。昨年12月に史上最安値更新へと暴落した時は9月から12月まで4会合連続の利下げを行っているが、仮に10月3日に発表予定のトルコ9月CPIでの伸びが多少でも鈍化するようだと3会合連続の利下げへ向かう可能性も出てくるのではないかと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月22日の日銀介入によるドル円急落と同調した大幅下落が一巡してリバウンドを継続しているところのため、22日夕高値を前回のサイクルトップ、22日夜安値を同サイクルボトムとした強気サイクルの上昇期にあると思われる。高値形成期は27日夜から29日夜にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとみるが、介入後の急激な変動のため7.80円割れからは弱気転換注意とし、7.78円割れからは弱気サイクル入りとして27日夜から29日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月22日夜からの反騰継続により遅行スパンと先行スパンが共に好転しているが、高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすいと注意し、遅行スパン悪化からは安値試し優先とする。先行スパンから転落の場合は下げ足が早まる可能性もあると警戒する。

60分足の相対力指数は9月26日から27日未明への高値更新に際して指数のピークがほぼフラットで弱気逆行気配となっている。50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、50ポイント割れから続落に入る場合はリバウンド一巡による下落期入りとみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.80円を下値支持線、7.85円を上値抵抗線とする。
(2)7.80円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、7.85円超えからは7.88円前後への上昇を想定する。7.88円以上は反落警戒とするが、7.80円台を維持しての推移なら28日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)7.80円割れを弱気転換注意とし、7.78円割れからは戻り一巡による下落期入りとみて7.75円前後への下落を想定する。7.75円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、7.78円を割り込んでの推移なら28日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月29日
 16:00 9月 経済信頼感指数 (8月 94.3)
 20:30 週次 外貨準備高 9/23時点 グロス (9/16時点 748.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 9/23時点 ネット (9/16時点 120.9億ドル)
9月30日
 16:00 8月 貿易収支 (7月 -106.9億ドル)
10月3日
 16:00 9月 CPI 前月比 (8月 1.46%)
 16:00 9月 CPI 前年同月比 (8月 80.21%)
 16:00 9月 PPI 前月比 (8月 2.41%)
 16:00 9月 PPI 前年同月比 (8月 143.75%)


注:ポイント要約は編集部

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