トルコリラ円見通し FOMCとトルコ中銀MPC控えてドル高リラ安進行
〇トルコリラ円、ドル円に同調して推移、7.81近辺で買われ7.85以上では売られる持ち合い
〇22日は米、日、トルコが中銀会合開催予定、乱高下や大きな動きとなりやすい局面
〇対ドル、重要イベント控えドル高リラ安が更に進行、12/20最安値18.36に迫る
〇エルドアン大統領、インフレ低下と経済成長に自信示す、高インフレ下での利下げ姿勢は変わらず
〇トルコ中銀会合、予想中心は13%政策金利据え置き、12.0%への追加利下げサプライズの可能性も
〇7.86以下での推移中は下向きとし、7.80割れからは7.75前後への下落を想定する
〇7.86超えからは7.88前後への上昇を想定、7.88前後は反落警戒とする
【概況】
トルコリラ円の9月20日は7.86円から7.81円の取引レンジ、21日早朝終値は7.85円で前日終値の7.83円から0.02円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラではドル高リラ安が進行中だが、トルコリラ円はドル高リラ安に圧迫されつつもドル円の動向を見ながらの展開で、ドル円が午前に143円割れへ下げた局面で7.81円まで下げたもののドル円が夜に143.92円まで戻したところで7.86円へ切り返し、その後にドル円が再び軟調推移となったために戻り幅をやや削った。
9月13日夜の米CPI上昇率が上ブレしたことによりドル円は直前安値141.83円から14日朝高値144.95円へ急伸し、日銀の市場介入警戒感から14日深夜に142.54円まで反落した後は乱高下が落ち着いて143円割れを買われつつ144円には届かない範囲での持ち合い推移となっている。トルコリラ円もドル円に合わせて7.81円近辺では買われるものの7.85円以上では売られる持ち合いとなっているが、ドル円が14日夜以降の戻り高値を若干切り上げたのに対してトルコリラ円はドル高リラ安の進行により戻り高値をやや切り下げて上値の重い印象だ。
22日未明のFOMC、22日昼頃の日銀金融政策発表、22日夜のトルコ中銀金融政策発表と重要イベントが続くため乱高下や大きな動きとなりやすい局面として注目したい。
【ドル高リラ安継続、12月20日の史上最安値に迫る】
ドル/トルコリラ9月20日は18.33リラから18.28リラの取引レンジ、21日早朝の終値は18.30リラで前日終値の18.28リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
8月18日のトルコ中銀による予想外の利下げ強行から1ドル18リラの壁を超えてリラ安が進行してきたが、9月22日未明の米FOMCと22日夜のトルコ中銀MPC(金融政策決定会合)が迫る中でドル高リラ安がさらに進行しており、9月20日は安値で18.33リラをつけて12月23日高値10.06リラ以降の取引時間中の最安値を更新、12月20日につけた史上最安値18.36リラに迫った。21日午前序盤には18.34リラまで安値を更新している。また終値ベースでは既に史上最安値を連日のように更新してきたが、20日も18.30リラに到達して終値としての史上最安値を更新した。
【エルドアン大統領はインフレ低下と経済成長に自信示す】
トルコのエルドアン大統領は9月20日、TVインタビューに答えて「現時点ではインフレが問題だが、インフレは乗り越えられないものではない」「来年からはこの問題を克服してトルコ経済は前進する」とした。CPI見通しについては8月に前年比で80%台へ急上昇したものの年末には低下し始め、来年2月から3月までには適切なレベルまで低下するとの見通しを示した。大統領は「トルコのGDP伸び率は7.6%で世界2位だ」と経済政策への自信も示した。またネバティ財務相は「インフレ率は12月から急激な下降トレンドに入り2023年は低下が続く見通し」とした。
エルドアン政権とその意を受けたトルコ中銀はインフレがいずれピークアウトして正常化し、リラ安は輸出を促進して経済を強くし、利下げが企業活動支援につながるとして高インフレ下での利上げの必要はないとの姿勢を繰り返し強調して利下げ再開に踏み切ったが、現時点でもそのスタンスは変わらない。
9月22日未明のFOMCでは0.75%の利上げが予想されているが、9月に入ってから豪中銀、ECB、カナダ中銀の大幅利上げが相次いでおり、20日もスウェーデン中銀が1.00%の大幅利上げを決定した。22日はノルェーやイスラエル、南ア等の利上げラッシュも想定されている。
9月22日のトルコ中銀MPCでは政策金利を現行の13.0%で据え置くとの予想が中心だが、12.0%への追加利下げの可能性も取り沙汰されており、トルコの利下げ政策の違和感が突出する可能性もあるとして9月20日のドル高リラ安が勢い付いたともいえる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月13日夜の急伸により9月9日夜と13日夜の両安値をダブルボトムとして急伸したが、9月14日朝高値からの急落により弱気サイクル入りした。ボトム形成期は16日夜から20日夜にかけての間と想定されたが、9月19日朝安値の後は新たな安値更新を回避しているので19日朝安値を直近のサイクルボトムとする。高値形成期は9月15日午後高値を基準として20日午後から22日午後にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にあるが、19日朝安値割れを回避するうちは上昇余地ありとし、19日朝安値割れからは弱気サイクル入りとして22日朝から26日朝にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、7.80円台での持ち合いのために方向感に欠けるが、先行スパンから転落中は遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜いて推移するところは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は9月20日夜の上昇局面で60ポイント台を付けたがその後に50ポイントを割り込んでいる。60ポイント超えからは上昇再開とみるが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、45ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.81円を下値支持線、7.86円を上値抵抗線とする。
(2)7.86円以下での推移中は下向きとし、7.80円割れからは7.75円前後への下落を想定する。7.75円以下は反騰注意とするが、7.80円を割り込んだ後も7.82円以下での推移なら22日午前も安値試しへ向かいやすいとみる。また円高ないしリラ安が厳しくなる場合は7.70円台序盤(7.73円から7.70円)へ下値目途を引き下げる。
(3)7.86円手前では戻り売りにつかまりやすいとみるが、7.86円超えからは7.88円前後への上昇を想定する。7.88円前後は反落警戒とするが、7.86円を超えた後も7.85円以上での推移なら22日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月22日
16:00 9月 消費者信頼感指数 (8月 72.2)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 13.0%、予想 13.0%)
20:30 週次 外貨準備高 9/16時点 グロス (9/9時点 736.8億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9/16時点 ネット (9/9時点 140.9億ドル)
9月23日
16:00 8月 海外観光客数 前年比 (7月 52.84%)
9月26日
16:00 9月 製造業景況感 (8月 102.1)
16:00 9月 設備稼働率 (8月 76.7%)
注:ポイント要約は編集部
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