南アランド週報：『南ア中銀の大幅利上げで急伸するも円買い介入に押されて急反落』（9/24朝）

〇今週の南ア円、中銀による75bpの利上げ決定等に週後半にかけ8.24まで上昇
〇その後日銀円買い介入、世界的リスクオフの流れの中週末にかけ7.96まで急落
〇南ア円、主要サポートライン下抜けテクニカルの地合い悪化、来週以降さらに悪化の兆候も
〇ファンダメンタルズも南アランド円相場の続落を連想させる材料揃う
〇引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ（ZARJPY）：7.75ー8.15

今週のレビュー（9/19−9/23）

今週の南アフリカランド円（ZARJPY）相場は、週初8.11円で寄り付いた後、�@プラチナ価格の堅調推移（南アフリカの交易条件改善期待）や、�A南ア7月景気先行指数（結果126.2、前回125.2）の良好な結果、�B南ア8月消費者物価指数（結果＋7.6％、予想＋7.6％、前回＋7.8％、※前年比）および、�C南ア8月消費者物価コア指数（結果＋4.4％、予想＋4.6％、前回＋4.6％、※前年比）の伸び率鈍化、�D上記�B�Cを背景とした南アフリカのインフレピークアウト期待、�E日銀による金融緩和の現状維持決定や、�F黒田日銀総裁によるハト派的な発言、�G上記�E�Fを背景とした円独歩安の流れ（政策変更を見込んでいた海外勢を中心に円ロングの巻き戻しが発生）、�H南ア中銀による75bpの利上げ決定（委員5人のうち、3人が75bpの利上げを支持、残り2人が100bpの利上げを支持→市場ではややタカ派的と捉えられ南アランド買いで反応）、

�I上記�E�Hを背景とした日本と南アフリカの金融政策格差が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値8.24円（9/14以来の高値圏）まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、�J日本政府・日銀による24年ぶりとなるサプライズ的な円買い為替介入（ドル円相場が5円超の暴落→南アランド円連れ安）や、�K世界的なリスクオフ再開（南ア株および金・プラチナ価格が急落）が重石となり、週末にかけて、週間安値7.96円（8/5以来の安値圏）まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点（日本時間9/24午前4時55分現在）では、7.98円前後で推移しております。

来週の見通し（9/26−9/30）

南アランドの対円相場（ZARJPY）は、週後半以降に8.24円から7.96円まで急落する荒々しい値動きとなりました。この間、主要サポートポイント（一目均衡表転換線や基準線、90日移動平均線や21日移動平均線）を軒並み下抜けした他、最後の砦として意識されていた一目均衡表雲下限も下方ブレイクするなど、テクニカル的に見て、地合いの「悪化」を印象付けるチャート形状となりつつあります。現在の相場水準を維持することが出来れば、来週早々にも強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転が成立するため、目先は地合いの更なる悪化に警戒が必要でしょう。また、ファンダメンタルズ的に見ても、�@米FRBによるタカ派傾斜観測（ドットチャートが予想以上にタカ派的となったため、次回11月FOMCでの75bp追加利上げや、12月FOMCでの50bp利上げが織り込まれる状態）や、�A上記�@を背景とした南アフリカから米国への資本流出懸念、�B南アフリカ経済の先行き不透明感、�C南アフリカの交易条件悪化懸念（金・プラチナ価格の冴えない動き）、

�D南アフリカで広がる電力不足問題（国営電力会社エスコムは9/18に最も深刻な計画停電を実施）、�E南アフリカと経済的な結びつきの強い中国のリセッション懸念など、南アランド円相場の続落を連想させる材料が揃っています。また、これまで南アフリカの対円相場を支えてきた円独歩安の流れも日本政府・日銀による為替介入を通じて風向きが変わる可能性があるため、目先は上記南アフリカのファンダメンタルズに起因した南アランド売り圧力と、追加為替介入への警戒感を背景とした円買い圧力の組み合わせで南アランド円相場に強い下押し圧力が加わるものと考えられます。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします（目先は8/2に記録した直近安値7.86円を試すシナリオを想定）。尚、来週は9/29に予定されている南ア8月生産者物価指数や、9/30に予定されている中国9月製造業PMI、南ア8月貿易収支などに注目が集まります。

来週の予想レンジ（ZARJPY）：7.75ー8.15

注：ポイント要約は編集部