FOMCから乱高下、円安が支えだがドル高リラ安進行で上値重い
〇昨日のトルコリラ円、ドル円の流れを見て7.89まで上昇、反落したものの早々に切り返し7.86へ戻す
〇22日午前序盤はドル円もトルコリラ円も戻り一服で小康状態、日銀金融政策発表と黒田総裁会見待ち
〇ドル円が145円を超える円安加速ならトルコリラ円も同調し高値追及へ進みやすい
〇ドル/トルコリラは18.34から18.30の取引レンジ、昨年12月20日の史上最安値18.36へ徐々に迫る
〇今晩のトルコ中銀MPC、予想外に連続利下げを決定する場合にはリラ売りが勢い付く可能性も
〇7.93以上は反落警戒だが円安の加速などにより勢い付く場合は7.95試しへ上値目途引き上げ
〇7.82割れからは7.70台後半への下落を想定、7.76以下は反騰警戒
【概況】
トルコリラ円の9月21日は7.89円から7.82円の取引レンジ、22日早朝の終値は7.86円で前日終値の7.85円からは0.01円の円安リラ高だった。
9月20日午前安値7.81円から上昇基調に入り、9月21日午後にロシアのプーチン大統領が動員令に署名したとの報道からリスク回避的なユーロ安と共にドル円も反落したところでいったん7.83円へ下げたものの、FOMCを控えてドル高感が優勢となる中で7.88円近辺へ上昇してFOMCに向かった。
FOMCでの0.75%利上げと年末への大幅利上げ継続姿勢を受けてドル円が144.70円へ上昇したところからいったんは材料消化として143.40円まで下げたもののドル高基調は継続として買い戻されて144円台前半を回復した。この流れを見ながらトルコリラ円も7.89円まで上昇したところから7.82円まで反落したものの早々に切り返して7.86円へ戻した。
22日午前序盤はドル円もトルコリラ円も戻り一服で小康状態にあり、昼頃の日銀金融政策発表と午後の黒田総裁会見で円安けん制姿勢を見定めつつ、全般的なドル高基調に乗って高値切り上げへ進めるのか試されるところだ。ドル円が145円を超える円安の加速となる場合はトルコリラ円も同調して高値追及へ進みやすいが、今晩はトルコ中銀金融政策発表もあるため、波乱注意の局面と思われる。
【ドル高リラ安進行で12月20日の史上最安値に迫る】
ドル/トルコリラの9月21日は18.34リラから18.30リラの取引レンジ、22日早朝の終値は18.32リラで前日終値の18.30リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
9月21日15時過ぎにプーチン大統領によるロシアの動員令署名報道から有事リスクが高まったとしてドルストレートではドル高反応となりトルコリラも売られ、22日未明の米FOMCによる0.75%利上げと大幅利上げ継続姿勢からドル高感がさらに強まった。
対ドルでの史上最安値は昨年12月20日の18.36リラだが最安値更新へと徐々に迫っている。また日足の終値ベースでは12月17日終値16.41リラを超えたところから史上最安値の更新を続けてきたが、9月21日も3日連続での史上最安値更新となった。
【今晩、トルコ中銀金融政策委員会、追加利下げはあるのか?】
米FOMCは政策金利を市場予想通りに0.75%引き上げた。6月から3会合連続で通常の3倍となる0.75%利上げの継続で政策金利は3.00〜3.25%となり2008年以来の高水準に達したが、FOMCメンバーによる金利水準見通しでは2022年末を4.25〜4.50%として6月時点の3.25〜3.50%から大幅に上方修正したために11月会合での0.75%利上げと12月会合での0.50%利上げの可能性が濃厚となった。
主要国も米国に続いて大幅利上げを継続してゆく見通しだが、トルコ中銀は8月会合で予想外に利下げを強行し、エルドアン大統領は「インフレはいずれ収まり、利上げの必要はない」との姿勢を繰り返し強調しているため、今晩のトルコ中銀MPCにおいても市場予想の大半は13.0%での政策金利据え置き予想ではあるものの一部には12.0%への追加利下げを予想する向きもある。このため、現状維持なら予想通りとしてドル高リラ安基調が一服する可能性もあるが、予想外に連続利下げを決定する場合にはリラ売りが勢い付く可能性もあると思われる。
【日銀は円安けん制に成功するか?】
本日昼頃には日銀の金融政策発表があり、午後には黒田総裁の会見もある。金融緩和政策は現状維持とみられるが、9月14日にレートチェックによる市場介入を意識させる円安けん制に動いた後だけに、最近の円安についての認識及び現状以上の円安加速を阻止する強い姿勢があるのかどうか試されるところだ。
トルコリラ円は7月後半からドル円と同調した動きをとりつつも、ドル高リラ安の進行によりドル円と比較すれば上値の重い展開となっている。日銀の円安けん制姿勢が介入も辞さない強固なものならドル円の下落を招く可能性もあるが、実弾介入はないと市場が高をくくれば145円手前の壁を超えて円安が加速し、それに合わせてトルコリラ円も高値切り上げへ進むことも考えられる。しかし円安けん制が効果を示してドル円の上昇が鈍り、トルコ中銀の利下げ継続姿勢からリラ安が加速する場合にはトルコリラ円も7.80円台を維持できずに急落に転じる可能性も考えられる。22日未明からの乱高下が夜まで続くことも警戒しつつ、流れを見極めたいところだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月19日朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして20日午後から22日午後にかけての間への上昇を想定してきた。
9月22日未明に高値を切り上げたところから急落して再び反騰している状況のため、22日未明高値でいったんサイクルトップを付けたものの19日朝安値から3日目となる22日未明安値で直近のサイクルボトムを付けて新たに強気サイクル入りしたと仮定する。22日未明安値割れ回避のうちは26日夜から29日未明にかけての間への上昇余地ありとするが、7.85円割れからは弱気転換注意とし、22日未明安値7.82円割れからは弱気サイクル入りとして27日未明から29日未明にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では遅行スパンと先行スパンが共にいったん悪化してから好転へ切り返しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、再び先行スパンから転落する場合は下落再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は9月22日未明の急落時に40ポイントを割り込んでから50ポイント台へ戻しているので50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとして70ポイント台回復を目指すとみるが、50ポイント割れからは下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント割れを目指す流れとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.82円を下値支持線、7.89円を上値抵抗線とする。
(2)7.85円以上での推移中は上昇余地ありとみて7.89円超えからは7.90円台序盤(7.91円から7.93円)を目指すとみる。7.93円以上は反落警戒とするが、円安の加速などにより勢い付く場合は7.95円試しへ上値目途を引き上げる。また7.85円以上での推移なら23日も高値試しへ進みやすいとみる。
(3)7.85円割れからは下向きとし、7.82円割れからは7.70円台後半(7.79円から7.76円)への下落を想定する。7.76円以下は反騰警戒とするが、7.84円以下での推移なら23日は安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月22日
16:00 9月 消費者信頼感指数 (8月 72.2)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 13.0%)
20:30 週次 外貨準備高 9/16時点 グロス (9/9時点 736.8億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9/16時点 ネット (9/9時点 140.9億ドル)
9月23日
16:00 8月 海外観光客数 前年比 (7月 52.84%)
9月26日
16:00 9月 製造業景況感 (8月 102.1)
16:00 9月 設備稼働率 (8月 76.7%)
注:ポイント要約は編集部
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