米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利の予想(22/9/21)

NY時間9月21日14時(水曜日)にFOMC会合の記者発表要旨が公表され、その後パウエルFRB議長の定例記者会見が予定(同14時半)されています。

米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利の予想(22/9/21)

米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利について

NY時間9月21日14時(水曜日)にFOMC会合の記者発表要旨が公表され、その後パウエルFRB議長の定例記者会見が予定(同14時半)されています。今回の市場予想は以下の通りになっています。

( 1 )政策金利(9月21日 9時00分現在の予想)

現在のFFレート「2.25%〜2.50」⇒0.75%利上げし「3.00〜3.25%」
(レンジは下限2.75〜3.25%{上限3.00〜3.50%}で、一部に0.50%、乃至1.00%の利上げを予想)

エコノミスト予想は中央値で75ベーシスの利上げ予想になっています。注目点としては、
@ FOMCメンバーの意見(下記4)を見る限り、利上げ幅の議論は75ベーシスが基本と思われ、前回と比べて上げ幅を示唆した発言は多くありません。また、前回会合では今回(9月)の利上げ幅は0.50%の想定でした。
A 下記(3)のCME Fedwatchでは、今回0.75%利上げが82%、1.00%利上げが18%になっています。1〜2週間前と比較して1%利上げへの割合が増えています。先週13日の消費者物価指数が想定よりも高かったことによる市場の反応です。

B 前回のドットプロット(5)では、年内の最大利上げを見込む委員は4%まで、2023年でも4.5%ですので、今回のドットプロットで、どの位の上げ幅上限が改定されるのかをみます。また、その上げ幅をCME Fedwatchと比較します。現状ではドットプロット<CME Fedwatch(来年3月時で5.25%上限)ですので、ドットプロットがそこまで無ければ市場の利上げ幅が次第に低下してきます。そして次回以降の利上げ幅が来年3月までの4回の会合で平均値を出すことになります。
C 米景気悪化が鮮明になっていますが、FRBはインフレ抑制を主眼にしていますので、議論内容で景気動向をどの様にみているのかを確認する必要がありそうです。ベージュブックや委員発言の(4)を見る限りはまだ緩やかな成長を続けているとの分析です。
以上が予想される項目と思われます。

( 2 )前回7月FOMC会合での議事要旨(8月17日公表分)

FOMC議事要旨
現在の経済活動について、参加者は、消費支出・住宅活動・企業投資そして製造業の生産が2021年に見られた力強い成長率からは全て減速していることを確認した。しかしながら、労働市場は依然として強いままである。参加者は、支出と生産の指標から、今年第2四半期に経済活動が幅広く緩やかになったことが見受けられると認めている。多くの参加者は、いくつかの減速が…とりわけ住宅部門において…金融政策の継続的な強化に関連した金融市場の引き締めによる総需要への新たな反応を映し出していると指摘した。パンデミックに関連した財政政策による消費支出への大規模な支援の巻き戻し、インフレによる実質可処分所得の減少、パンデミックの初期段階で見られた上昇水準から一部の製品に対する需要減が家計支出の伸び低下に繋がった。

加えて、海外経済の見通し悪化や強いドルが外需を弱めることに寄与している。参加者は米国の実質GDPが下半期には拡大すると予想しているが、多くの参加者はこの先、金融情勢の引き締めがより強まりより幅広いため、総需要への影響がみられることで、経済活動の伸びがトレンドを下回るペースになるだろうと予想している。参加者は、トレンドを下回るGDPの伸びの期間はインフレ圧力を減じ、最大雇用と物価安定という委員会目標の持続的達成に向けた舞台設定の手助けになるだろうと指摘した。

(中略)

今後の会合で潜在的な政策行動を議論するにあたり、参加者は、FFレート目標レンジの継続的な引き上げが委員会目標を達成する上で適切であると引き続き予想している。インフレが委員会目標をはるかに上回る状況で、参加者は、最大雇用と物価安定を促進するという委員会の法的使命を満たすために、政策の制限的スタンスへの移行が要求されていると判断した。参加者は政策金利引き上げのペースや将来の引き締め政策の程度が経済見通しに対し入手する情報への含みや、その見通しに対するリスクに依存している。参加者は、金融政策のスタンスが一段と引き締まる時、経済活動やインフレに関して累積的な政策調整の効果を査定しながら、政策金利上げのペースを緩めることがいつかの時点で適切になると判断した。幾人かの参加者は、一度政策金利が十分制限的な水準に達したら、インフレが2%へ確りと戻る道のりを確信するまで暫くの間その水準を維持することが適切である指摘した。(以下略)

(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。

( 3 )CME Fedwatch

市場は前回7月下旬時点の予想と比較すると、上げ幅が拡大しています。前回会合時は来年2月・3月で最高が4.25〜4.50%でしたが、今回は2月4.75〜5.0%、3月に5.00〜5.25%まで0.75%の上げ幅拡大になっています。尚、5月会合でも最高は5.0〜5.25%までです。

米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利について

(7月26日時点:前回)

米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利について 2枚目の画像

(9月21日時点:今回)

( 4 )最近のFRB関係者の主な発言(最近1・2週間分程度)

9月10日 ジョージ・カンザスシティ連銀総裁「強い経済はFRBに利上げ余地を与える」
9月10日 ウォラー・FRB理事「堅調な労働市場で、リセッション懸念は薄れた」
「インフレが突然減速すれば、4%越える金利は必要ない」
9月09日 ブラード・セントルイス連銀総裁「0.75%の利上げに傾いている」
「2022年末迄に3.75〜4.0%の金利が望ましい」
9月09日 エバンス・シカゴ連銀総裁「ドル高は投資家のFRBへの信頼を反映している」          「年末か1月迄にFF金利のピーク3.75〜4.0%になっても驚きはない」

9月08日 パウエルFRB議長 「インフレを抑えることに強くコミットしている」
「労働力は依然として非常に強い」
9月08日 デイリー・SF連銀総裁「インフレを抑制するため、金融政策で景気を減速させる必要がある」
9月08日 ブレイナード・FRB副議長「強いドルがインフレ沈静化に影響する可能性」                     「政策金利は更に上昇する必要がある」
9月08日メスター・クリーブランド連銀総裁「インフレがピークに達したとは確信していない」
9月02日ボスティック・アトランタ連銀総裁「インフレは2%に程遠い」「FRBは経済を減速させる必要がある」
8月31日 バーキン・リッチモンド連銀総裁「FRBは労働市場ではなく、インフレ抑制に重き」
8月31日 ウィリアムズ・NY連銀総裁「長期的には中立的水準よりも高い金利を設定する必要がある」

( 5 )ドットプロット

今回の会合でドットプロットが公表される予定です。上限がどの様に変化したかを見ておきます。下表(6月時)の赤字部分は3月時のドットプロットでは無かった利上げ幅です。

米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利について 3枚目の画像

(前回6月、予想委員18名)
(以上)

下記はドル円の日足チャートです。8月2日底値からのサポートA(=138円10銭)と高値を結んだ抵抗線B(=146円90銭)とでドル高ウェッジを形成しています。
直近は8月11日底値のC(=142円90銭)と高値からの抵抗線D(=144円70銭)で10営業日収斂を続けています。
今日はいよいよFOMCですので、CとDの収斂を抜けるトライが期待できます。上抜けでB方向、下抜けでA方向になります。但し、下限はまず最初に142円20銭〜30銭のサポートがあり、次いで141円50銭、140円60銭、139円90銭の順にサポートがあります。

米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利について 4枚目の画像

(2022年9月21日10:30、1ドル=143円77銭)

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