『約2ヵ月ぶり高値圏更新後に急反落。来週は下落リスクに要警戒』
〇今週の南ア円、週初の8.05から週後半にかけ8.35まで上昇
〇プラチナ価格の急上昇、南ア2QGDP市場予想上回る結果、円の独歩安等がサポート
〇週末にかけては冴えない南ア指標や、円安の巻き返しに8.23まで値を崩す
〇一目均衡表雲下限がレジスタンスとして機能、テクニカル的に見て、上値余地は乏しいと判断
〇ファンダメンタルズも南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料揃う
〇引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):8.00ー8.35
今週のレビュー(9/5−9/9)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初8.09円で寄り付いた後、@南ア8月スタンダード銀行PMI(結果51.7、予想52.0、前回52.7)の冴えない結果(3ヵ月ぶり低水準)や、A中国経済の後退懸念(中国と経済的な結び付きの強い南アフリカ経済の減速懸念)、B米FRBによるタカ派傾斜観測が重石となり、週明け早々に週間安値8.05円まで下落しました(対ドルでは2020年8月以来の安値圏へ急落)。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、Cプラチナ価格の急上昇(南アフリカの交易条件改善期待)や、D南ア4ー6月期GDP(結果▲0.7%、予想▲0.8%、前回+1.9%、※前期比)の市場予想を小幅に上回る結果、E対主要通貨での円独歩安の流れ(ドル円が約24年ぶり高値となる144.99まで急伸→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値8.35円(7/5以来、約2ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。
もっとも、一目均衡表雲上限に続伸を阻まれると、F南ア7ー9月期BER企業信頼感指数(結果39、前回42)の冴えない結果や、G南ア4ー6月期経常収支(結果▲870億ZAR、予想+850億ZAR、前回+1570億ZAR)の赤字転落、H南ア7月製造業生産(結果+3.7%、予想+4.1%、前回▲3.5%)の市場予想を下回る結果、IパウエルFRB議長によるタカ派的な発言、J円独歩安の巻き戻し(ドル円急落→南アランド円連れ安)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間9/10午前5時20分現在)では、8.23円前後まで値を崩す展開となっております。
来週の見通し(9/12−9/16)
南アランドの対円相場(ZARJPY)は、週後半にかけて約2ヵ月ぶり高値となる8.35円まで上値を伸ばすも、週末にかけて急反落に転じる荒々しい値動きとなりました。一目均衡表雲下限がレジスタンスとして確り機能したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、上値余地は乏しいと判断できます。8/2安値と8/24安値を結んだ8.10円前後に位置するサポートラインを下方ブレイクできれば、心理的節目8.00円や8/2安値7.86円に向けて一気に下げ足を速めるシナリオも想定されるため、来週は週を通して下落リスクに警戒が必要な時間帯が続きそうです。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(パウエルFRB議長講演を経て次回FOMCでの75bp利上げ確率が8割超へ急上昇)や、A上記@を背景とした南アフリカから米国への資本流出懸念、B南アフリカ経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中での南ア中銀による金融引き締め→南アフリカ経済への強い逆風)、C南アフリカの交易条件悪化懸念(金・プラチナ価格の反落リスク)など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(円安以上に南アランド安が進むシナリオを想定)。尚、来週は9/14に予定されている南ア7月小売売上高や、9/16に予定されている中国の主要経済指標(中国8月小売売上高、中国8月固定資産投資、中国8月鉱工業生産)に注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):8.00ー8.35
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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