9月29日未明から戻すがエルドアン大統領の連続利下げ催促で上値重い
〇トルコリラ円、9/29未明7.76まで下げたが、夕刻にかけてドル円が戻した局面で7.80台回復
〇夜には対ドルでいったんリラ買い戻し優勢となったため、9/30未明7.82まで戻り高値を切り上げる
〇対ドル、9/29は一時18.42まで戻す、リラの買い戻し一巡した後は再び18.50へと下落
〇エルドアン大統領、トルコ中銀に利下げ継続提言との報道、10月MPCで3会合連続利下げの可能性高まる
〇7.80以上での推移中は上昇余地ありとして、7.85前後への上昇を想定する
〇7.78割れからは下向きとし、7.76割れからは7.73前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の9月29日は7.82円から7.78円の取引レンジ、30日早朝の終値は7.81円で前日終値の7.79円からは0.02円の円安リラ高だった。
ドル円の騰落を見ながらの展開が続いており、ドル円が28日未明高値で戻り一巡となり29日未明に一時144円を割り込んだところでトルコリラ円も7.76円まで下げたが、29日は夕刻にかけてドル円が戻した局面で7.80円台を回復、29日夜にユーロやポンド、人民元等の反騰継続でドル高が緩んだために対ドルでもいったんリラ買い戻しが優勢となったために30日未明には7.82円まで戻り高値を切り上げた。
しかし対ドルでのリラ買い戻しは長続きせず、エルドアン大統領による利下げ継続要求発言もありドル高リラ安基調は変わらず、ドル円が145円手前で頭打ちの状況が続いているためにトルコリラ円も7.82円前後では上値が重くなっている印象だ。
【ドル高緩むも史上最安値近辺の推移】
ドル/トルコリラの9月29日は18.55リラから18.42リラの取引レンジ、30日早朝の終値は18.50リラで前日終値と変わらずだった。
9月22日のトルコ中銀による2会合連続利下げをきっかけに昨年12月20日につけたこれまでの史上最安値18.36リラを超え、9月28日には18.55リラへと史上最安値更新したが、29日は新たな安値更新へは進めず、ユーロやポンド及び人民元が反騰入りする中で一時は18.42リラまで戻した。しかしエルドアン大統領がトルコ中銀は次回会合でも利下げをすべきと提言したとの報道等もありリラの買い戻しが一巡した後は再び18.50リラへと下落した。
【エルドアン大統領、トルコ中銀に利下げ継続を提言】
エルドアン大統領は9月29日、トルコ中銀に対して次回の金融政策委員会で追加利下げすべきとのアドバイスを行ったと報じられた。大統領は28日にも年末までに政策金利は一桁にすべきとの発言を行っており、政権に対する独立性の薄いトルコ中銀は10月20日に予定されている次回MPC(金融政策委員会)において3会合連続での利下げを決定する可能性が高まった。
大統領は「私の最大の闘争対象は金利だ」とし、「政策金利は12%まで下がったもののそれで十分か?、十分ではない、さらに引き下げが必要だ」と述べたという。
トルコ中銀は昨年9月から12月にかけて政策金利を19%から14%まで4会合連続で引き下げており、今年も8月と9月の2会合連続での利下げを決定しているが、10月、11月、12月と残り3会合での利下げを行い一桁へと引き下げてゆく可能性も現実味が出てきている印象だ。
【外貨準備高は減少】
9月29日夜に発表された週次の外貨準備高は9月23日時点のグロスで713.4億ドルとなり前週の748.2億ドルから減少した。ネットでは96.7億ドルとなり前週の120.9億ドルから大幅に減少した。
ネットの外貨準備高は7月に60.7億ドルまで急減したところから8月には156.8億ドルまで回復していたが、リラ安進行に対する市場介入等により大幅減少に入っている印象だ。
トルコ中銀及び財務省は公式に市場介入を行ったことをめったに表明せず、通貨スワップ市場でのドル売りリラ買いによって間接的な介入を繰り返している。現状のスワップ取引残は445.8億ドル規模とされ、外貨準備高はすでに実質的に大幅な過少状態に陥っているのではないかとの見方もされている。
9月のトルコ経済信頼感指数は94.3で8月と変わらずだった。今年2月に100を割り込んでからは90ポイント台での低水準な推移が続いている。
今夕には8月のトルコ貿易収支、10月3日には9月のトルコCPI発表と続く。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月22日の日銀介入の影響による急落一巡からリバウンドに入ったため、9月22日夕高値を前回のサイクルトップ、22日夜安値を同サイクルボトムとした強気サイクル入りとして高値形成期を27日夜から29日夜にかけての間と想定してきたが、29日未明への下落で27日夕安値を割り込んだために29日午前時点では28日未明高値を直近のサイクルトップとした。またボトム形成期は27日夜から29日夜にかけての間と想定されるのですでに反騰注意期にあるとし、7.82円超えからは強気サイクル入りとした。
9月29日夜の上昇で7.82円に達しているので29日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして10月1日未明から5日未明にかけての間への上昇を想定する。ただし、9月29日未明安値を割り込む場合は底割れによる新たな弱気サイクル入りとして10月3日深夜から6日未明にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では9月29日未明安値からの上昇を続けて遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いてきたので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開の可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は9月29日未明に30ポイントを割り込んだところからの反騰を続けているので50ポイント以上での推移中は上昇継続とみるが、相場が高値を切り上げる際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られる場合は反落警戒とし、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台前半への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.78円を下値支持線、7.85円を上値抵抗線とする。
(2)7.80円以上での推移中は上昇余地ありとして7.85円前後への上昇を想定する。7.85円以上は反落注意とするが、円安が勢い付く場合は7.87円前後へ上値目途を引き上げる。また7.82円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.78円割れからは下向きとし、7.76円割れからは7.73円前後への下落を想定する。7.73円以下は反騰注意とするが、7.78円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月30日
16:00 8月 貿易収支 (7月 -106.9億ドル)
10月3日
16:00 9月 CPI 前月比 (8月 1.46%、予想 3.80%)
16:00 9月 CPI 前年同月比 (8月 80.21%、予想 84.63%)
16:00 9月 コアCPI 前月比 (8月 3.1%)
16:00 9月 コアCPI 前年同月比 (8月 66.1%)
16:00 9月 PPI 前月比 (8月 2.41%)
16:00 9月 PPI 前年同月比 (8月 143.75%)
10月6日
20:30 週次 外貨準備高 9/30時点 グロス (9/23時点 713.4億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9/30時点 ネット (9/23時点 96.7億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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